パーツ研究 ギヤ その2(ハイポイドベベルギヤ)
クルマのファイナル・ギヤ(最終減速機)とは、一般的にデファレンシャル・ギヤ(通称デフ)と一体であることから、総称してデフと呼ばれることが多い。しかしここでは、あくまでもデフは別として、ファイナル・ギヤのことに限定して記す。
現在のクルマは横置きエンジン搭載のFF車(ジアコーサ・ドライブ)が主流だから、エンジン出力軸と車軸とは平行となる。従って、FF車のトランスアクスル(トランスミッションとファイナル&デフ・ギヤが一体となったもの)における、ファイナル・ギヤはヘリカル・ギヤ(ギヤの歯が斜めに噛み合うギヤ形態)が普通となる。これに対し、FR車やFF車でも縦置きエンジンでは、エンジン出力軸と車軸は90度の回転方向の変換を行う必用がある。この様な90度の変換は、簡易なものとしてはベベル・ギヤ(傘歯歯車)が使用される。ステアリング系など、比較的低速度かつ低トルクで回転を伝えるならベベルギヤで問題はない。しかし、ファイナル・ギヤの様な高トルク下の過酷な条件かつ静粛性を求められるものとして、ハイポイド・ベベル・ギヤ(以下ハイポイド・ギヤと記す)という方式が一般的となっている。
このハイポイド・ギヤだが、ベベル・ギヤを基本とし90度の伝達方向の変換を行うが、ヘリカル・ギヤと類似することですが歯面に捻りを加え噛み合いをスムーズにして静粛性を高めている。さらに、入力側軸と出力側軸に対して下側にオフセットさせることで、入力側となるピニオンギヤと出力側となるリングギヤの噛み合う歯面長を稼ぐことで、また、ピニオンの捻れにより、噛み合い率(同時に複数以上の歯に伝達力が働く)を向上させることで、許容トルクの増加や耐久性の向上を図っている。
なお、歯面に大きな滑りを生じることで、潤滑油にハイポイドギヤ用オイル(極圧潤滑油)を使用することが求められる他、高回転高負荷ほど油温が上昇するので、レーシングカーなどでは、デフ用オイルクーラーを持つ場合がある。市販車の場合、オイル容量を考慮するなどして対応しているのが実態だろう。
また、この下側オフセットにより、プロペラシャフトの高さを下げ、車体フロアのセンタートンネルを低くするという表現がなされているが、開くまで副次効果な問題だろう。さらに補足として記しておくが、RRの大型バスでは、エンジンとファイナルギヤの位置は180度逆転する位置関係となるが、ハイポイドギヤのオフセットは上側に位置する様に組み付けられている。これは、プロペラシャフトが極短く、TMアウトプットとデフインプットをなるべく直線化するための配置上の問題からだろう。
さて、このハイポイド・ギヤの製作だが、そもそもハイポイドとは米グリーソン社の登録商標かつ特許があり、当初はその製作もグリーソン社の工作機械を使用しなければならなかった様だ。現在では、特許の有効期限も切れ、かつNCマシンなどの発達も進み、グリーソン社製以外の工作機械以外からも作りだされているいる様だ。
なお、歯切り加工が完了したハイポイド・ギヤは、リングギヤとピニオンギヤの正規の位置関係での組み合わせ状態において、ラッピング(摺り合わせ)が為されて完成する。よって、ハイポイド・ギヤはリングギヤとピニオンギヤ・セットでの供給となるし、その組み付けについても正規の位置関係、つまり正常な歯当たりとなるよう留意することが求められる。
最後に、ファイナル・ギヤとしてのギヤ比(減速比)だが、エンジンの出力トルクの大小だとかクルマの用途(乗用、貨物など)により決定されます。なお、レーシングカーとかラリーカーにおいては、そのコースに応じて変更している様だ。なお、実際の減速比を例示すると 4.111 だとか3.029 とか割り切れない歯数の組み合わせ数値となっている。これは、同一歯だけに常に高負荷が負担されることのない様にという配慮による。
