パーツ研究 ギヤ その1
クルマの中では、ギヤと云われるパーツが使われている。
このギヤだが、一番原始的というか当初のものは、ギヤ歯が水平に噛み合う、平歯ギヤ(スパーギヤ)が開発されたのだが、これを高速で廻すとヒューンといううなり音が出るという欠点があった。(添付図参照)
そこで、開発されたのが、噛み合いを水平ではなく、斜めにして、徐々に噛み合う、斜め歯ギヤ(ヘリカルギヤ)が開発された。ただし、このヘリカルギヤは、高速で回転させても静粛だが、ギヤにスラスト力というのが生じるので、その対策が必要になる。
クルマのトランスミション(変速機)はギヤの固まりだが、マニュアルミッションで前進側の1~5(6)までは、ヘリカルギヤの常時噛み合い式だが、バック(リバース)ギヤのみ、選択時噛み合い式のスパーギヤを使用している。なので、バック走行で速度を上げると、ヒューンとうなり音を生じる場合が多いのだ。これは、リバースの場合、逆転させるため、アイドルギヤ(中間ギヤ)をドライブ(駆動)ギヤとドリブン(被駆動)ギヤの間に移動させて、噛み合いを成立させるが、この様なギヤ自体の選択噛み合いにはスパーキヤの方が、噛み合い易く適していると云うことだろう。
なお、スターターモーターのピニオンとリングギヤも、スパーギヤだが、これもエンジン始動時のみピニオンを移動させかみ合わせるが、噛み合い易くという点から導入している。
現在のオートマチックトランスミッションは、トルクコンバーターとプラネタリギヤユニットを複数使うステップATが主流だが、このプラネタリギヤの各要素ギヤ(サン、ピニオン、リング)の総てに、ヘリカルギヤが使われており、静音化を図っている。
これらギヤの歯の断面を見ると、歯面は平らでなく局面を持っているが、この局面はインボリュート曲線という名で呼ばれるものとなっている。この理由は、連続する歯の噛み合いが、スムーズに次の歯に移り、歯の打撃音などの点で静粛性上も有利などの理由による。(添付図参照)
なお、ギヤ間にはバックラッシュという隙間が絶体に必用となるが、これは歯面の油膜を保ち、歯面焼き付きを防ぐためだ。また、バックラッシュだとか、ヘリカルギヤのスラスト隙間は小さすぎると、油膜が作れず焼き付くが、大きすぎると、歯先先端の掛けだとか、ギヤが逃げることでのギヤ抜けという現象の要因となる。
【バックラッシュのこと】 2016-12-07 記述(シザーズギヤのことも含む)
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/d581428f1c1d77efcd4709efc0480bdd
また、特殊なギヤの構成として、シザースギヤという機構がある。これは、エンジンのバルブ駆動とか、トランスミッションのインプットギヤとカウンターギヤ間の間の様に、ある程度回転変動のある部位において使用される場合がある機構だ。2つのギヤ間で動力伝達する場合に、バックラッシュが必要になるが、ドリブン(被駆動)側ギヤを、一枚のギヤを厚みの大きい主ギヤと薄い副ギヤに分けて重ね、この間をスプリングで押し付けることにより、見掛けのバックラッシュをなくすものだ。ただし、見掛けのバックラッシュはなくなったとはいえ、対して強いスプリング力ではないので、油膜は保たれ、焼き付くことはないと云うものだ。これにより、回転変動がある中での歯打ち音を防いでいるものだ。
なお、トランスミションなどの中身を観察してみれば判るが、そのギヤの最大トルクに応じて、ギヤ歯の歯幅(ギヤの厚み)は大きくなり、より広い面積で歯の受ける荷重を一定の範囲内に留める留意がなされている。横置きエンジンFF車の場合、トランスミションとデフギヤが一体化されたトランスアクスルとなるが、一番歯厚が大きいギヤは、デフに直結するファイナルギヤとなるのは当然で、2000ccクラス乗用車のガソリンエンジンでのファイナルギヤ比は、4前後が一般的であり、ここでトルクを4倍にしている訳だから当然だろう。
また、トランスミションやデフギヤの選択についての最大要件は、その機構が持つ最大トルク容量が基本になり、エンジンの最大トルクに応じて、トランスミションなどを使い分けている場合が多い。例えば、過去の高馬力高トルクのスポーツ用エンジンが国産車で登場した頃、トランスミションはドイツ製ゲトラク社製が多用されたが、当時国産MTミッションで、高トルク容量のMTミッションがなく、新規開発するより流用した方がその生産台数などから有利と判断したものと想像する。
ギヤの製造だが、一般に工作機械としては、俗にホブマシン(盤)という、切り歯がトウモロコシみたいな形状の歯で原形素材を切削して行く工法となる。なお、原形素材は、予め熱間鍛造などで、緻密な組織としたものを用いる。また、ギヤの歯切り加工が完了した後、高周波加熱などを用いて、歯の表面硬化処理を行う。
