公正取引委員会へ日本自動車車体整備協同組合連合会から相談の申出を受けたところ
本日、下記のとおり回答を行った。
結論は「日車協連の行為は、日車協連の説明に基づけば、単位協組の組合員に大規模事業者が含まれないこととした場合においては、独占禁止法上問題となるものではない。
なお、本回答に際しての判断の基礎となった事実に変更が生じた場合、その他本回答を維持することが適当でないと認められる場合には、文書により本回答の全部又は一部を撤回することがある。この場合には、このような撤回をした後でなければ、本件相談の対象とされた行為について、法的措置を採ることはない。」という処だ。
この公正取引の文書は、指数対応単価は保険の単価だから、そもそも損保の単価であるので、「独占禁止法上問題となるものではない」いうのは、勝手な日車協連の単価ではない。それを、指数対応単価は損保の単価だから独占禁止法上問題となるものではないのいうのは手前勝手が損保の考え方だ。
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(令和6年3月29日)自動車車体整備事業者の団体と損害保険会社との間における団体協約の締結に係る相談への回答について
令和6年3月29日
公正取引委員会
公正取引委員会は、事業者等の活動に係る事前相談制度に基づき、日本自動車車体整備協同組合連合会から相談の申出を受けたところ、本日、下記のとおり回答を行った。
1 本件相談に係る行為の概要
本件は、日本自動車車体整備協同組合連合会(以下「日車協連」という。)が、日車協連の所属員である事業協同組合(以下「単位協組」という。)(注1)の組合員に中小企業等協同組合法(以下「中協法」という。)第7条第1項第1号イ及びロ(注2)のいずれにも該当しない者(以下「大規模事業者」という。)が含まれないこととした場合において、特定の損害保険会社それぞれとの間で、事故によって損傷した自動車(以下「事故車両」という。)の所有者から単位協組の組合員が請け負う自動車車体整備(対物賠償保険又は車両保険が適用されるものに限る。また、あらかじめ損害保険会社が自動車車体整備事業者との間で締結した、事故車両の所有者に当該自動車車体整備事業者を紹介する旨の契約に基づき行われるものを除く。以下「本件自動車車体整備」という。)の取引に係る指数対応単価(注3)について、令和6年3月31日時点の指数対応単価から一定率以上(注4)引き上げることを内容とする、中協法の規定に基づく団体協約(注5)を締結するために交渉を行い、当該内容の団体協約を締結しようとするものである。
(注1)自動車車体整備事業者を組合員とする事業協同組合。日車協連及びいずれの単位協組も、中協法に基づき設立され、独占禁止法第22条第2号ないし第4号に掲げる要件を備えている。
(注2)中協法第7条第1項第3号において、組合員たる事業者が同項第1号イ又はロ(以下参照)のいずれかに該当する事業協同組合をもって組織する協同組合連合会は、独占禁止法第22条第1号の要件を備える組合とみなすとされている。
「イ 資本金の額又は出資の総額が三億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業者については五千万円、卸売業を主たる事業とする事業者については一億円)を超えない法人たる事業者
ロ 常時使用する従業員の数が三百人(小売業を主たる事業とする事業者については五十人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業者については百人)を超えない事業者」
(注3)損害保険会社が、保険金によって填補する損害の額を確定するために行う、本件自動車車体整備の対価である修理費に係る自動車車体整備事業者との交渉において、修理費のうち工賃を算出する際に用いる、指数(株式会社自研センターが定めた自動車車体整備に係る標準的な作業時間をいう。)に乗じる1時間当たりの単価をいう。
本件自動車車体整備の請負契約は、自動車車体整備事業者と事故車両の所有者との間で締結されるが、修理費は、通常、自動車車体整備事業者と損害保険会社との間での交渉を経て決定される実態にある。その交渉において、損害保険会社は、指数対応単価に指数を乗じた金額を工賃とし、部品費と合わせて修理費を算出して自動車車体整備事業者に提示するのに対し、自動車車体整備事業者は、通常、指数対応単価以上の工賃単価を基に修理費を算出して損害保険会社に提示する。
(注4)国内企業物価指数の上昇率を踏まえ、エネルギーコスト、原材料価格、労務費等のコスト上昇分を価格転嫁するために必要なものとして日車協連が算出した引上げ率。
(注5)中協法において、協同組合連合会は、所属員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結を行うことができるとされている(同法第9条の9第1項第8号)。この団体協約は、直接に組合員に対してその効力を生ずるとされ、組合員の締結する契約であって、その内容が団体協約に定める基準に違反するものについては、その基準に違反する契約の部分は、その基準によって契約したものとみなすとされている(同条第5項によって準用される同法第9条の2第14項及び第15項)。
2 本件相談に対する独占禁止法上の考え方
本件相談に係る行為は、中協法に基づき設立された協同組合連合会によるものであることから、独占禁止法第22条の規定に基づき、同法の適用が除外されるかという観点から検討した。
⑴ア 小規模の事業者の相互扶助を目的とするなどの要件を備え、かつ、法律の規定に基づいて設立された組合(組合の連合会を含む。)の行為には、独占禁止法は適用されない。ただし、不公正な取引方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合は、この限りでない(独占禁止法第22条)。
