指数の疑問 その4【工数策定におけるレイティングとは】
そもそもレイティングの語源としては、見積もるとか評価するとい意味である。これは、作業時間でなくても、例えば金融商品でのパフォーマンスを示すレイティング表示☆1~☆5まであるとか、会社の格付けにS&P等の評価企業値で、AAA+とかA-等の格付け値もレイティングと呼ばれる。はたまた、映画などで、性的もしくは暴力的な要素でレイティングを表す場合もある。
さて、本論だが、標準作業時間などで、単にレイティングを行っていると記してあり、指数策定でもその思想は織り込んでいるとの説明を過去に受けているのだが、あまり意味も判らず使っている場合が多い様に感じるので、ここでは以前紹介したことがある「作業研究」・[並木高矣(なきみたかし)・日刊工業新聞社 S45年初版]より、該当カ所の説明の概略を説明してみたい。
1.レイティングの目的は正しい正味作業時間の把握にある
ここである作業の時間計測を行ったとして、その得られた時間値をそのまま標準時間として使って良いかという問題がある。この測定値には観測者の主観も入るし、観測時における速度とか作業者の意欲、健康など種々の時間変動への要素が内在している可能性もあるので、直ちに計測時間を採用する訳には行かないという考え方がある。
ここで、作業速度を考察してみると、作業者の努力と熟練(技量)、作業環境によってペースは変化する。
また、作業の条件を考察すると、作業そのものの性質、条件により影響を無視し得ない。特に過去の経験との関係性が作業者の技能に影響を与え、例えば過去にまったく同じ作業を経験しているかどうかが、大きな影響を与える。これは多品種少量生産だとか複雑な作業ほど重要性を持ってくる。
2.レイティングの種類
レイティングとは時間を計測しながら、その基準を校正することになるが、客観性が乏しいので、高度の経験が必用とされる。
レイティングの手法としては以下の6つが想定できる。
➀平準法
②速度評価法
③ベース評価法
④努力評価法
⑤客観評価法
⑥合成(総合)評価法
以上があるが、通例➀と③が使用される場合が多い。
ここでPTS((Predetermined Time Standard systems)いう概念があるが、これは作業手順を決め、基本動作に分解して細分化して、予め計測もしくは見積った時間に当てはめ積算する方法だ。この概念は、JKC指数で使われている基表の概念に類似していると云えるだろう。ここでのレイティングは、作業計測値をPTS値と比較して、実測時間値との比率を求める手法だ。
以下は通例使われる事例が多いと云われる➀平準法と③ぺース評価法について、細部を転載する。
➀標準法
これは評価の因子を、技能(熟練)努力、環境(条件)、安定度(一致性)の4つとして、別表の各要素のレベルに応じた係数を与えることで校正する。
(1)技能の評価
技能は作業者の訓練によって高められるが、作業者の適正にも大きな影響を受ける。その油列は以下の要素により判定する。
・作業中に起こるまごつきの程度、・動作の正確性(時間のバラツキ)、・作業の正確性(不良の程度)、・動作中断の程度、・動作のリズム感、・習熟の程度、・自信の程度
(2)努力の評価
努力とは、作業者の意欲を表すもので、これにより動作の速度が変化するがもっとも速いと遅い場合で25%~30%程度が相違すると云われている。
(3)環境(条件)の評価
これも量的に表すのは困難で難しいが、複数の対象者が同じ条件であれば格付けはDとし、職場全体が悪い場合は環境の改善を第1にするべきで、少なくともE(可)以上にすべき。
(4)一致性(安定度)の評価
一致性とは個別時間のバラツキの程度をだが、まったくバラツキのない場合をAとし、平均値の±50%程度のバラツキをFとして6区分している。
③ペース評価法
作業のペースもしくは速度の評価基準で、標準ペースを100として評価が120として、観測時間が0.60分だとすれば、0.60×(120/100)=0.72分となる。
ペースは出来高によって表されるが、作業方法と環境が同一であれば、技能と努力で変化する。もし動作が速くても、動作のためらいがあったり、その経路が長いとペースは遅くなり出来高は低下する。従って、ペースと速度は異なる。
自社独自の標準ペースを把握もしくは訓練する手法に、カード52枚を配る作業を試行する場合があるが、評価精度を維持するためには訓練を頻繁に繰り返す必用がある。
