私の思いと技術的覚え書き

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大型バスのパワープラント

2018-10-06 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 日頃見ることも少ないだろう大型バスのパワープラントを紹介してみます。車種はすべてJBUSだが、複数車が混在していること承知願いたい。超大型の後部リッド(GFRP製)を開くと、広大なエンジンルームが表れるが、従来同様にL6エンジンが縦置きに置かれ、その左右に多種類の補記がぎっしり装着されて大きな隙間もない。

 大型バスの場合、そのクランクプーリーはリヤバンバー裏で5cmも離れていない位置にある。この多段クランクプーリーから、ウォータポンプ、オールタネータ(2ヶ)、パワーステアリングポンプ、エアコンップレッサー、クーラーコンプレッサー(2ヶ)、更にJBUSの場合ですが油圧駆動クーリングファンポンプも駆動しています。

 この中で、クーラーコンプレッサーの2つのドライブは、直動式の採用当時からで、室内の左右ルーフサイドのエバポレータへの冷凍サイクルは独立しています。ですから、左右どちらかのエアコンに不具合を生じると、ルーフサイドの片側だけ冷風が出ないという症状は古いクルマではあり得ます。

 もう一つ2つ装備(場合によれば3つの車種もあるとか)されたオールタネータですが、従来一体型で250Wクラスの大型のもんだったのが、かなり小さいものが複数ついています。この理由は早々ですが、エンジンリームの配置を高密度化させることでコンパクトにしたいとか、駆動ベルトの容量を制限したいとかにあるのでないでしょうか。

 ちなみにエンジン下面の写真も載せてきますが、オイルパン部まで鋼板でカバーリングされています。これは、今に始まったことではないですが騒音規制のためです。

 エンジンルーム左側の最後尾リッドは、先回の写真で掲載した通り熱交換機器のためのリッドです。その前方のリッドですが、前側が尿素水タンクです機器としては反対側の半規管途中に付くSCR触媒中に尿素水を噴霧してNOxを浄化するものです。なお、同タンクから飛散した乾いた液体ですが元来は透き通った水様の刺激臭を持つものです。アドブルーと名付けられていますが、あれはベンツがイメージアップから名付けたもので青くはないです。

 右側のサイドリッド2枚を開放してみます。エンジンの右側面がかなり見えます。エンジンコロール用のECUもエンジンブロックに直付けです。今や、200℃程度までの信頼度は確立されているということです。エンジン右側はインテーク側で、エキゾーストポートやターボは左に付いており、エンジン前部で右にトラバースし、一旦後ろに行って前に戻ると、この狭いスペースでSCR触媒とDPFを組み合わせて入り組んで配置されていまあす。この辺りを損壊させると、偉い修理費用が掛かりそうです。そうは云っても、少量生産のバスは、パーツ単価がビックリ価格が多いですから、どこの修理(特にボデー)でも高額となります。

 最後に左にDPFが写った右後方から2枚目のリッドを開いた写真ですが、上部が三日月型に切れていますが、そこから下方に配管が伸びています。排気管開放部と路面の距離は20cmというところでしょう。これは、寒冷期に使用するプレヒーターですが、動作原理としては家庭用ファンヒーターと同じで燃料に軽油を使用し、エンジン冷却水を温めるものです。JBUS以前ですと、右前(前輪後ろ)辺りだったのが、この位置に変更になっています。この機器は、極めてくせ者で、冬期に学校の迎えに行き、落ち葉が溜まった枯れ草の付近にに右後輪タイヤがあるすれば、プレヒーターが燃焼状態であれば30分もしないで着火することでしょう。運転者は、そのことを意識し、場所を考えプレヒーターSW操作を行わねばなりません。






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