下記に転載した「トヨタの自動運転技術を体感! 事故ゼロへの道に横たわる「溝」を渡辺慎太郎が考察する」と題した論評を一読して、大いなる違和感を感じつつ、そのことを書き留めたい。
大いなる違和感と記したのは、どうやら筆者は法整備が進まないから自動運転が普及もしくは発展が阻害されているという様な論理が内在している様に感じることだ。つまり、この慎太郎某は、「さっさと法整備を進め、もっと自動運転を推進せい」と云いたいらしい。しかし、私に云わせりゃ、自動運転技術は、未だ完熟した技術でなく、あくまで途中経過の発展途上の技術だという認識が欠落しているんじゃないだろうか。例えば、自動ブレーキ(PCS)という一つを取っても、様々な対象物に対して100%の停止ができると云うまでの完成度は達成していないのは明かだろう。そもそも、クルマを運転していれば誰でも判ることだが、緊急回避の手法が急制動だけに留まらないことは明かだろう。例え人間としての認知遅れがなかったとしても、急制動だけでことが済む場合ばかりではない形態は幾らもあろう。つまり、ステアリングで事故を回避したり損害を軽減しているケースもあるのだが、そこまでの自動運転技術は現在ないだろう。そもそも、周辺の状況だとか路面の状態など環境系の要素により、事故回避にステアリングの要素を入れ込むことが極めて難しいことは、ある程度予測ができるだろう。
この論評に気に入らないのは「渡部慎太郎」と名乗る、どうやらクルマ雑誌の編集者兼評論家らしいが、始めて聞く名だ。それが、「渡部慎太郎が・・・」とさも大物の如く表題に入れること自体が気に入らない。過去から、それなりに頷ける論評を繰り返して来たという認識があれば、私の論評も見方が変わる余地もあるのだろうけど、こんな慎太郎などという名は、石原**とか安倍**(こちらは晋太だが)、ろくな人間しか思い浮かばないとまで記したら罵詈雑言の気配も生じるが、イメージが悪い名と感じる。
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トヨタの自動運転技術を体感! 事故ゼロへの道に横たわる「溝」を渡辺慎太郎が考察する
2021/04/29 11:55 GENROQ Web 1
技術向上すれど進まぬ法整備
自動車にまつわる技術革新として電動化とともに最近もっぱら話題になるのが自動運転である。ただ自動運転は、法整備がきちんと整わないと本格的な実用化は見込めない。それでも技術的には毎年のようにどんどんと刷新されていくので、法律と技術の溝はなかなか埋まらない。
そんな実状もあって自動車メーカーは「自動運転」という言葉をあえて使わず(あるいは「使えず」)、「運転支援技術」というちょっとまわりくどい表現をするしかないのである。
「人とクルマが仲間のように走る」という思想
トヨタ自動車は2021年4月8日に「高度運転支援技術」の新機能である「Advanced Drive」を搭載したレクサス LSとトヨタ MIRAIを発売した。プレスリリースによれば「人とクルマが仲間のように共に走るというトヨタ自動車独自の考え方がMobility Teammate Concept」で、「この考えに基づいて開発した最新の高度運転支援技術がToyota Teammate/Lexus Teammateの新機能のAdvanced Drive」であるそうで、要するにドライバーとクルマが対話をしながらお互いの状態を確認しつつ補いつつ安全運転を遂行するADAS(Advanced Driver-Assistance System=先進運転支援システム)ということのようである。
Advanced Driveは、簡単に言えば自動運転レベル2相当の支援が高速道路や自動車専用道路の本線上のみで享受できるシステムである。レベル2なので運転責任の所在はドライバーにあり、セカンドタスク(スマートフォンをいじったりTVなどを鑑賞する)は許されないが、条件が揃えばペダルとステアリングの操作はクルマ側が担当してくれる。
システムの作動中、万が一の場面ではドライバーがオーバーライド(=運転を代わる)できる状態を維持しなくてはならないので、システム上はハンズオフできるけれど、手はステアリングに添えておくことが望まれる。
AI(人工知能)も積極活用
