私の思いと技術的覚え書き

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狙い通りのエンジントラブル

2018-05-09 | 車両修理関連
 何時もお世話になってる板金屋さんから、BMWミニクロスオーバー(R60)で、エンジンが不調との応援要請を受けた。早速点検を始めるが、明らかにどこか1本シリンダーが死んでる症状だ。スパークプラフを外すと、No4だけビジャビシャで、火花点検するとOK。こうなると圧縮だわなと、近くの知り合い工場からコンプレッションゲージを借りて来て、全シリンダー点検するとNo4だけゼロと判明した。

 板金屋さんには、何れにしてもエンジン内部が原因であって、たぶんバルブ系だろうと思うが、だとしてもバルブ単品替えて直るかどうか判らないから、中古エンジン探したらと提案しておいた。当方の見立てでは、この手のエンジン(N16)の出物は極少ないし、素性が怪しくない中古エンジンだと40万くらいは見込む必要あるだろうとも話していたのだ。そして、しばらくして同型エンジン搭載のR56で、走行2万程の事故車を25万程で見つけて来て、載せ替えることになったのだった。それが、ちょっと前の記事、”エアバックの作動の不思議”と表したクルマなのだが、そのエンジンをATトランスアクスルは付け替えて(タイヤサイズが異なることから、ファイナルレシオが違う可能性があると当方より提言)、乗せ替えたのだった。その結果はとして、すこぶる良好な状態に復元となった。

 さて、旧エンジンだが、ある程度分解して原因を見極めたというのが、今回の話の主旨なのだ。このクルマだが走行10万を超えるが、ヘッド上面内部のスラッジもないしオイル管理は良好だったと想像できる。ヘッドを外すために、まずはマニホールドを外し、ポート内部を観察してみる。このクルマ、インテークバルブにバルブトロニックというバルブ開度を可変にしてスロットル作用を行う機構が付くが、直噴ではなく従来からのポート噴射だ。10万キロ超えでもポート内部は、スラッジも極少なく綺麗なものだ。やはり、常にガソリンで洗われるポート噴射は良い。そして、いよいよヘッドを外すが、まったく想定通りの症状で、エキゾーストバルブの1本が欠損していることを確認したのだった。

 なお、この欠損だが、その様相は溶損なのか、機械的折損なのか、現状では判断しかねると思っている。当方の過去の経験から判じれば、溶損だとラジアルにシュッとスリットが入った様な様相が多く、如何にも昇温して溶けたという感じを見ることが多かったからなのだ。しかし、仮に機械的折損だとしても、バルタイが狂っている様子もなく、ピストンと衝突してとは考えられず、昇温して機械的強度が低下した結果、着座時の衝撃が招いたのかもしれない。

 このエンジンだが、シリンダー内面などはまったく問題なく、バルブを全数抜いて点検する要はあるが、もしかすると、問題のエキゾーストバルブ1本替えて、シートカッターでさらっとなめて、ちょっと擦り合わせてやれば直る可能性大きいかもと思ってしまう。板金屋さんは、エンジンくれると云うが、仮にバルブ1本とガスケット類やオイルなどの合計部品代で5万であり、仮に30万で売れれば25万儲けだが、置き場も手狭だし考えてしまうところなのだ。





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