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車高のアップと大径タイヤの装着

2023-05-24 | コラム

車高のアップと大径タイヤの装着
 つい先日のことだが、知り合いの板金工場に訪問した際のことだ。軽バン(キャリーバン)ユーザーと工場主が大径車高を、元々車体ビルトインフーレーム部位(モノコック)とサスペンションクロスメンバー間に80mm程のブロックスペーサーを入れ車高を上げているのだが、さらに本来タイヤサイズは145/80R-12だが195/80R-15サイズにして、バウンドした際にボデーに干渉するからと、さらに35mm程車高が上がるという自由長の長いサススプリング本を組み替えている場面に出くわした。

 正直なところ、そもそもノーマルでも軽バンは車幅の割に車両重心が高く、出合い頭事故などで転倒する事故が多いのに、こういう改造をする価値を認めがたいという思いを持つところだが、その結果としてどういうことになるのだろうかと作業を傍観していたのだが、速度計とか走行距離計とか車両安定性面で幾らか試算もしみたので、そのことを記してみたい。

 そもそも、145/80R-12タイヤと195/80R-15タイヤでタイヤの径をエクセルで簡易計算して見ると以下の様になる。

タイヤサイズ 外径(各mm)
145/80R-12 536.8
195/80R-15 693.0
差異  156.2 

 ここで、タイヤの接地面は過重を受けて凹むのでタイヤの有効半径は、この半分より幾らか小さい値になるという解釈をしていたが、今回Netで調べている中で、スチールラジアルの場合は、、接地加重によりタイヤはたわむが、高いトレッドベルト剛性があるので周長そのものがほぼ移動量になるとの記述があった。つまり、見掛けはたわんでいる様に見えるが、周長そのものが移動量になると云うことは、有効半径という考え方でなく、外径(周長)そのものが有効径と考えてもよさそうだ。

 という前提で計算すると、外径差の比率で、速度計、距離計、駆動力は変わることになる。ここで。145タイヤに比べ196タイヤは77.5%差だから、速度計および距離計、そして駆動力も、元々の145タイヤに比べ195タイヤにすると、77.5%小さくなると考えて良さそうだ。

 しかも。195/80R-15を装着した現車は、狙い通り車高は30mm程度上がったが、前方視でキャンバーがポジティブ側に1°近くも付いている状態だ。ロワアームの角度は、かなりの下反角が付いた状態だが、おそらく今回の長い自由帳以前のノーマルスプリングの時は、ロワアームはほぼ水平であったのが、下反角が増したことによりポジティブキャンバーになったと思える。ただし、ここまで車高を上げた車両で、コーナーを攻めることもなさそうだから、増えたキャンバーに対しトーインを増せばサイドスリップは相殺できるとは思えるが、意味ある改造なのかと、価値観は個別だから全否定するつもりもないが思うところだ。



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