Advanced Driveには、Intelligent(知能化)/Reliable(信頼性)/Perceptive(高い認識性能)/Interactive(ドライバーとクルマとの相互交流)/Upgradable(ソフトウェアのアップデート)の特徴があって、他車に配慮しながら安全最優先で人間が運転しているかのようなスムーズな走りを実現しているという。
AIも積極的に活用し、運転中に遭遇するかもしれない様々な状況を随時予測して最適な対応を行い、場合によってはクルマ側から操作の提案をしドライバーがそれを最終的に判断する仕組みになっている。ソフトウェアのアップデートはいわゆるOTA(Over the Air)化されており、納車後も必要に応じて機能の追加や性能の向上を図り、常に最新の状態を保持できるようになっている。
都心~首都高で実際に使ってみる
と、ここまでは他のメーカーの運転支援システムとほぼ同様の内容で、実際に使えるのかどうかが肝心である。今回の試乗車はレクサス LSで、水道橋にあるトヨタ自動車東京本社を起点に首都高を走って試すルートが設定されていた。
現在出回っている運転支援システムのいずれもがそうであるように、Advanced Driveも基本的にはクルーズコントロールの延長線上にあるので、速度設定をする必要がある。同時に、ナビゲーションで目的地を設定しておくと、例えば高速道路などでは降りるべきインターが近づくと退出路に入るまで誘導してくれる。
首都高に入ってしばらくすると液晶メーターに「Advanced Drive Ready」の文字が表示される。GPSとともに高精度地図を使って、使用可能条件が揃っているかどうかを見極めるための時間が若干必要なのだ。クルマ周囲のモニタリングは、従来のミリ波レーダーとステレオカメラに加え、望遠カメラとLiDARと高精度地図を組み合わせて行っている。
ちなみにLiDARとはLeaser Imaging Detection and Rangingの略で、レーザーを照射して対象物に当たって戻ってくるまでの時間差を計測するが、対象物までの距離だけでなく、位置や形状までも検知できることが特徴。例えばステレオカメラとLiDARは悪天候時に検知能力が低下するがミリ波レーダーは影響をほとんど受けないなど、それぞれのセンサーに得手不得手があるため、いくつものユニットを併用するというのが現時点でのADASの一般的な考え方である。
“運転”そのものはかなりお上手
レクサスはLexus Safety System+をすでに展開しているが、このAdvanced Driveは走る曲がる止まるの制御が大幅に向上している。走行車線の真ん中をきちんとトレースしてくれるし、左側に大型トラックがいると車線内をわずかに右側へ移動して圧迫感まで軽減してくれる。さらにカーブをこなす際の減速から転舵、そして再加速までのそれぞれの塩梅とつながりは秀逸で、運転が苦手と思われるタクシードライバーの100倍は上手だった。
またこのシステムは合流にも対応する。左側から合流がある場合、減速して適正な車間距離をあけ、合流してくるクルマが安全に本線に入ってこられるよう支援してくれたりもする。車線変更や追い越しのときにはプレスリリースに書かれていた「ドライバーとクルマとの対話」が体験できる。周囲の状況をモニタリングして条件が整うとメーターパネルに「追い越しをしますか?」という文字とグラフィックが表示される。これに対してドライバーは「はい」か「いいえ」を選び、「はい」を選ぶとステアリング上部に据えられたドライバーモニターカメラがドライバーの顔の向きや視線を検知してから(追い越しの場合はドライバーが右側のサイドミラーを確認したかどうか)追い越しを開始。追い越し時の一連の動きもスムーズだった。
ハードウェアのレベルは合格点、しかし・・・
このようにハードウェアの仕上がりは想像以上だったが、気になる点があったのも事実である。前述のように現状のADASはクルーズコントロールとの併用なので速度を設定する必要がある。今回はトヨタが主催する試乗会で、試乗の際にはエンジニアが同乗してシステムに関して逐一丁寧な説明をしてくださった。こういう状況下だから設定速度は当然のことながら法定速度となる。
