BMWなど欧州車のドアヒンジは何故鋳鉄製か?
たまたま見たある方のブログで、以下の表題と内容のブログ記事に触れ、様々な考察をなされていました。国産車でもレクサスでもLSなど上級車の一部に使用されているのを見ると、NVHや音振などの理由なのかとも思うが良く判らないという内容なのだが・・・。
これを見られた、欧州車好きの方々はどんな解釈をされるのだろうか?
本件について、私は以下の内容と解釈している。
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wiseman410 より:
2021年7月9日 7:34 PM
長年欧州車とも触れあって来た、クルマとの付き合いが半世紀に近くなろうという、元整備士、以降は損保評価人を長く職業にして来た者です。
BMWなど欧州車でドアヒンジのボデー側が鋳鉄(通常ねずみ鋳鉄は強度と脆性が低く割れ易いのでたぶん強度の高いダクタイル鋳鉄だと推定)ですが、私は以下の様に解釈しています。
それは、ヒンジそのものではなく、ボデー側ヒンジ(溶接装着)とドア側ヒンジ(ボルト固定)との間にヒンジピンが垂直に入り機能しますが、欧州車はこのヒンジピンが比較的簡単に抜ける構造になっており、ボデーからドアを外す際は、このヒンジピンの抜き取りで行えることが要件としてのボデー側ヒンジの鋳鉄化であろうというものです。
では、何故国産車ではまず引き抜くことができないヒンジピンの抜き取り構造が欧州車で使われているかということを以下に述べてみます。
およそ、現代の生産工程では、世界中でそうなってしまったのですが、予めボデーの組立工程(含むドアの装着)など金属部分を総て装着後、カチオンED(電着)塗装(これは下塗り)から上塗り塗装までの総ての塗装工程を終えます。
その後、艤装ラインと呼ばれる、ボデーに各種装備品を取り付ける工程に入りますが、インストルメントパネルなど、室内の大物部品の装着を補助機械(ジグ)を使用するためもあり、少なくとも左右フロントドアを世界中の車両メーカーでは行っています。ここで、少なくともと記したのは、4ドア車などではリヤドアまでを外している場合もあるからです。
この際、日本車の場合は、ボデー側およびドア側共にボルト付け部品ですから、ドア側のボルトを抜き取り外します。日本車の場合ですが、ボデーやドアの寸法精度が極めて高精度で、ドアなど蓋物パーツと呼ばれるボルト付け部品には、ボルト根元がテーパー状となったセンタリングボルトが使用されています。従って、一度ボルトを緩め外したドアを再度ボルト付けしても、ドアチリ(隣接パネルとの隙間)は狂いが生じません。ただし、当該ボルトの緩め時に、ボルトに塗膜のハガレが生じることもあり、ボルトの再組付けでは、黒染め処理したボルトを使用していることが多いのです。
一方、欧州車の場合、ボデー側ヒンジは溶接付けで外せませんが、ドア側ヒンジはボルト付けで日本車と同様に物理的には外せますが、実は欧州車のドア側ボルトは国産車の様なセンタリングボルトは使用せず、かなりの調整代を持っています。また、ヒンジとドア本体の間にスペーサーを挟み込み、ドア外板のチリを調整している場合が多く、生産ラインにおいてドア側ボルトの緩めによるドア外しを行いたくないのです。そのため、ヒンジピンを抜き取れば、ドアの再組付けで狂いが生じることなく可能というとことが、本件の根源的な理由になろうかと推察します。
つまり、ボデーの寸法精度が、欧州車に比べ日本車は桁違いに高精度で、たぶんドアヒンジ廻りの国産車のXYZの寸法精度は±0.5mmのレベルに達していると推察します。なお、このことは、ドアだけでなく、例えばヘッドライトは国産も輸入車も4本程度のボルト固定ですが、ほとんど調整代のないのが国産車で、最新型欧州車でも、XYZで±5mm前後の調整代があるのが現状なのです。
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サラリーマンのBMWで駆け抜けよう
表題:ドアヒンジに見るBMWと国産車の違い
内容:BMWなど欧州車はドアヒンジに鋳鉄製のものが使用されているが、どんな理由からなのだろう。
https://run-through-bmw.com/door-hinge/?unapproved=1056&moderation-hash=7134bf8f6d86421fdb3011f718183603#comment-1056
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たまたま見たある方のブログで、以下の表題と内容のブログ記事に触れ、様々な考察をなされていました。国産車でもレクサスでもLSなど上級車の一部に使用されているのを見ると、NVHや音振などの理由なのかとも思うが良く判らないという内容なのだが・・・。
これを見られた、欧州車好きの方々はどんな解釈をされるのだろうか?
