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加給エンジンのこと

2021-12-08 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
加給エンジンのこと
 加給エンジンだが、今やガソリンではともかく、ディーゼルではほぼ全数加給エンジンとなった感がある。加給エンジンだが、ターボにしてもスーパーチャージャーにしても、自然吸気(NA)より大きな吸入空気をシリンダー内に入れることで、あたかも大排気量エンジンに相当する出力とトルク値が得られる。ただし、ガソリンの場合は、ノッキングという問題があり、ベースとしての圧縮比を低下させねばならず、非加給域のトルクが低下してしまうという問題だとか、コストの上昇や非加給域のトルクが低下することでの燃費デメリットなどもあり、ディーゼルほどの普及はない。

 また、加給はターボとスーパーチャージャーがあるが、市販車としてのスーパーチャージャーは、ターボに比べると極少数だ。また、チューニング機器や一部車両で電動ターボ(実質はスーパーチャージャーというべきなのだろう)があるが、あまり普及するには至らない。やはり信頼耐久性とレスポンスの点で難点があるのだろうか。

 ところで、今や3トンクラスまでのトラックは、3Lターボ付きディーゼルが主流だが、従来5L近くあった自然吸気ディーゼルが、ハイエースディーゼルと同じ3Lディーゼルで走らせられるのだから、それはそれで凄いものではあるのだ。

 添付図はイズズエルフの4JZIエンジンmpエンジン性能図だが、2種のバリエーションがあるが、今や中・大型トラックもそうだが、エンジン基本は同じで、様はターボ加給圧だけで、エンジン性能を変えている事例は凄く増えた。


 ただ、この図を見るとき気を付けなければならないのは、およそ1400~1500rpmで最大トルクが出てはいるが、これはテストベンチで全負荷均衡状態になった場合の値と云うことだ。つまり、アイドリング回転数(800rpm程)から1500rpm程度でフルアクセルした場合、瞬時にこのトルクが出る訳ではない。軽負荷の場合、ターボチャージャーの回転数はいいとこ1万rpm程度で空転しているに過ぎない。それが、10万rpm程度以上まで高まってやっと定格の出力が出ると云うことで、これがいわゆるターボラグと云うことになる。昔から云われたことだが、MTとATとミッション形式は大別されるが、シフトアップの都度、アクセルをOFFせざるを得ないMTでは、素早いシフトをしないと、せっかく増速中のタービン回転数が低下して、ラグを感じ易くなる。例えば軽負荷50km/hでクルージングしているが、いきなり急加速しようとアクセル全開にしても、数秒以上トルクが盛り上がらないということはよく経験する。

 それと、山間部の林道でしかも路面がぬかるみ、道路も小さいカーブが連続している登坂路などでは、そもそも速度が上げられないし、ローギヤで極低回転域を中心に使用する訳だが、こういう場面では、自然吸気大排気量のエンジンの使い勝手にはおよそおよばないだろうと思える。


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