つまり首都高なら60km/h、湾岸線なら80km/hでセットするが、首都高で60km/hで左側車線を走行している限り、次々に後続車から追い抜かれることはあっても、追い越しのチャンスは事実上まず巡ってこない。湾岸線の交通量の少ないところでようやく追い越しを試すことができたものの、前述のように実際にクルマが追い越しを開始するまでに「『はい』か『いいえ』の選択」「ウィンカーレバーの操作」「サイドミラーの確認」など、こちらの動作と車両側の確認に時間を要してしまう。最初のうちは慣れておらずひとつひとつをゆっくり行っていたら、右レーンの後続車がもう近くまできていて追い越し不可となる場面がしばしばあった。
立ちはだかる法の「壁」
これはトヨタのせいではなく、冒頭で書いたように運転支援システムに対する法整備が整っていないことによる弊害である。我々が運転支援(あるいは自動運転)と聞けば、ボタンをポンと押せばあとはクルマが周囲の交通の流れに乗って目的地まで連れて行ってくれるようなものをイメージしてしまう。ところが現状では、実際の交通の流れよりも道交法の遵守が大前提となっているから、首都高を60km/hで走ってかえって他車に迷惑をかける状況も生まれてしまう。もちろん60km/h以上での設定も可能だが、自動車メーカーの立場としては道交法違反となる行為を推奨するわけにはいかないわけで、同乗していたエンジニアの方もなんとも歯痒い説明に終始しており、こちらのほうが恐縮してしまうほどだった。
Advanced Driveの設定スピードの上限は120km/hとなっている。日本の高速道路の上限に準じているわけだ。輸入車は200km/hでも設定できるのに、日本車はそういうわけにはいかないというのも不公平感を感じる。ハードウェアの完成度は高いのに、それを運用するソフトウェアがリアルワールドに即していないとまさに宝の持ち腐れになってしまう。
自動運転や運転支援システムは技術的にもうかなりゴールに近いところまできていると個人的には思っている。遅れているのはそれを活かせる法整備であり、技術と規則がシンクロしてくれないと、交通事故ゼロのハードルはなかなか下がらないのではないだろうか。
REPORT/渡辺慎太郎(Shintaro WATANABE)
大いなる違和感と記したのは、どうやら筆者は法整備が進まないから自動運転が普及もしくは発展が阻害されているという様な論理が内在している様に感じることだ。つまり、この慎太郎某は、「さっさと法整備を進め、もっと自動運転を推進せい」と云いたいらしい。しかし、私に云わせりゃ、自動運転技術は、未だ完熟した技術でなく、あくまで途中経過の発展途上の技術だという認識が欠落しているんじゃないだろうか。例えば、自動ブレーキ(PCS)という一つを取っても、様々な対象物に対して100%の停止ができると云うまでの完成度は達成していないのは明かだろう。そもそも、クルマを運転していれば誰でも判ることだが、緊急回避の手法が急制動だけに留まらないことは明かだろう。例え人間としての認知遅れがなかったとしても、急制動だけでことが済む場合ばかりではない形態は幾らもあろう。つまり、ステアリングで事故を回避したり損害を軽減しているケースもあるのだが、そこまでの自動運転技術は現在ないだろう。そもそも、周辺の状況だとか路面の状態など環境系の要素により、事故回避にステアリングの要素を入れ込むことが極めて難しいことは、ある程度予測ができるだろう。
この論評に気に入らないのは「渡部慎太郎」と名乗る、どうやらクルマ雑誌の編集者兼評論家らしいが、始めて聞く名だ。それが、「渡部慎太郎が・・・」とさも大物の如く表題に入れること自体が気に入らない。過去から、それなりに頷ける論評を繰り返して来たという認識があれば、私の論評も見方が変わる余地もあるのだろうけど、こんな慎太郎などという名は、石原**とか安倍**(こちらは晋太だが)、ろくな人間しか思い浮かばないとまで記したら罵詈雑言の気配も生じるが、イメージが悪い名と感じる。
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トヨタの自動運転技術を体感! 事故ゼロへの道に横たわる「溝」を渡辺慎太郎が考察する
2021/04/29 11:55 GENROQ Web 1
