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近年のリコール右肩上がり、理由を考察してみる!

2019-07-25 | 車両修理関連
 これは、自動車に関わる方々なら誰でも感じていることでしょうが、近年リコール件数がやたら右肩上がりに増えているという現象のことです。このことは、以下の国土交通省・自動車局 審査リコール課のHPに掲載された下記の統計資料や年度別推移グラフからも明白です。

 統計は国産および輸入車別とその総合としての3つの集計が行われています。これらを見ると、下記に列記する様な色々な傾向が判って興味深い。
①総合グラフで、H7年まで低推移していたものがH8年から右肩上がり傾向を強めつつなったことが読み取れる。
②H16年にピーク値があるが、これはタカタエアバッグか?
③H30に至るも右肩上がりの傾向に変化はない。新車が右肩上がりの販売にないことはご承知の通り。
④国産車の推移は、H18前後から現在まで高止まり(200件前後)だが、対象台数は増加し、H27年に至って18百万台を超えている。
⑤輸入車については、母集団(新車販売台数)が国産と桁が少ない訳だが、①と同様な傾向で、増加が立ち上がり一方的に増えている。最新データで180件近く、その対象台数百万台を超えている。

 これら傾向がなぜ生じたかの分析を私見として記してみます。
①一般に製造物のリコールとなる何らかの不具合(故障)は、バスタブカーブ(下記リンク)を描くことで知られている。この内、比較的生産初期に多いのは、設計もしくは製造にあると云われている。

②共用部品が多いが故の大量発生だが、何しろコスト競争が激しく、如何に部品単位での製造ロット数を増やすことで原価低減に邁進している。

③CADなどでのコンピューター化設計は、いわゆるコピペで旧車両の図面の一部を抜き出し貼り付けるなどの操作が日常的に行われているのだろうが、あまりにも無思考のまま行った結果として、呆れる様な幼稚な設計が生まれているのを推察する場合が多い。

④CADおよびその数値をマシニングに反映させるCAEが当然となっているが、これは従来あった試作と評価という工程を大幅に省略でき、開発期間(リードタイム)の短縮化などのコスト低減に寄与する訳だが、試作と評価が抜け落ちた分、信頼度を落としている原因になっているのではないだろうか。

⑤製品の最終スペックが決定後、試験などを通して、正しく動作し続けるかという耐久度だとか信頼度を確認する訳だが、ここにもコスト低減という名で、加速劣化試験と呼ばれる製品に意図的に過酷な条件を意図的に与え劣化を早めて確認するなんてことをやってリードタイムを圧縮しているのだが、現実条件を必ずしも100%評価している保証があるのだろうか?

⑥近年のリコールにバイワイヤ機構だとか、コンピュータープログラムの評価不足に原因があり、プログラムの書き換えで対応する事例が急増していると伺える。このブログラムバグは、先のCAD設計でも述べた安易なコピペだとか、排気ガスおよび燃費(しかもテスト環境だけにおける)にあまりにも偏向し過ぎた結果として、実車感応評価の不足とも相まって、販売後の市場で出現しているのではないか?

まとめ
 何れにせよ、販売台数が頭打ちになって以来も、リコール件数および対象台数は増加しているのは確かで、このことを別の視点で表現すると、「車両メーカーは適当に設計して、まずは納期(販売開始予定)に間に合わせることのみに腐心し、販売後の不具合はリコールで直せばいい」とすら考えていやしないかという疑念すら湧いてくるのです。

 また、たぶん国土交通省の所轄部門では、メーカー別のリコール率(販売台数に対するリコール発生件数および対象台数の値)を分析しているかと想像されます。その結果、あるメーカーが異常に高いとなれば、どういう設計、生産管理、製品評価をしているのかと疑いを持って監査なりに取り組んでいることと思います。




バスタブ曲線とリコールの多発 2017-12-16
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/84d3d0fc776e8c794b5172f06ba22134

追記
 これを記しながら、本当に国土交通省はマジメにやっているのかと、本日先ほど(7/25AM10~30分程)本省(03-5253-8111)で受付から、リコール審査対象部署に電話を繋いでもらい聴取してみました。その結果は、特に記しませんが、当方として、1ユーザーとしての国交省に対する牽制しておきたいという思いだけなのです。

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