本件について、私は以下の内容と解釈している。
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wiseman410 より:
2021年7月9日 7:34 PM
長年欧州車とも触れあって来た、クルマとの付き合いが半世紀に近くなろうという、元整備士、以降は損保評価人を長く職業にして来た者です。
BMWなど欧州車でドアヒンジのボデー側が鋳鉄(通常ねずみ鋳鉄は強度と脆性が低く割れ易いのでたぶん強度の高いダクタイル鋳鉄だと推定)ですが、私は以下の様に解釈しています。
それは、ヒンジそのものではなく、ボデー側ヒンジ(溶接装着)とドア側ヒンジ(ボルト固定)との間にヒンジピンが垂直に入り機能しますが、欧州車はこのヒンジピンが比較的簡単に抜ける構造になっており、ボデーからドアを外す際は、このヒンジピンの抜き取りで行えることが要件としてのボデー側ヒンジの鋳鉄化であろうというものです。
では、何故国産車ではまず引き抜くことができないヒンジピンの抜き取り構造が欧州車で使われているかということを以下に述べてみます。
およそ、現代の生産工程では、世界中でそうなってしまったのですが、予めボデーの組立工程(含むドアの装着)など金属部分を総て装着後、カチオンED(電着)塗装(これは下塗り)から上塗り塗装までの総ての塗装工程を終えます。
その後、艤装ラインと呼ばれる、ボデーに各種装備品を取り付ける工程に入りますが、インストルメントパネルなど、室内の大物部品の装着を補助機械(ジグ)を使用するためもあり、少なくとも左右フロントドアを世界中の車両メーカーでは行っています。ここで、少なくともと記したのは、4ドア車などではリヤドアまでを外している場合もあるからです。
この際、日本車の場合は、ボデー側およびドア側共にボルト付け部品ですから、ドア側のボルトを抜き取り外します。日本車の場合ですが、ボデーやドアの寸法精度が極めて高精度で、ドアなど蓋物パーツと呼ばれるボルト付け部品には、ボルト根元がテーパー状となったセンタリングボルトが使用されています。従って、一度ボルトを緩め外したドアを再度ボルト付けしても、ドアチリ(隣接パネルとの隙間)は狂いが生じません。ただし、当該ボルトの緩め時に、ボルトに塗膜のハガレが生じることもあり、ボルトの再組付けでは、黒染め処理したボルトを使用していることが多いのです。
一方、欧州車の場合、ボデー側ヒンジは溶接付けで外せませんが、ドア側ヒンジはボルト付けで日本車と同様に物理的には外せますが、実は欧州車のドア側ボルトは国産車の様なセンタリングボルトは使用せず、かなりの調整代を持っています。また、ヒンジとドア本体の間にスペーサーを挟み込み、ドア外板のチリを調整している場合が多く、生産ラインにおいてドア側ボルトの緩めによるドア外しを行いたくないのです。そのため、ヒンジピンを抜き取れば、ドアの再組付けで狂いが生じることなく可能というとことが、本件の根源的な理由になろうかと推察します。
つまり、ボデーの寸法精度が、欧州車に比べ日本車は桁違いに高精度で、たぶんドアヒンジ廻りの国産車のXYZの寸法精度は±0.5mmのレベルに達していると推察します。なお、このことは、ドアだけでなく、例えばヘッドライトは国産も輸入車も4本程度のボルト固定ですが、ほとんど調整代のないのが国産車で、最新型欧州車でも、XYZで±5mm前後の調整代があるのが現状なのです。
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サラリーマンのBMWで駆け抜けよう
表題:ドアヒンジに見るBMWと国産車の違い
内容:BMWなど欧州車はドアヒンジに鋳鉄製のものが使用されているが、どんな理由からなのだろう。
https://run-through-bmw.com/door-hinge/?unapproved=1056&moderation-hash=7134bf8f6d86421fdb3011f718183603#comment-1056
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