技術向上すれど進まぬ法整備
自動車にまつわる技術革新として電動化とともに最近もっぱら話題になるのが自動運転である。ただ自動運転は、法整備がきちんと整わないと本格的な実用化は見込めない。それでも技術的には毎年のようにどんどんと刷新されていくので、法律と技術の溝はなかなか埋まらない。
そんな実状もあって自動車メーカーは「自動運転」という言葉をあえて使わず(あるいは「使えず」)、「運転支援技術」というちょっとまわりくどい表現をするしかないのである。
「人とクルマが仲間のように走る」という思想
トヨタ自動車は2021年4月8日に「高度運転支援技術」の新機能である「Advanced Drive」を搭載したレクサス LSとトヨタ MIRAIを発売した。プレスリリースによれば「人とクルマが仲間のように共に走るというトヨタ自動車独自の考え方がMobility Teammate Concept」で、「この考えに基づいて開発した最新の高度運転支援技術がToyota Teammate/Lexus Teammateの新機能のAdvanced Drive」であるそうで、要するにドライバーとクルマが対話をしながらお互いの状態を確認しつつ補いつつ安全運転を遂行するADAS(Advanced Driver-Assistance System=先進運転支援システム)ということのようである。
Advanced Driveは、簡単に言えば自動運転レベル2相当の支援が高速道路や自動車専用道路の本線上のみで享受できるシステムである。レベル2なので運転責任の所在はドライバーにあり、セカンドタスク(スマートフォンをいじったりTVなどを鑑賞する)は許されないが、条件が揃えばペダルとステアリングの操作はクルマ側が担当してくれる。
システムの作動中、万が一の場面ではドライバーがオーバーライド(=運転を代わる)できる状態を維持しなくてはならないので、システム上はハンズオフできるけれど、手はステアリングに添えておくことが望まれる。
AI(人工知能)も積極活用
Advanced Driveには、Intelligent(知能化)/Reliable(信頼性)/Perceptive(高い認識性能)/Interactive(ドライバーとクルマとの相互交流)/Upgradable(ソフトウェアのアップデート)の特徴があって、他車に配慮しながら安全最優先で人間が運転しているかのようなスムーズな走りを実現しているという。
AIも積極的に活用し、運転中に遭遇するかもしれない様々な状況を随時予測して最適な対応を行い、場合によってはクルマ側から操作の提案をしドライバーがそれを最終的に判断する仕組みになっている。ソフトウェアのアップデートはいわゆるOTA(Over the Air)化されており、納車後も必要に応じて機能の追加や性能の向上を図り、常に最新の状態を保持できるようになっている。
都心~首都高で実際に使ってみる
と、ここまでは他のメーカーの運転支援システムとほぼ同様の内容で、実際に使えるのかどうかが肝心である。今回の試乗車はレクサス LSで、水道橋にあるトヨタ自動車東京本社を起点に首都高を走って試すルートが設定されていた。
現在出回っている運転支援システムのいずれもがそうであるように、Advanced Driveも基本的にはクルーズコントロールの延長線上にあるので、速度設定をする必要がある。同時に、ナビゲーションで目的地を設定しておくと、例えば高速道路などでは降りるべきインターが近づくと退出路に入るまで誘導してくれる。
首都高に入ってしばらくすると液晶メーターに「Advanced Drive Ready」の文字が表示される。GPSとともに高精度地図を使って、使用可能条件が揃っているかどうかを見極めるための時間が若干必要なのだ。クルマ周囲のモニタリングは、従来のミリ波レーダーとステレオカメラに加え、望遠カメラとLiDARと高精度地図を組み合わせて行っている。
ちなみにLiDARとはLeaser Imaging Detection and Rangingの略で、レーザーを照射して対象物に当たって戻ってくるまでの時間差を計測するが、対象物までの距離だけでなく、位置や形状までも検知できることが特徴。例えばステレオカメラとLiDARは悪天候時に検知能力が低下するがミリ波レーダーは影響をほとんど受けないなど、それぞれのセンサーに得手不得手があるため、いくつものユニットを併用するというのが現時点でのADASの一般的な考え方である。