クルマのファイナル・ギヤ(最終減速機)とは、一般的にデファレンシャル・ギヤ(通称デフ)と一体であることから、総称してデフと呼ばれることが多い。しかしここでは、あくまでもデフは別として、ファイナル・ギヤのことに限定して記す。
現在のクルマは横置きエンジン搭載のFF車(ジアコーサ・ドライブ)が主流だから、エンジン出力軸と車軸とは平行となる。従って、FF車のトランスアクスル(トランスミッションとファイナル&デフ・ギヤが一体となったもの)における、ファイナル・ギヤはヘリカル・ギヤ(ギヤの歯が斜めに噛み合うギヤ形態)が普通となる。これに対し、FR車やFF車でも縦置きエンジンでは、エンジン出力軸と車軸は90度の回転方向の変換を行う必用がある。この様な90度の変換は、簡易なものとしてはベベル・ギヤ(傘歯歯車)が使用される。ステアリング系など、比較的低速度かつ低トルクで回転を伝えるならベベルギヤで問題はない。しかし、ファイナル・ギヤの様な高トルク下の過酷な条件かつ静粛性を求められるものとして、ハイポイド・ベベル・ギヤ(以下ハイポイド・ギヤと記す)という方式が一般的となっている。
このハイポイド・ギヤだが、ベベル・ギヤを基本とし90度の伝達方向の変換を行うが、ヘリカル・ギヤと類似することですが歯面に捻りを加え噛み合いをスムーズにして静粛性を高めている。さらに、入力側軸と出力側軸に対して下側にオフセットさせることで、入力側となるピニオンギヤと出力側となるリングギヤの噛み合う歯面長を稼ぐことで、また、ピニオンの捻れにより、噛み合い率(同時に複数以上の歯に伝達力が働く)を向上させることで、許容トルクの増加や耐久性の向上を図っている。
なお、歯面に大きな滑りを生じることで、潤滑油にハイポイドギヤ用オイル(極圧潤滑油)を使用することが求められる他、高回転高負荷ほど油温が上昇するので、レーシングカーなどでは、デフ用オイルクーラーを持つ場合がある。市販車の場合、オイル容量を考慮するなどして対応しているのが実態だろう。
また、この下側オフセットにより、プロペラシャフトの高さを下げ、車体フロアのセンタートンネルを低くするという表現がなされているが、開くまで副次効果な問題だろう。さらに補足として記しておくが、RRの大型バスでは、エンジンとファイナルギヤの位置は180度逆転する位置関係となるが、ハイポイドギヤのオフセットは上側に位置する様に組み付けられている。これは、プロペラシャフトが極短く、TMアウトプットとデフインプットをなるべく直線化するための配置上の問題からだろう。
さて、このハイポイド・ギヤの製作だが、そもそもハイポイドとは米グリーソン社の登録商標かつ特許があり、当初はその製作もグリーソン社の工作機械を使用しなければならなかった様だ。現在では、特許の有効期限も切れ、かつNCマシンなどの発達も進み、グリーソン社製以外の工作機械以外からも作りだされているいる様だ。
なお、歯切り加工が完了したハイポイド・ギヤは、リングギヤとピニオンギヤの正規の位置関係での組み合わせ状態において、ラッピング(摺り合わせ)が為されて完成する。よって、ハイポイド・ギヤはリングギヤとピニオンギヤ・セットでの供給となるし、その組み付けについても正規の位置関係、つまり正常な歯当たりとなるよう留意することが求められる。
最後に、ファイナル・ギヤとしてのギヤ比(減速比)だが、エンジンの出力トルクの大小だとかクルマの用途(乗用、貨物など)により決定されます。なお、レーシングカーとかラリーカーにおいては、そのコースに応じて変更している様だ。なお、実際の減速比を例示すると 4.111 だとか3.029 とか割り切れない歯数の組み合わせ数値となっている。これは、同一歯だけに常に高負荷が負担されることのない様にという配慮による。