私の思いと技術的覚え書き

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三菱ek他の近日のリコールから

2021-05-28 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 近日(5/27付き)、三菱の ek SPACE およびOEM車のニッサン ROOX で、ハイブリッド用の高圧バッテリーのアース不良のリコールが届けられているので書き留めてみたい。

 該当リコールは、アース不良でアイドルストップからの再始動不能となったりするというものだが、リコール対象車23千台余に対して、不具合(認知)件数223件、事故の有無として火災3件と記されているところに要注意だ。

 つまり、アース不良が完全なもので抵抗値が∞Ωなら、火災等起きえるハズもないが、該当アース部の抵抗が1オームとか2Ωなどの微少な抵抗値だとすると、回路に流れる電流値が大きい場合、強いジュール熱を生じることから、今回の火災は生じているものと想像される。

 ジュール熱は 、Q(ジュール熱量)=RI^・2t の算式で表されるが、抵抗値が無限でなくても十分大きければ電流値も微少となるので、ほとんど生じないが、抵抗値が小さく、スターターモーターと云う様な瞬間最大値100Aに達する様な回路では、例え数Ωと云えども、大きなジュール熱が生じることになる。

 似た様なリコール例に、イグニッションSWやライトSWという、比較的電流値の高い回路のスイッチ(SW)で、摺動磨耗対策用のグリースが多過ぎたり炭化したりして、接触不良からジュール熱で溶損したり、場合によっては発火にまで至るリコールや、実際の故障は過去から再三生じて来たものだ。

 ただ、今回のものは、バッテリーから比較的近い部位でのボデーアース部位で接触抵抗の過大が生じている訳だが、塗膜が影響してアース不良を起こし易いことが経験上も認識できる。本来この様な部位の固定ボルトには、図で示す様なギザ付きワッシャを使用するなどして、塗膜を破壊して確実な接地を促す対策が取られるべきとも思われるが、そのことには何ら言及していないところが気になるところではある。




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