一人法人など零細法人は役員任期の法令違反に注意(会社法の届け出懈怠とは)
不肖私もそうなのだが、一人法人の超零細法人なのだが、過日居住地沼津市の裁判所から、添付の「会社法違反事件・過料決定」なる通知書が届いた。
昨今は、詐欺的な文書が多く、当初はその部類かなと怪訝な思いを持ちつっつ、同文書を眺めたのだが・・・
文書の文章は極めて稚拙なフォームで作られた文書なのだが、様は会社法違反事が表題で、決定事項としての主文としては、過料3万円に処するというものだ。
その理由は、代表取締役たる役員は平成22年3月19日に選任された(会社設立登記日)が、法廷任期の最大でも令和3年3月19日までとなるが、新たな選任を令和4年12月13日までに怠った。
Netで調べると、こういう事例はよくある様で、そもそも裁判所が個別法人の役員任期など把握しているはずもなく、登記管理する法務局から裁判所への報告により、裁判所は会社法違反事件として、通達を出していると云うことだと理解された。
そこで、裁判所には、会社法違反は理解したが、こういう事件をいたずらに増やすのではなく、裁判所から法務局に対し会社法違反を少なくする指導はできないものかと意見した。また、異議申立期間が1週間とされているが、(これは云ってはいないが審理期間などやたら長いくせに)、被疑者に対する抗弁の期間が1週間とか上訴期間も2週間とか、やたら短いのは如何なものかと意見をしておいた。
その後、法務局を訪れ、今回の会社法違反だが、こういう事例は多いのではないか。公的機関として法務局があるのであれば、いたずらに会社法違反者を生まない様に、例えば登記後9年を超えた時点で、役員選任後10年が会社法の役人任期の上限を知らしめる通知を行えば、こういう事態を幾らかでも少なくすることができるのではないかと意見を述べた。なお、このままでは、違反状態が続くので、直ちに役員の選任手続きを更新しする届けを行った。
【用語説明】
・過料
過料とは,行政上の秩序の維持のために違反者に制裁として金銭的負担を課すもの。 刑事事件の罰金とは異なり,過料に科せられた事実は,前科にはならない。
・会社法 第332条 役員任期
取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。
前項の規定は、公開会社でない株式会社(w:監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)において、定款によって、同項の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。以下略
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意味の平易訳
取締役の任期は選任後2年以内に終了する定時株主総会までとするが、定款の定めにより最大10年以内に終了する定時株主総会まで延伸することができる。すなわち、定款の定めに特にない限りでも、役員任期は最大10年という縛りが会社法上はある。
・懈怠(けたい)
これは、今回の裁判所文書にはないが、Netで調べると、今回の様に会社法の規定にある各種届けの怠りを懈怠(けたい)という表現でしていることが判った。この意味は、なまけること。おこたること。怠惰。「―の心が生じる」とあるが、元々仏教用語らしいが、恐ろしく古い読みも意味も判り難い言葉だ。