経産省主導の2nm半導体8社出資で5年後量産?
下記の報というか情報だが、どう考えたら良いのだろうか。ここではあくまで私見として書き留めておきたい。
まず、経産省主導とは国策としてのストーリーというと頃に、正直相当なリスクを感じるのだ。例えば経産(過去の通産)省は、過去にいろいろな国策として動いて来たのだが、確かな成功例などあったのだろうか。これは歴史としての結果論ともなるが、国家が国策としてやって来た問題で、新たな工業製品の価値を生みことで成功例はあるのだろうか。私には失敗例しか思い浮かばない。
具体例として記せば、原子力のことを経産省は原子力保安院とかいうのを通じて推進、管理してきたのだが、到底正しいものだったかと問えば、判るだろう。それとか、これは書籍などで知るところだが、戦後1950~60年代に、自動車メーカーを外資の進出から守るという命題を掲げ、特進法という法律作りに励む通産官僚を描いたのが「官僚達の夏」で城山三郎氏の小説だった。20年前に読んだ際は、こういうマジメな官僚が国家を良い方向へ向けているのは悪いことではないという感想だったが、そのことは以後の様々な現実を知る時否定されてきた。
例えば、この通産法律は最終的には成立していないのだが、法律成立前にも通産テーゼとして、各種の行政指導として車両メーカーを仕切って来たのだが、そういう中で、プリンス自が日産に事実上吸収合併となったり、ホンダが予て4輪への進出を目指していたのだが、急遽2人乗りスポーツカーと同じく2人乗り軽トラを作り出すことになった。その後、日本の自動車産業は高度経済成長の波に乗り、日本の基幹産業となるまで発展した。一方、原子力発電は、さも安全だと国は云っていたにも関わらず、311の大事故で、まったく嘘デタラメだったことが晒された。それを、また原子炉寿命を事実上永遠化し、新規原発を作るととんでもないことを言い出しているのが現在だ。
さて、本論だが経産主導する国産製造会社「Rapidus」プランだが、確かに20年前まではロジック半導体でも日本はトップを走っていたが、それは現在最先端で5nmというチップ製造の値が、40nm程度の時代の話しだ。この時代は、チップパターンをシリコンウエハに焼き付ける光学露光機の分野では日本のニコンとかキャノンのシェアは高かったのだが、今は最先端には追い付いていない。と云うのは、現在の5nmとかのものでは、露光線に紫外線を使用するEUVというのを使用するのだが、オランダのASML社という一社独占状態となっているのだ。
「Rapidus」プランでも2年後からASMLから紫外線露光機を導入すると云うのだが、この使用については機械があれば即できると云う様なものでなく、相当な複合的な試行錯誤が要求されるらしい。そうなってくると、5年後に十分な歩留まりでコスト競争力ある半導体ができるか、相当に不透明と思えてくるのだ。
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2nm半導体の国産製造会社「Rapidus」始動、トヨタら8社が出資し5年で量産開始
製造マネジメントニュース
MONOist 2022年11月14日 06時30分 公開
経済産業省は2022年11月11日、次世代半導体の設計・製造基盤の確立に向けた取り組みとして、新しい研究開発組織「技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)」の2022年内の立ち上げと、製造基盤確立に向けた研究開発プロジェクトの採択先を「Rapidus」に決めたことを発表した。
半導体産業復権へ研究開発と製造の体制を整備
デジタル技術の発展に伴い、半導体の重要性が大きく高まる一方で、地政学的リスクから経済安全保障面での問題が指摘されている。一方で国内の半導体産業は1980年~1990年代初頭にかけては世界のトップを走っていたが、2000年以降は凋落(ちょうらく)が続く状況だ。今後さらに自動運転車などが広がる他、AI(人工知能)があらゆる製品に組み込まれるようになる中で、半導体の重要性はますます高まり、これらの技術の主導権を持つことが求められるようになっている。こうした中で、経済産業省では半導体産業やデジタル産業を国家戦略として推進する「半導体・デジタル産業戦略」を取りまとめ、3つのステップでの復活に取り組んでいる。
半導体の国内産業基盤確保へ、経産省が3ステップの実行計画
今回はこれらを具体的に推進する組織として、研究開発基盤と量産製造拠点についてそれぞれ担う組織を明確化した。
米国のNSTC(National Semiconductor Technology Center)の日本版として、研究開発プラットフォームの役割を担うのが「Leading-edge Semiconductor Technology Center(LSTC)」である。同研究組織は、2022年5月に合意した半導体協力基本原則に基づいた日米間での共同研究の実施を見据え、同年7月に設立を決定した新しい研究開発組織で、今回はその名称を正式決定した。
理事長には、東京エレクトロンで会長や社長を務めた東哲郎氏、アカデミア代表としては、東京大学 教授で理化学研究所 理事長の五神真氏が就任する。物質・材料研究機構、理化学研究所、産業技術総合研究所、東北大学、筑波大学、東京大学、東京工業大学、高エネルギー加速器研究機構、Rapidusが参加し、立ち上げは2022年内を予定している。