#指数の疑問 #標準作業時間におけるレーティングとは
そもそもレイティングの語源としては、見積もるとか評価するとい意味である。これは、作業時間でなくても、例えば金融商品でのパフォーマンスを示すレイティング表示☆1~☆5まであるとか、会社の格付けにS&P等の評価企業値で、AAA+とかA-等の格付け値もレイティングと呼ばれる。はたまた、映画などで、性的もしくは暴力的な要素でレイティングを表す場合もある。
さて、本論だが、標準作業時間などで、単にレイティングを行っていると記してあり、指数策定でもその思想は織り込んでいるとの説明を過去に受けているのだが、あまり意味も判らず使っている場合が多い様に感じるので、ここでは以前紹介したことがある「作業研究」・[並木高矣(なきみたかし)・日刊工業新聞社 S45年初版]より、該当カ所の説明の概略を説明してみたい。
1.レイティングの目的は正しい正味作業時間の把握にある
ここである作業の時間計測を行ったとして、その得られた時間値をそのまま標準時間として使って良いかという問題がある。この測定値には観測者の主観も入るし、観測時における速度とか作業者の意欲、健康など種々の時間変動への要素が内在している可能性もあるので、直ちに計測時間を採用する訳には行かないという考え方がある。
ここで、作業速度を考察してみると、作業者の努力と熟練(技量)、作業環境によってペースは変化する。
また、作業の条件を考察すると、作業そのものの性質、条件により影響を無視し得ない。特に過去の経験との関係性が作業者の技能に影響を与え、例えば過去にまったく同じ作業を経験しているかどうかが、大きな影響を与える。これは多品種少量生産だとか複雑な作業ほど重要性を持ってくる。
2.レイティングの種類
レイティングとは時間を計測しながら、その基準を校正することになるが、客観性が乏しいので、高度の経験が必用とされる。
レイティングの手法としては以下の6つが想定できる。
➀平準法
②速度評価法
③ベース評価法
④努力評価法
⑤客観評価法
⑥合成(総合)評価法
以上があるが、通例➀と③が使用される場合が多い。
ここでPTS((Predetermined Time Standard systems)いう概念があるが、これは作業手順を決め、基本動作に分解して細分化して、予め計測もしくは見積った時間に当てはめ積算する方法だ。この概念は、JKC指数で使われている基表の概念に類似していると云えるだろう。ここでのレイティングは、作業計測値をPTS値と比較して、実測時間値との比率を求める手法だ。
以下は通例使われる事例が多いと云われる➀平準法と③ぺース評価法について、細部を転載する。
➀標準法
これは評価の因子を、技能(熟練)努力、環境(条件)、安定度(一致性)の4つとして、別表の各要素のレベルに応じた係数を与えることで校正する。
(1)技能の評価
技能は作業者の訓練によって高められるが、作業者の適正にも大きな影響を受ける。その油列は以下の要素により判定する。
・作業中に起こるまごつきの程度、・動作の正確性(時間のバラツキ)、・作業の正確性(不良の程度)、・動作中断の程度、・動作のリズム感、・習熟の程度、・自信の程度
(2)努力の評価
努力とは、作業者の意欲を表すもので、これにより動作の速度が変化するがもっとも速いと遅い場合で25%~30%程度が相違すると云われている。
(3)環境(条件)の評価
これも量的に表すのは困難で難しいが、複数の対象者が同じ条件であれば格付けはDとし、職場全体が悪い場合は環境の改善を第1にするべきで、少なくともE(可)以上にすべき。
(4)一致性(安定度)の評価
一致性とは個別時間のバラツキの程度をだが、まったくバラツキのない場合をAとし、平均値の±50%程度のバラツキをFとして6区分している。
③ペース評価法
作業のペースもしくは速度の評価基準で、標準ペースを100として評価が120として、観測時間が0.60分だとすれば、0.60×(120/100)=0.72分となる。
ペースは出来高によって表されるが、作業方法と環境が同一であれば、技能と努力で変化する。もし動作が速くても、動作のためらいがあったり、その経路が長いとペースは遅くなり出来高は低下する。従って、ペースと速度は異なる。
自社独自の標準ペースを把握もしくは訓練する手法に、カード52枚を配る作業を試行する場合があるが、評価精度を維持するためには訓練を頻繁に繰り返す必用がある。
#指数の疑問 #標準作業時間におけるレーティングとは