BMW車の例だが、エンジンチェックランプ(EML)が点灯し、スキャンテスターでDTCを読み出すと「E4 Fuel trim bank 2,permissible range exceeded」もしくは「E4 Fuel trim bank 1,permissible range exceeded」と表示する場合の事例から考えてみたい。
このDTCの英語表記は、直訳すると「フェーエルトリム(バンクX)は許容囲を超えた」と解する。ここでバンク1とか2は、V型エンジンなどでは左右バンクでO2センサーを2つ使用している場合があるが、L6エンジンでも前3気筒と後ろ3気筒をEXマニホールドを集合させて、2つのO2センサーを使用している場合前側がバンク1を後ろ側がバンク2となる様だ。
ところで現代ガソリンエンジンはデジタルコンピューター制御の燃料噴射が極当たり前なのだが、この中でエアマス(もしくはエアフロー)センサーが付いたタイプは、昔で云うところのLジェトロニックタイプという方式となる。パテントはボッシュが保持していたが、既に40年経ているのでパテントは切れているとは想像するが・・・。
このタイプは、吸入空気量(質量もしくは容積値)を直接計量しているので、通常の走行における理論空燃比(A/F(エーバーエフ))は1:14.7(ガソリン1に対して空気14.7)という比だから、以下の算式で基本空燃比は算出される。
基本噴射量(噴射時間)=(吸入空気量/回転数)・係数
正しいかどうかは未定ながら、ここでの基本噴射量の値を私はフューエルトリムの基準となるベースラインだと認識している。
エンジン制御は、この基本噴射量をベースに、冷間時だとか加速時だとか、高負荷時などにおいて、空燃比を補正させて対応していると云うことになる。
それでは、EMLなどのエンジンチェック(DTC)で、何故フューエルトリムが許容値を超えたと判定出来るのかと云えば、O2センサーによるフィードバックが継続しているかどうかがポイントとなる。つまり、O2センサーによるフィードバックが継続しているものの、常にリッチ側に寄って制御しているか、その逆に常にリーン側に寄って制御しているかで、一定時間の積算値でその平均値がフュールトリムの基準となるベーストリム(すなわち基本噴射量)より±20%(あるクルマでは±35%を超すと、このエラーを出す様だ。
なお、O2センサー単独のDTCとしても、リッチもしくはリーン信号が一定時間以上継続し、反転しない場合は、例えばO2センサーリーン異常みたいなDTCが出される。
話しをフュエールトリムに戻すが、フェーエルトリムが範囲を超えたとDTCにエラー報告すると、以後はなんらかの不具合があるとして、フィードバック制御は停止される。
ところで、既にだいぶ時は経たが、ガソリンエンジンの排出ガス規制は昭和53年規制以降、一定の走行パターン(10、11、JC08[現行]など)の走行モードにおいて、常に理論空燃比近郊に排出ガスを制御し、三元触媒において、CO、HCの酸化と、NOxの還元の同時浄化を謀るため、触媒上流の排気ガス酸素量をO2センサーで検出して、それに基づいて、噴射量の増量と減量を絶えず行い理論空燃比に近づけるフィードバック制御を行っている。つまり、排気ガス中の酸素量が多い場合はO2センサーの起電力はほぼゼロ値に近似するので、空燃比が濃いと判断して噴射量を減量させる。逆に排気ガス中の酸素量が多い場合は、O2センサーの起電力は高く(約1V)なるので、空燃比が薄いと判断して噴射量を増量させる。各種試験モードの範囲内の走行条件では、この様にして絶えず噴射量の増減を繰り返して理論空燃比近郊に制御し、三元触媒の浄化能率を向上させ排気ガスを浄化している訳だ。
なお、各種試験モードにおいては加速状態もあるが、フルスロットルを求めるまでの急加速状態はない。従って、実走行において、登坂路をフルスロットルで登坂したりする高負荷条件では、理論空燃比のままであると、そもそも最大出力が出せないし、もしフィードバック制御を続けると燃焼室内の温度が高くなり過ぎ、排気バルブの溶損などトラブルが生じる可能性すらあるから、フィードバック制御を中断し出力空燃比1:12程に空燃比にしている。つまり、基本噴射量の算式での係数の値が変わるのだろう。