2nmプロセスの量産を5年以内に開始
そして、量産製造拠点として選定されたのがRapidusだ。Rapidusは次世代半導体の量産製造拠点を目指すため、国内トップの技術者が集結し、2022年8月に国内主要企業からの賛同を得て設立された新企業だ。代表取締役社長は、日立製作所で半導体を担当し、トレセンティテクノロジー 取締役社長やウエスタンデジタルジャパン プレジデント、ウエスタンデジタル シニアバイスプレジデントなどを歴任した小池淳義氏が就任する。また、取締役会長はLSTC理事長でもある東氏が就く。
両者と12人の半導体産業関連技術者が、半導体産業の行く末を案じる中で勉強会などを通じて意気投合し、創業個人株主となって出資。さらにこれらの勉強会の中で生まれた戦略や思いなどに共感した、キオクシア、ソニーグループ、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTT、三菱UFJ銀行の8社が総額で73億円の出資を行い、設立につながった。ちなみに「Rapidus」の社名の由来は、「迅速(rapid)」を意味するラテン語で、スピードを重視する姿勢を示したという。
この出資金と合わせて、政府の「ポスト5G基金事業における次世代半導体の研究開発プロジェクト」の中の700億円の補助を受け、次世代半導体の製造基盤確立に取り組む。具体的には、まず米国IBMなどと連携して2nm世代のロジック半導体の技術開発を行い、国内短TAT(Turn Around Time)パイロットラインの構築と、テストチップによる実証を行う。2022年度は、2nm世代の要素技術を獲得を進め、EUV露光機の導入に着手するとともに、短TAT生産システムに必要な装置、搬送システム、生産管理システムの仕様を策定し、パイロットラインの初期設計を実施する。これらの研究期間終了後は、その成果をもとに先端ロジックファウンドリとして事業化を進め、5年以内の2nmプロセス半導体の量産を行う計画だという。
Rapidusは経営方針として以下の3つを挙げており、顧客やパートナーとの密な意見交換により、最終製品を意識した半導体製造プロセスづくりを進めていく。
新産業創出を顧客とともに推進する
設計、ウエハー工程、3Dパッケージまでを含めて世界一のサイクルタイム短縮サービスを開発し、提供する
世界最高水準の設計部隊、設備メーカー、材料メーカーと協調し、新たなビジネススキームを構築する
ファウンドリーとしては台湾のTSMCなどを含め世界でも数多くの有力企業が既に存在しているが、Rapidusでは特に最先端プロセス3世代程度に絞ることで、差別化を進めていく方針だとしている。
下記の報というか情報だが、どう考えたら良いのだろうか。ここではあくまで私見として書き留めておきたい。
まず、経産省主導とは国策としてのストーリーというと頃に、正直相当なリスクを感じるのだ。例えば経産(過去の通産)省は、過去にいろいろな国策として動いて来たのだが、確かな成功例などあったのだろうか。これは歴史としての結果論ともなるが、国家が国策としてやって来た問題で、新たな工業製品の価値を生みことで成功例はあるのだろうか。私には失敗例しか思い浮かばない。
具体例として記せば、原子力のことを経産省は原子力保安院とかいうのを通じて推進、管理してきたのだが、到底正しいものだったかと問えば、判るだろう。それとか、これは書籍などで知るところだが、戦後1950~60年代に、自動車メーカーを外資の進出から守るという命題を掲げ、特進法という法律作りに励む通産官僚を描いたのが「官僚達の夏」で城山三郎氏の小説だった。20年前に読んだ際は、こういうマジメな官僚が国家を良い方向へ向けているのは悪いことではないという感想だったが、そのことは以後の様々な現実を知る時否定されてきた。
例えば、この通産法律は最終的には成立していないのだが、法律成立前にも通産テーゼとして、各種の行政指導として車両メーカーを仕切って来たのだが、そういう中で、プリンス自が日産に事実上吸収合併となったり、ホンダが予て4輪への進出を目指していたのだが、急遽2人乗りスポーツカーと同じく2人乗り軽トラを作り出すことになった。その後、日本の自動車産業は高度経済成長の波に乗り、日本の基幹産業となるまで発展した。一方、原子力発電は、さも安全だと国は云っていたにも関わらず、311の大事故で、まったく嘘デタラメだったことが晒された。それを、また原子炉寿命を事実上永遠化し、新規原発を作るととんでもないことを言い出しているのが現在だ。
さて、本論だが経産主導する国産製造会社「Rapidus」プランだが、確かに20年前まではロジック半導体でも日本はトップを走っていたが、それは現在最先端で5nmというチップ製造の値が、40nm程度の時代の話しだ。この時代は、チップパターンをシリコンウエハに焼き付ける光学露光機の分野では日本のニコンとかキャノンのシェアは高かったのだが、今は最先端には追い付いていない。と云うのは、現在の5nmとかのものでは、露光線に紫外線を使用するEUVというのを使用するのだが、オランダのASML社という一社独占状態となっているのだ。
「Rapidus」プランでも2年後からASMLから紫外線露光機を導入すると云うのだが、この使用については機械があれば即できると云う様なものでなく、相当な複合的な試行錯誤が要求されるらしい。そうなってくると、5年後に十分な歩留まりでコスト競争力ある半導体ができるか、相当に不透明と思えてくるのだ。
