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名古屋 赤いBRZが橋の入口柱に激突 後3名が死傷(追記)

2023-05-15 | 事故と事件
名古屋 赤いBRZが橋の入口柱に激突 後3名が死傷(追記)
【後席搭乗の3名が大きな傷害の想定】
 昨日記した名古屋での5名乗車での赤いスポーツタイプ車(BRZ)が橋の門柱にサイドドリフトして、後席搭乗者3名がそれぞれ大きな傷害を生じた理由について、若干考察してみたので補足追記する。

 昨日の記事では、後席3名の乗員のことを以下の様に記した。
 今回、後席乗員3名が重傷で、1名が足骨折の大げが、その他2名の内、女性が頭を打ち死亡、その他大学生が意識不明という記述がある。これについて、拙人の判断としては、足骨折の男性は、後部右側に搭乗、死亡女性と意識不明男性は、それぞれの頭部同士が強く車内で衝突したのだろうが、その側頭部は右か左かで、搭乗位置関係は明確になるのではないだろうか。

 ここでは、右側方から大きな入力を受けた場合の、後席3名の搭乗者に作用する力学的な力とか体の動きを考えてみたい。
 物理の基本法則として作用反作用の法則というのがある。つまり、ある応力を受けた場合、その逆方向に反作用としてまったく逆の同じ大きさの力が生じるという物理法則だ。

 今回の事故では、車両がサイドドリフトして真横から橋の門柱に、該当者の左クォーターパネル部を激突させて、車体もそれなりに変型委した訳であるが、車内に横1列に登場する3名の乗員には、この入力と逆方向へ移動せしめる力が働く。これが、事故でなくて相当速い速度による旋回であれば、F1カーの様に高速コーナーにおいて、路面側に押し付ける下向きの揚力とは逆の力が作用するので、タイヤの摩擦係数(μ)の3倍とか4倍と云われる旋回Gが生じるのだが、一般の市販車では乾燥路面ではタイヤの摩擦係数として0.8前後が限界となる。ましてや、事故時は雨天で路面が湿潤していたとなると、μ値は0.6とか乾燥路面より低い値となる。ここで何が云いたいのかと云えば、事故でなくて急旋回する場合にあっては、タイヤのμ値の限界から生じる旋回加速度(Gで表す)とすれば、1G程度までが限界で、それは自分の体重が通常は下向きに(地球中心へのベクトル)であるが、それが旋回中心への求心加速度の反力として旋回外方向へ作用していると云うことになる。

 ところが、事故となると、短時間(一般に衝突時間は0.1-0.2sec)における大きな速度変化により、生じる加速度は桁違いに大きくなり、旋回時なら体や手を突っ張る程度で抗じきれるが、10Gとかとなると体重の10倍であり、到底手とか体を突っ張ることで抗じきれるものではない。そのため、前方衝突などにおいては、強く体が前方移動し、強くインストルメントパネルとかフロントガラスに体が叩き付けられるのを防ぐため、シートベルトが用いられるのだ。ただし、人間の胴体まではシートベルトで固定することはできるが、頭部は頸部を介して動けるため、頭部が前傾してインストルメントパネルなどに接触し負傷するのを防止するため、シートベルトの補助的拘束具(SRS)としてエアバッグが開発されたということなのだ。

 確かにに車両搭乗員がシートベルトを装着することは、主に前方への体の移動を規制したり、前後席乗員でも事故によっては生じる車外放出を防ぐためには効果的なものであるが、今回の後席側突という事態では、おそらくシートベルトの効用はさほどないと思える。また。シートベルトをしていたとしても、頭部の動きは規制できないので、搭乗員の頭部同士が当たることにより脳挫傷などの重篤な傷害が生じる恐れがあると云えよう。

 今回の事故、私が想定した事故時の後席3名の搭乗員の動静を別添図に示す通り図解して表してみた。すなわち、脚部を負傷した男性は右後部に乗っており、車体の変型などにより脚部を負傷したが、生命に関わる頭部については、ヘッドエアバッグにより保護された。左後部と中央の搭乗員はどちらが男性か女性か不明ではあるが、こういうスポーツ車はルーフが低いこともあって、座面が中央部が高く、中央部のみ座面から天井までの室内有効高さが小さいこともあり、一般的には小柄な体型が多いと思われる女性が中央に座り、左後席が男性だった可能性が高い様に想像できる。そこで、事故車がサイドドリフトして橋の門柱に衝突した瞬間、短時間の大きな速度変化、すなわり大きな減速Gが高まった状態で、左後席者と中央席者の頭部同士が衝突する事態になったのではないだろうかと云うのが、私の推定する本事故の後席3名の傷害への考察となる。

名古屋 赤いBRZが橋の入口柱に激突 後3名が死傷
2023-05-14 | 事故と事件
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