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平板ガラス多用の理由は?

2017-01-08 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 表題は昨年の記事であるが、若干手直しして再掲載する。
 最近のクルマにおいて、急傾斜フロントガラスが流行であるが、それと共にガラス自体が幾らかの曲面を持つとはいうものの平板化していることに気づかされる。これが、幾ら外板やランプ類をリ・デザインしても、アナログ旧車と比べ、何か物足りなく思わせているデザインの理由の一つにも感じられる。

 例えば、50~60年代のアメ車など、フロントピラーが前傾しており、左右コーナーで大きくラウンドしたフロントウインドのクルマが多くあった。同じく旧車となるが、トヨタ2000GTとか、ランチア・ストラトスなど、フロントピラーは後傾しているが、ガラス中央部からのオフセットは大きく、大きくラウンドしたフロントウインドが、やはり目立つものであった。しかし、この様なデザインの現代車は稀だで、ガラスはラウンド少なく平板化している。この理由として、勝手な想像だが幾つか上げてみる。

①左右ピラー間の結合剛性を強化したいこと
 たぶんこれが一番大きな理由となると推察するが、車体のメインバルクヘッドとなるべきダッシュ&カウルパネルの強度を上げたいというのが、対オフセットバリア試験対応として求められるのであろう。その中で、カウル上部の閉断面メンバーの比強度の高めるため、なるべく直線化したいということがあると想像する。

②フロント(A)ピラーをくびれのない直線化したいこと
 フロントピラーは垂直なヒンジピラーに対し、ガラス部は傾斜しているので、まったくの直線化はできない。しかし、ラウンドさせるデザインを取り入れると、ヒンジピラーとガラス部とで食い違い、くびれ状の部位を作ることになる。いわゆる段面形状の変化部位が大きくなる訳だが、対オフセットバリア試験でのキャビン剛性が低下するのを怖れるのであろう。

③ガラスのコストを下げたいこと
 近年ガラスは薄板化(重量軽減)されつつあるが、それと共にフロントウインドでは、視界中の歪み(主に板厚の不均一から生じると想像される)が少ないことが求められる。そこで、ラウンドタイプより平板化した方が、均一な板厚に仕上げ易く、サプライヤーにコストダウンを要求できると想像される。しかし、最近の平板フロントウインドでも、運転席から左斜め前方を透かして見ると、結構歪みが目立つ個体に気付くのが現状だ。

 以上、勝手な想像をするのだが、平板フロントガラスは急傾斜ピラーと合わせ右ピラーが視界の中に大きく入り込み、特に右折時や右タイトコーナーでの視界を損なうという大きな欠点があると感じている。そして、車体デザインとしての自由度を奪うもとも感じるのだ。


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