イ 事業者団体が、価格の決定等の価格制限行為を行い、これにより市場における競争を実質的に制限することは、独占禁止法第8条第1号の規定に違反する。また、市場における競争を実質的に制限するまでには至らない場合であっても、価格制限行為は、原則として独占禁止法第8条第4号の規定に違反する(事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針第2-1(価格制限行為))。
⑵ 日車協連の説明に基づけば、本件相談に係る行為は、日車協連が、単位協組の組合員が事故車両の所有者から請け負う本件自動車車体整備の対価である修理費のうち工賃を引き上げることを目的として団体協約を締結しようとするものであるが、
ア 日車協連は、中協法に基づき設立され、単位協組の組合員に大規模事業者が含まれないこととした場合においては、独占禁止法第22条第1号ないし第4号に掲げる要件を備え、かつ、本件相談に係る行為は、所属員の経済的地位の改善のために団体協約を締結しようとするものであるといえ、同条に規定する組合の連合会の行為に該当すると認められること
イ 本件相談に係る行為は、以下のことから、独占禁止法第22条ただし書に定める場合に該当しないと認められること
(ア) 不公正な取引方法を用いる場合に該当するとは認められないこと
(イ) 日本全国において自動車車体整備事業者が事故車両の所有者から請け負う本件自動車車体整備に係る単位協組の組合員の市場シェアは小さいと認められることなどから、一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合に該当するとは認められないことから、独占禁止法の適用が除外され、同法上問題となるものではない。
3 結論
以上の点を前提とすれば、日車協連の行為は、日車協連の説明に基づけば、単位協組の組合員に大規模事業者が含まれないこととした場合においては、独占禁止法上問題となるものではない。
なお、本回答に際しての判断の基礎となった事実に変更が生じた場合、その他本回答を維持することが適当でないと認められる場合には、文書により本回答の全部又は一部を撤回することがある。この場合には、このような撤回をした後でなければ、本件相談の対象とされた行為について、法的措置を採ることはない。
関連ファイル
(令和6年3月29日)自動車車体整備事業者の団体と損害保険会社との間における団体協約の締結に係る相談への回答について pdfダウンロード(150 KB)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/mar/240329jabra.pdf
(令和6年3月29日)本件の概要pdfダウンロード(136 KB)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/mar/240329jabra_gaiyo.pdf
本日、下記のとおり回答を行った。
結論は「日車協連の行為は、日車協連の説明に基づけば、単位協組の組合員に大規模事業者が含まれないこととした場合においては、独占禁止法上問題となるものではない。
なお、本回答に際しての判断の基礎となった事実に変更が生じた場合、その他本回答を維持することが適当でないと認められる場合には、文書により本回答の全部又は一部を撤回することがある。この場合には、このような撤回をした後でなければ、本件相談の対象とされた行為について、法的措置を採ることはない。」という処だ。
この公正取引の文書は、指数対応単価は保険の単価だから、そもそも損保の単価であるので、「独占禁止法上問題となるものではない」いうのは、勝手な日車協連の単価ではない。それを、指数対応単価は損保の単価だから独占禁止法上問題となるものではないのいうのは手前勝手が損保の考え方だ。
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(令和6年3月29日)自動車車体整備事業者の団体と損害保険会社との間における団体協約の締結に係る相談への回答について
令和6年3月29日
公正取引委員会
公正取引委員会は、事業者等の活動に係る事前相談制度に基づき、日本自動車車体整備協同組合連合会から相談の申出を受けたところ、本日、下記のとおり回答を行った。
1 本件相談に係る行為の概要
本件は、日本自動車車体整備協同組合連合会(以下「日車協連」という。)が、日車協連の所属員である事業協同組合(以下「単位協組」という。)(注1)の組合員に中小企業等協同組合法(以下「中協法」という。)第7条第1項第1号イ及びロ(注2)のいずれにも該当しない者(以下「大規模事業者」という。)が含まれないこととした場合において、特定の損害保険会社それぞれとの間で、事故によって損傷した自動車(以下「事故車両」という。)の所有者から単位協組の組合員が請け負う自動車車体整備(対物賠償保険又は車両保険が適用されるものに限る。また、あらかじめ損害保険会社が自動車車体整備事業者との間で締結した、事故車両の所有者に当該自動車車体整備事業者を紹介する旨の契約に基づき行われるものを除く。以下「本件自動車車体整備」という。)の取引に係る指数対応単価(注3)について、令和6年3月31日時点の指数対応単価から一定率以上(注4)引き上げることを内容とする、中協法の規定に基づく団体協約(注5)を締結するために交渉を行い、当該内容の団体協約を締結しようとするものである。
(注1)自動車車体整備事業者を組合員とする事業協同組合。日車協連及びいずれの単位協組も、中協法に基づき設立され、独占禁止法第22条第2号ないし第4号に掲げる要件を備えている。
(注2)中協法第7条第1項第3号において、組合員たる事業者が同項第1号イ又はロ(以下参照)のいずれかに該当する事業協同組合をもって組織する協同組合連合会は、独占禁止法第22条第1号の要件を備える組合とみなすとされている。
