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TA64グループBエボリューションレストア風景(再掲)

2018-02-21 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 1年程前の記述だが、市販車の修理には、直接的に役立たないのかも知れぬが、こういうことを知りつつ修理や顧客説明を行うことは、きっと役立つこともあるかもしれない。

 1984年とかなり昔のラリー用エボリューションモデルだが、ベースのTA64はこのラリーのホモロゲーション(認定)を取得する前提で限定生産で市販されたモデルだ。

 エンジンは、かつての2T-Gを源流とする2バルブ・ツインカムエンジンだが、排気量をアップして1600cc→1800ccに変更し、さらにターボ過給して大幅にパワーを増している。この変更に伴い、大径化したボアでの火炎伝播遅延を少しでも防ぐためだろう、ツインプラグ化している。

 この時代まで、ツインカムエンジンは当然だが、OHCでもクロスフロータイプのシリンダーヘッド構成では、インテークおよびエキゾーストの各バルブのなす「挟み角」が、現代の4弁エンジンと比べ大きい。この理由は、挟み角を大きくした方が、より大径バルブが使用できるからということになる。そして、燃焼室形状は半球型(もしくは多球型)となり、なるべく表面積を小さくし、いわゆるS/V比を小さくし熱損失を抑えようという思想であった。しかし、その後、4弁エンジンの普及と共に、「挟み角」はどんどん小さくなっていった。それは、4弁で構成されるペントルーフ型燃焼室を、なるべく浅いコンパクトなもの(S/V比の向上)にすることと、バルブ周辺のエリアをヘッド下面すれすれにすることにより、上死点寸前でのスキッシュを生むことで、より急速燃焼かつメカニカルオクタン価の向上を図る思想が源流にあるのだろう。

 なお、2T-G(18-Gも同様)の大きな「挟み角」だが、もう一つの理由があった様だ。これは、ヘッドAssy、つまりカムシャフト付きでヘッドボルの締め緩めができるということがあった様だ。現代の侠角4弁では、まずカムシャフトを外して、もしくはカムハウジングを外してからでないと、ヘッドボルトにアクセス不可の場合が多い。しかも、このカムハジングだが、一体鋳造が困難だから使うこともあるが、経年でのオイル漏れ事例も多く、温度変化の大きなヘッドにあまり使うべき良い構造ではないと感じているところだ。


1984年TA64グループB・エボリューションモデルのレストア風景

TA64グループB・エボリューション追記

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