“運転”そのものはかなりお上手
レクサスはLexus Safety System+をすでに展開しているが、このAdvanced Driveは走る曲がる止まるの制御が大幅に向上している。走行車線の真ん中をきちんとトレースしてくれるし、左側に大型トラックがいると車線内をわずかに右側へ移動して圧迫感まで軽減してくれる。さらにカーブをこなす際の減速から転舵、そして再加速までのそれぞれの塩梅とつながりは秀逸で、運転が苦手と思われるタクシードライバーの100倍は上手だった。
またこのシステムは合流にも対応する。左側から合流がある場合、減速して適正な車間距離をあけ、合流してくるクルマが安全に本線に入ってこられるよう支援してくれたりもする。車線変更や追い越しのときにはプレスリリースに書かれていた「ドライバーとクルマとの対話」が体験できる。周囲の状況をモニタリングして条件が整うとメーターパネルに「追い越しをしますか?」という文字とグラフィックが表示される。これに対してドライバーは「はい」か「いいえ」を選び、「はい」を選ぶとステアリング上部に据えられたドライバーモニターカメラがドライバーの顔の向きや視線を検知してから(追い越しの場合はドライバーが右側のサイドミラーを確認したかどうか)追い越しを開始。追い越し時の一連の動きもスムーズだった。
ハードウェアのレベルは合格点、しかし・・・
このようにハードウェアの仕上がりは想像以上だったが、気になる点があったのも事実である。前述のように現状のADASはクルーズコントロールとの併用なので速度を設定する必要がある。今回はトヨタが主催する試乗会で、試乗の際にはエンジニアが同乗してシステムに関して逐一丁寧な説明をしてくださった。こういう状況下だから設定速度は当然のことながら法定速度となる。
つまり首都高なら60km/h、湾岸線なら80km/hでセットするが、首都高で60km/hで左側車線を走行している限り、次々に後続車から追い抜かれることはあっても、追い越しのチャンスは事実上まず巡ってこない。湾岸線の交通量の少ないところでようやく追い越しを試すことができたものの、前述のように実際にクルマが追い越しを開始するまでに「『はい』か『いいえ』の選択」「ウィンカーレバーの操作」「サイドミラーの確認」など、こちらの動作と車両側の確認に時間を要してしまう。最初のうちは慣れておらずひとつひとつをゆっくり行っていたら、右レーンの後続車がもう近くまできていて追い越し不可となる場面がしばしばあった。
立ちはだかる法の「壁」
これはトヨタのせいではなく、冒頭で書いたように運転支援システムに対する法整備が整っていないことによる弊害である。我々が運転支援(あるいは自動運転)と聞けば、ボタンをポンと押せばあとはクルマが周囲の交通の流れに乗って目的地まで連れて行ってくれるようなものをイメージしてしまう。ところが現状では、実際の交通の流れよりも道交法の遵守が大前提となっているから、首都高を60km/hで走ってかえって他車に迷惑をかける状況も生まれてしまう。もちろん60km/h以上での設定も可能だが、自動車メーカーの立場としては道交法違反となる行為を推奨するわけにはいかないわけで、同乗していたエンジニアの方もなんとも歯痒い説明に終始しており、こちらのほうが恐縮してしまうほどだった。
Advanced Driveの設定スピードの上限は120km/hとなっている。日本の高速道路の上限に準じているわけだ。輸入車は200km/hでも設定できるのに、日本車はそういうわけにはいかないというのも不公平感を感じる。ハードウェアの完成度は高いのに、それを運用するソフトウェアがリアルワールドに即していないとまさに宝の持ち腐れになってしまう。
自動運転や運転支援システムは技術的にもうかなりゴールに近いところまできていると個人的には思っている。遅れているのはそれを活かせる法整備であり、技術と規則がシンクロしてくれないと、交通事故ゼロのハードルはなかなか下がらないのではないだろうか。
REPORT/渡辺慎太郎(Shintaro WATANABE)