企業の社是や社訓、経営理念等として、人間尊重や個人の創造性の発揮、自由闊達な企業等と意味での標語を掲げている場合も多くあります。しかし、昨今これとは裏腹に、従業員の個性は圧殺され、俗に言うマニュアル化が進み、無個性な均質化が進行していると感じているのは、私ばかりではないと思います。そんな思いを持って、私が触れあって来た同業の先輩達3名の思い出を記してみます。
・i氏
まあ、一見してカタギの方には見えない人でした。ゴルフが好きで仕事以上に入れ込んでいました。噂ではシングルの腕前だそうです。正直云ってアジャスターとしての知識では落第だったとも思える方でした。修理工場へ行ってもこの方は、自ら見積を作り意見を伝える様なことは絶対なかったと思います。でも、この先輩に修理工場から提出される見積書は、妥当を超えて低額なのです。驚くべき先輩でした。
・o氏
30年近くも前の神話的な話しです。この先輩は修理工場へ事故損傷車を見に行くと、一切の資料を見もせず、さらさらと見積書を手書きし僅か10分程度で修理工場へ提示して廻ったそうです。なぜ、そんなことができたのか。その秘密は、修理工場へ向かう道すがら、予め自らがテープに録音した部品名と部品価格や工賃を聞きながら暗記していたというのです。当時で50万円を優に超える事故損傷車の見積を、僅か10分程度で手書きして提示するその心意気に、ただただ驚いたのです。
・t氏
先のi氏と似た方です。ゴルフが好きで修理工場へ行っても、まずクルマの話しなんかしやしません。ある修理工場は、i氏が雨の日に来たけど、自分の車から降りもせず、事故車の写真を窓から写して帰ったよと云います。また、タバコが好きで、工場内であろうが関係なく吸いまくります。しかし、なぜか修理工場さんの評判は悪くなく、愛されているのです。
以上の3氏方々ですが、今や1名を除いてリタイヤされてしまいました。残された1名の先輩も、定年まで残り1年を残すのみで、本人はもう続けないと言い切ります。これら先輩方を見て来て、私に同じ様なことをできるキャラクタ-もありませんし、真似しようとも思いませんが、魅力ある先輩方であると感じています。そして、こんな個性があって存在感を持った先輩達が居なくなってしまう現在を残念に感じます。それしても、現在は私達従業員に平準化もしくは均質化を求めています。いわばマニュアルに沿った金太郎飴なのですが、私にはその金太郎飴が細すぎるものと感じられます。細い金太郎飴は論外としても、太い金太郎飴までを淘汰して平準化しようとする施策は、何とも違和感を禁じ得ないものです。
ブログ主さんのような先輩が周囲に居てくれたらと思います。
これからもよいブログお願いします。