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2nm半導体の国産製造会社「Rapidus」始動、トヨタら8社が出資し5年で量産開始
製造マネジメントニュース
MONOist 2022年11月14日 06時30分 公開
経済産業省は2022年11月11日、次世代半導体の設計・製造基盤の確立に向けた取り組みとして、新しい研究開発組織「技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)」の2022年内の立ち上げと、製造基盤確立に向けた研究開発プロジェクトの採択先を「Rapidus」に決めたことを発表した。
半導体産業復権へ研究開発と製造の体制を整備
デジタル技術の発展に伴い、半導体の重要性が大きく高まる一方で、地政学的リスクから経済安全保障面での問題が指摘されている。一方で国内の半導体産業は1980年~1990年代初頭にかけては世界のトップを走っていたが、2000年以降は凋落(ちょうらく)が続く状況だ。今後さらに自動運転車などが広がる他、AI(人工知能)があらゆる製品に組み込まれるようになる中で、半導体の重要性はますます高まり、これらの技術の主導権を持つことが求められるようになっている。こうした中で、経済産業省では半導体産業やデジタル産業を国家戦略として推進する「半導体・デジタル産業戦略」を取りまとめ、3つのステップでの復活に取り組んでいる。
半導体の国内産業基盤確保へ、経産省が3ステップの実行計画
今回はこれらを具体的に推進する組織として、研究開発基盤と量産製造拠点についてそれぞれ担う組織を明確化した。
米国のNSTC(National Semiconductor Technology Center)の日本版として、研究開発プラットフォームの役割を担うのが「Leading-edge Semiconductor Technology Center(LSTC)」である。同研究組織は、2022年5月に合意した半導体協力基本原則に基づいた日米間での共同研究の実施を見据え、同年7月に設立を決定した新しい研究開発組織で、今回はその名称を正式決定した。
理事長には、東京エレクトロンで会長や社長を務めた東哲郎氏、アカデミア代表としては、東京大学 教授で理化学研究所 理事長の五神真氏が就任する。物質・材料研究機構、理化学研究所、産業技術総合研究所、東北大学、筑波大学、東京大学、東京工業大学、高エネルギー加速器研究機構、Rapidusが参加し、立ち上げは2022年内を予定している。
2nmプロセスの量産を5年以内に開始
そして、量産製造拠点として選定されたのがRapidusだ。Rapidusは次世代半導体の量産製造拠点を目指すため、国内トップの技術者が集結し、2022年8月に国内主要企業からの賛同を得て設立された新企業だ。代表取締役社長は、日立製作所で半導体を担当し、トレセンティテクノロジー 取締役社長やウエスタンデジタルジャパン プレジデント、ウエスタンデジタル シニアバイスプレジデントなどを歴任した小池淳義氏が就任する。また、取締役会長はLSTC理事長でもある東氏が就く。
両者と12人の半導体産業関連技術者が、半導体産業の行く末を案じる中で勉強会などを通じて意気投合し、創業個人株主となって出資。さらにこれらの勉強会の中で生まれた戦略や思いなどに共感した、キオクシア、ソニーグループ、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTT、三菱UFJ銀行の8社が総額で73億円の出資を行い、設立につながった。ちなみに「Rapidus」の社名の由来は、「迅速(rapid)」を意味するラテン語で、スピードを重視する姿勢を示したという。
この出資金と合わせて、政府の「ポスト5G基金事業における次世代半導体の研究開発プロジェクト」の中の700億円の補助を受け、次世代半導体の製造基盤確立に取り組む。具体的には、まず米国IBMなどと連携して2nm世代のロジック半導体の技術開発を行い、国内短TAT(Turn Around Time)パイロットラインの構築と、テストチップによる実証を行う。2022年度は、2nm世代の要素技術を獲得を進め、EUV露光機の導入に着手するとともに、短TAT生産システムに必要な装置、搬送システム、生産管理システムの仕様を策定し、パイロットラインの初期設計を実施する。これらの研究期間終了後は、その成果をもとに先端ロジックファウンドリとして事業化を進め、5年以内の2nmプロセス半導体の量産を行う計画だという。
Rapidusは経営方針として以下の3つを挙げており、顧客やパートナーとの密な意見交換により、最終製品を意識した半導体製造プロセスづくりを進めていく。
新産業創出を顧客とともに推進する
設計、ウエハー工程、3Dパッケージまでを含めて世界一のサイクルタイム短縮サービスを開発し、提供する
世界最高水準の設計部隊、設備メーカー、材料メーカーと協調し、新たなビジネススキームを構築する
ファウンドリーとしては台湾のTSMCなどを含め世界でも数多くの有力企業が既に存在しているが、Rapidusでは特に最先端プロセス3世代程度に絞ることで、差別化を進めていく方針だとしている。