掲載した写真は、20年以上昔の晩秋の頃の風景です。写っているクルマは、私がアジャスターに成り立ての年に、新車購入したワンダーシビック・3ドア25iですから、昭和59年から60年辺りの年の伊豆の晩秋の頃だと思います。(?古い写真をスキャニングしましたので色が褪せています)
私は、アジャスターに成り立ての頃から、海の綺麗さを喜びを感じ、山の美しさに感激し、時によってはそこにクルマを止め、ひとしきり一服しながら風景を眺めるということを繰り返して来たと思います。
でも、今の同僚諸君達から見れば、それは昔の呑気な時代だからできたことと思われるのかもしれません。しかし、そんなことはありません。私は、今年7月末で現行の仕事を中断しておりますが、まったく同じ様な嗜好を持って、クルマでの移動において、「山が海が綺麗だなー」とか、「なんて素晴らしい木立なんだ」等と言う感激を感じながら、移動して来ました。そして、立会先の工場で、「この地区の山は綺麗だね」なんて話し掛け、「そうだよね」という感動の共感に喜びを感じたものでした。
こんな私の行動を聞く経営者等の中には、「労働拘束時間中に、必要以上にそんな勝手な行動をとられちゃ困ったことだ」なんて意見があるのかもしれません。本で知り驚いたことですが、トヨタの生産ラインでは、10時頃に10分程度の休息時間があるそうですが、この時間はトイレや喫煙のための時間でしょうが、驚いたことに労働時間から控除される(つまり給与外に時間)なのだそうです。
人間が人間らしく仕事をするには、一定の休息や、心の余裕というものがなければ、決して人間らしい活動なんかできないことは確かなことだと思います。例えば、アジャスターや工場が利用する修理作業の指数という作業量を示す数値がありますが、これには30%程度の余裕時間というのが含まれています。これは、連続する作業の中において、休息やトイレ、喉の渇きを潤す等の人として当然必要となる活動として付加しているものです。この30%増しが適切なものかは、私には自信は持てませんが、何れにしても余裕時間というのが必要なことは誰でも判ると思います。
今や、グローバル(アメリカン)スタンダードを最善とし、トヨタ(奥田)やキャノン(御手洗)辺りが述べる効率最優先の考え方が最上の経営だと勘違いした経営者や政治家が跋扈している世です。それが招いた結果が、今回の世界的な経済不況でもあるのだと思います。
特にアジャスターの後輩諸君に伝えたいのですが、技術に「こだわり」を持って、その能力向上を目指して欲しいとは思いますが、合わせて人間らしい余裕の心を決して忘れては欲しくないと念じるところなのです。