私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

タカタの末期が見えて来た

2017-06-16 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 北米で狼煙を上げたタカタ社のエアバッグ・リコール問題であるが、未だに何が悪かったのかの最終結論は下されていない。しかし、異常な膨張と共に射出された金属片で死亡した被害者への保証や総個数1億とも云われる厖大なリコール件数、総額1兆円とも云われるリコール費用の負担は、タカタ社のキャパを越えざるを得ないものだ。そして次週にも民事再生法の申請に入る準備を始めたという。

 エアバッグは、点火と同時に極少量の火薬が燃焼する。そしてこの発熱により窒素ガス発生剤なる物質が大量の窒素ガスを発生してバッグを展開する。この窒素ガス発生剤であるが、タカタが使用して来たのは「硝酸アンモニウム」であり、それ以外の他社は「硝酸グアニジン」という物質である。今回のリコールに伴い、NHTSA(米国道路安全局)は、タカタに対し硝酸アンモニウムの使用中止を勧告した。今回のタカタ問題のすべてが硝酸アンモニウムに起因するのか未だ不透明なところもある。しかし、硝酸アンモニウムが吸湿し易いこと、そして転移というある温度を境に膨らみ、温度低下と共に戻るという性質があることを指摘する意見がある。この転移により、原型の硝酸アンモニウムのペレットは無数にヒビ割れを生じるという。そして、ヒビ割れ表面積を増したペレットは、作動時に設計値を越えた爆発的な膨張を引き起こすというのだ。

 基本素材の選定が1兆円の負担を生じさせる結果になり、企業存続の命運を下すに至った。カーメーカーやサプライヤーのリスクは半端でないものと感じるところだ。近い将来、全自動運転車が販売を始めるのだろう。各種デバイスやソフトウェアの欠陥に気付かぬまま販売される事例は、幾らテスト走行を繰り返しても、ある時期までは生じるのだろう。しかし、手をこまねいていることは許されない。それは、他メーカーの台頭を甘んじて許すことになるからだ。

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