小説は好きな方だが、クルマなんか関係ない時代小説が普段の趣向だ。でも、少ないがクルマ関係の古い小説が蔵書の奥に眠っている。
その一人は、既に故人となる大藪春彦氏だ。お世辞にも品の良い作家でなく、三文小説屋というのが私見だが、「汚れた英雄」だけは、これだけの大作を良く書き上げたと唸るところがある。そんな大藪氏の小説に「全開で飛ばせ」(初版本は確か昭和43年)という、具体的なクルマ(ここでいうアナログ10車)を題材にした小説がある。ストーリーは下品で凡庸な三文小説だが、クルマの解説やその挙動やドライビング操作のことに触れた文面からは、この人そうとうクルマが好きだし、技量もセンスもそれなりにある者しか書けない内容だと思える。具体的なクルマは、スカイラインGTR(PGC10)、ミウラSV、アバルト1000ビアルベロなどであるが、感心があれば読んで見て欲しい。
もう一人は高斎正氏(1938年生まれ78才だから最近はほとんど聞かれないが)だ。数々の著作や翻訳本を出されているが、蔵書は「ニュルブルクリンクに陽は落ちて」という短編だけだ。近未来の細菌戦で人類滅亡のある一コマを描くのであるが、ベンツ社のテストドライバーが、使命感から新型W197(W196Rが無敵を誇ったF1GPマシン、W196SはW196Rをベースにしたルマンなどで活躍したプロトタイプカー)をニュルに持ち込んで、誰もいないコースを爆走しつつ、果てるという物語だ。そういう意味では、趣向は異なるが映画「渚にて」と類似した部分を感じる。この小説を読んで、W196のことも知ったし、開発者のルドルフ・ウーレンハウトのことや、初代SLとなるW198(W196とのメカニカルな関連は薄い)のことも、後年知ることなったのだ。極めて記録的で、信憑感が持てると同時に、クルマに対する愛着を感じる方だ。
その一人は、既に故人となる大藪春彦氏だ。お世辞にも品の良い作家でなく、三文小説屋というのが私見だが、「汚れた英雄」だけは、これだけの大作を良く書き上げたと唸るところがある。そんな大藪氏の小説に「全開で飛ばせ」(初版本は確か昭和43年)という、具体的なクルマ(ここでいうアナログ10車)を題材にした小説がある。ストーリーは下品で凡庸な三文小説だが、クルマの解説やその挙動やドライビング操作のことに触れた文面からは、この人そうとうクルマが好きだし、技量もセンスもそれなりにある者しか書けない内容だと思える。具体的なクルマは、スカイラインGTR(PGC10)、ミウラSV、アバルト1000ビアルベロなどであるが、感心があれば読んで見て欲しい。
もう一人は高斎正氏(1938年生まれ78才だから最近はほとんど聞かれないが)だ。数々の著作や翻訳本を出されているが、蔵書は「ニュルブルクリンクに陽は落ちて」という短編だけだ。近未来の細菌戦で人類滅亡のある一コマを描くのであるが、ベンツ社のテストドライバーが、使命感から新型W197(W196Rが無敵を誇ったF1GPマシン、W196SはW196Rをベースにしたルマンなどで活躍したプロトタイプカー)をニュルに持ち込んで、誰もいないコースを爆走しつつ、果てるという物語だ。そういう意味では、趣向は異なるが映画「渚にて」と類似した部分を感じる。この小説を読んで、W196のことも知ったし、開発者のルドルフ・ウーレンハウトのことや、初代SLとなるW198(W196とのメカニカルな関連は薄い)のことも、後年知ることなったのだ。極めて記録的で、信憑感が持てると同時に、クルマに対する愛着を感じる方だ。