最近の車両リコールで、富士重工のレガシィのエンジンリコールの報に接しました。内容は『タイミングベルトのアイドラプーリーブラケットの剛性が低いため・・・』云々というものですが、富士重工さんには失礼ながら、未だ現行販売車でタイミングベルト付き車があるんだなぁというのが私の感想です。
考えて見ればエンジンにおけるタイミングベルト方式のカム駆やガソリンエンジン車でも10万キロ毎の交換が当然視なされていますし、軽自動車に至っては8万キロ位で交換しないと危険という意識が整備業界の一般的な知見となっていると感じられます。ちなみにフェラーリのタイミングベルト付き車では2年もしくは2万キロ毎の交換が指定されているとも聞きます。
そんな、タイミングベルト駆動も、近年の新設計のエンジンには採用されることは希なことになっています。その理由は信頼性の問題が最も大きな理由でしょうが、従来のローラーチェーンに代わり、より利点を持ったサイレントチェーンが開発されたことにもある様です。新しいサイレントチェーンは、ローラーチェーンに比べ静粛性が高く、チェーンの駒毎のピッチが小さく、より正確なバルブタイミングが実現できるという有利さを持ちます。また、タイミングベルト付きでは、万一のベルト切れを考慮し、必要以上にピストン頂部のバルブの逃げ(バルブリセスと呼ぶ)を大きく取らざるを得ないという問題を避け燃焼効率を更に高められる利点もある様です。何れにしてもタイミングチェーンの設計寿命は30万キロあるそうですので、まず一般的な乗用車ではクルマの寿命を全うできるものです。
しかし、こんなクルマのメンテナンスフリー化も整備事業者にとっては、益々整備需要を減少させる頭の痛い問題の一つではある訳ですが。