「イ 資本金の額又は出資の総額が三億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業者については五千万円、卸売業を主たる事業とする事業者については一億円)を超えない法人たる事業者
ロ 常時使用する従業員の数が三百人(小売業を主たる事業とする事業者については五十人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業者については百人)を超えない事業者」
(注3)損害保険会社が、保険金によって填補する損害の額を確定するために行う、本件自動車車体整備の対価である修理費に係る自動車車体整備事業者との交渉において、修理費のうち工賃を算出する際に用いる、指数(株式会社自研センターが定めた自動車車体整備に係る標準的な作業時間をいう。)に乗じる1時間当たりの単価をいう。
本件自動車車体整備の請負契約は、自動車車体整備事業者と事故車両の所有者との間で締結されるが、修理費は、通常、自動車車体整備事業者と損害保険会社との間での交渉を経て決定される実態にある。その交渉において、損害保険会社は、指数対応単価に指数を乗じた金額を工賃とし、部品費と合わせて修理費を算出して自動車車体整備事業者に提示するのに対し、自動車車体整備事業者は、通常、指数対応単価以上の工賃単価を基に修理費を算出して損害保険会社に提示する。
(注4)国内企業物価指数の上昇率を踏まえ、エネルギーコスト、原材料価格、労務費等のコスト上昇分を価格転嫁するために必要なものとして日車協連が算出した引上げ率。
(注5)中協法において、協同組合連合会は、所属員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結を行うことができるとされている(同法第9条の9第1項第8号)。この団体協約は、直接に組合員に対してその効力を生ずるとされ、組合員の締結する契約であって、その内容が団体協約に定める基準に違反するものについては、その基準に違反する契約の部分は、その基準によって契約したものとみなすとされている(同条第5項によって準用される同法第9条の2第14項及び第15項)。
2 本件相談に対する独占禁止法上の考え方
本件相談に係る行為は、中協法に基づき設立された協同組合連合会によるものであることから、独占禁止法第22条の規定に基づき、同法の適用が除外されるかという観点から検討した。
⑴ア 小規模の事業者の相互扶助を目的とするなどの要件を備え、かつ、法律の規定に基づいて設立された組合(組合の連合会を含む。)の行為には、独占禁止法は適用されない。ただし、不公正な取引方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合は、この限りでない(独占禁止法第22条)。
イ 事業者団体が、価格の決定等の価格制限行為を行い、これにより市場における競争を実質的に制限することは、独占禁止法第8条第1号の規定に違反する。また、市場における競争を実質的に制限するまでには至らない場合であっても、価格制限行為は、原則として独占禁止法第8条第4号の規定に違反する(事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針第2-1(価格制限行為))。
⑵ 日車協連の説明に基づけば、本件相談に係る行為は、日車協連が、単位協組の組合員が事故車両の所有者から請け負う本件自動車車体整備の対価である修理費のうち工賃を引き上げることを目的として団体協約を締結しようとするものであるが、
ア 日車協連は、中協法に基づき設立され、単位協組の組合員に大規模事業者が含まれないこととした場合においては、独占禁止法第22条第1号ないし第4号に掲げる要件を備え、かつ、本件相談に係る行為は、所属員の経済的地位の改善のために団体協約を締結しようとするものであるといえ、同条に規定する組合の連合会の行為に該当すると認められること
イ 本件相談に係る行為は、以下のことから、独占禁止法第22条ただし書に定める場合に該当しないと認められること
(ア) 不公正な取引方法を用いる場合に該当するとは認められないこと
(イ) 日本全国において自動車車体整備事業者が事故車両の所有者から請け負う本件自動車車体整備に係る単位協組の組合員の市場シェアは小さいと認められることなどから、一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合に該当するとは認められないことから、独占禁止法の適用が除外され、同法上問題となるものではない。
3 結論
以上の点を前提とすれば、日車協連の行為は、日車協連の説明に基づけば、単位協組の組合員に大規模事業者が含まれないこととした場合においては、独占禁止法上問題となるものではない。
なお、本回答に際しての判断の基礎となった事実に変更が生じた場合、その他本回答を維持することが適当でないと認められる場合には、文書により本回答の全部又は一部を撤回することがある。この場合には、このような撤回をした後でなければ、本件相談の対象とされた行為について、法的措置を採ることはない。
関連ファイル
(令和6年3月29日)自動車車体整備事業者の団体と損害保険会社との間における団体協約の締結に係る相談への回答について pdfダウンロード(150 KB)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/mar/240329jabra.pdf
(令和6年3月29日)本件の概要pdfダウンロード(136 KB)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/mar/240329jabra_gaiyo.pdf