クルマの中では、ギヤと云われるパーツが使われている。
このギヤだが、一番原始的というか当初のものは、ギヤ歯が水平に噛み合う、平歯ギヤ(スパーギヤ)が開発されたのだが、これを高速で廻すとヒューンといううなり音が出るという欠点があった。(添付図参照)
そこで、開発されたのが、噛み合いを水平ではなく、斜めにして、徐々に噛み合う、斜め歯ギヤ(ヘリカルギヤ)が開発された。ただし、このヘリカルギヤは、高速で回転させても静粛だが、ギヤにスラスト力というのが生じるので、その対策が必要になる。
クルマのトランスミション(変速機)はギヤの固まりだが、マニュアルミッションで前進側の1~5(6)までは、ヘリカルギヤの常時噛み合い式だが、バック(リバース)ギヤのみ、選択時噛み合い式のスパーギヤを使用している。なので、バック走行で速度を上げると、ヒューンとうなり音を生じる場合が多いのだ。これは、リバースの場合、逆転させるため、アイドルギヤ(中間ギヤ)をドライブ(駆動)ギヤとドリブン(被駆動)ギヤの間に移動させて、噛み合いを成立させるが、この様なギヤ自体の選択噛み合いにはスパーキヤの方が、噛み合い易く適していると云うことだろう。
なお、スターターモーターのピニオンとリングギヤも、スパーギヤだが、これもエンジン始動時のみピニオンを移動させかみ合わせるが、噛み合い易くという点から導入している。
現在のオートマチックトランスミッションは、トルクコンバーターとプラネタリギヤユニットを複数使うステップATが主流だが、このプラネタリギヤの各要素ギヤ(サン、ピニオン、リング)の総てに、ヘリカルギヤが使われており、静音化を図っている。
これらギヤの歯の断面を見ると、歯面は平らでなく局面を持っているが、この局面はインボリュート曲線という名で呼ばれるものとなっている。この理由は、連続する歯の噛み合いが、スムーズに次の歯に移り、歯の打撃音などの点で静粛性上も有利などの理由による。(添付図参照)
なお、ギヤ間にはバックラッシュという隙間が絶体に必用となるが、これは歯面の油膜を保ち、歯面焼き付きを防ぐためだ。また、バックラッシュだとか、ヘリカルギヤのスラスト隙間は小さすぎると、油膜が作れず焼き付くが、大きすぎると、歯先先端の掛けだとか、ギヤが逃げることでのギヤ抜けという現象の要因となる。
【バックラッシュのこと】 2016-12-07 記述(シザーズギヤのことも含む)
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/d581428f1c1d77efcd4709efc0480bdd
また、特殊なギヤの構成として、シザースギヤという機構がある。これは、エンジンのバルブ駆動とか、トランスミッションのインプットギヤとカウンターギヤ間の間の様に、ある程度回転変動のある部位において使用される場合がある機構だ。2つのギヤ間で動力伝達する場合に、バックラッシュが必要になるが、ドリブン(被駆動)側ギヤを、一枚のギヤを厚みの大きい主ギヤと薄い副ギヤに分けて重ね、この間をスプリングで押し付けることにより、見掛けのバックラッシュをなくすものだ。ただし、見掛けのバックラッシュはなくなったとはいえ、対して強いスプリング力ではないので、油膜は保たれ、焼き付くことはないと云うものだ。これにより、回転変動がある中での歯打ち音を防いでいるものだ。
なお、トランスミションなどの中身を観察してみれば判るが、そのギヤの最大トルクに応じて、ギヤ歯の歯幅(ギヤの厚み)は大きくなり、より広い面積で歯の受ける荷重を一定の範囲内に留める留意がなされている。横置きエンジンFF車の場合、トランスミションとデフギヤが一体化されたトランスアクスルとなるが、一番歯厚が大きいギヤは、デフに直結するファイナルギヤとなるのは当然で、2000ccクラス乗用車のガソリンエンジンでのファイナルギヤ比は、4前後が一般的であり、ここでトルクを4倍にしている訳だから当然だろう。
また、トランスミションやデフギヤの選択についての最大要件は、その機構が持つ最大トルク容量が基本になり、エンジンの最大トルクに応じて、トランスミションなどを使い分けている場合が多い。例えば、過去の高馬力高トルクのスポーツ用エンジンが国産車で登場した頃、トランスミションはドイツ製ゲトラク社製が多用されたが、当時国産MTミッションで、高トルク容量のMTミッションがなく、新規開発するより流用した方がその生産台数などから有利と判断したものと想像する。
ギヤの製造だが、一般に工作機械としては、俗にホブマシン(盤)という、切り歯がトウモロコシみたいな形状の歯で原形素材を切削して行く工法となる。なお、原形素材は、予め熱間鍛造などで、緻密な組織としたものを用いる。また、ギヤの歯切り加工が完了した後、高周波加熱などを用いて、歯の表面硬化処理を行う。