と云うことで、DTCで「フューエルトリムが許容値を超えた」と検出される場合、一番疑わしいのは基本噴射量を決定する要となるエアマスセンサーの狂いの可能性が高い。なお、スロットルバルブ下流からインテークマニホールド間にラバーホースがある構造で、同ラバーホースに亀裂によるエア混入がある場合も、エアマスセンサーで計量された以外の空気を吸入している訳で、同様のトラブルが出る可能性はある。
【実例】
マイカーのE46でのことだが、例のDTCで「フューエルトリムが許容値を超えた」が昨年辺りから出るようになった。このエラーは過去にも出て、給気ラバーホースの亀裂などの修理も経てきたのだが、いよいよエアマスセンサーが悪いのかと、とりあえず同センサーのセンサー部(ホットフィルム式)をアルコール洗浄などして使い続けていたのだが、DTCエラーが頻繁に出ることから、ヤフオクで新品約¥5千円というバカ安のものを購入してみた。この結果は、約半年で再度DTCエラーが頻発する様になってしまった。この新品¥5千円の商品は、ブランド名も記していないが、おそらく中華のイミテーションパーツなのだろう。
と云うことで、純正(シーメンス製)もしくは純正相当のVDO(シーメンスの子会社)、ヘラー辺りの価格は2万から3万円前後までと価格がぜんぜん違う。そこで、中古を前提に純正部品のものを特定して入手して現在使用中だが、DTCエラーは今のところ生じていない。
このDTCの英語表記は、直訳すると「フェーエルトリム(バンクX)は許容囲を超えた」と解する。ここでバンク1とか2は、V型エンジンなどでは左右バンクでO2センサーを2つ使用している場合があるが、L6エンジンでも前3気筒と後ろ3気筒をEXマニホールドを集合させて、2つのO2センサーを使用している場合前側がバンク1を後ろ側がバンク2となる様だ。
ところで現代ガソリンエンジンはデジタルコンピューター制御の燃料噴射が極当たり前なのだが、この中でエアマス(もしくはエアフロー)センサーが付いたタイプは、昔で云うところのLジェトロニックタイプという方式となる。パテントはボッシュが保持していたが、既に40年経ているのでパテントは切れているとは想像するが・・・。
このタイプは、吸入空気量(質量もしくは容積値)を直接計量しているので、通常の走行における理論空燃比(A/F(エーバーエフ))は1:14.7(ガソリン1に対して空気14.7)という比だから、以下の算式で基本空燃比は算出される。
基本噴射量(噴射時間)=(吸入空気量/回転数)・係数
正しいかどうかは未定ながら、ここでの基本噴射量の値を私はフューエルトリムの基準となるベースラインだと認識している。
エンジン制御は、この基本噴射量をベースに、冷間時だとか加速時だとか、高負荷時などにおいて、空燃比を補正させて対応していると云うことになる。
それでは、EMLなどのエンジンチェック(DTC)で、何故フューエルトリムが許容値を超えたと判定出来るのかと云えば、O2センサーによるフィードバックが継続しているかどうかがポイントとなる。つまり、O2センサーによるフィードバックが継続しているものの、常にリッチ側に寄って制御しているか、その逆に常にリーン側に寄って制御しているかで、一定時間の積算値でその平均値がフュールトリムの基準となるベーストリム(すなわち基本噴射量)より±20%(あるクルマでは±35%を超すと、このエラーを出す様だ。
なお、O2センサー単独のDTCとしても、リッチもしくはリーン信号が一定時間以上継続し、反転しない場合は、例えばO2センサーリーン異常みたいなDTCが出される。
話しをフュエールトリムに戻すが、フェーエルトリムが範囲を超えたとDTCにエラー報告すると、以後はなんらかの不具合があるとして、フィードバック制御は停止される。
ところで、既にだいぶ時は経たが、ガソリンエンジンの排出ガス規制は昭和53年規制以降、一定の走行パターン(10、11、JC08[現行]など)の走行モードにおいて、常に理論空燃比近郊に排出ガスを制御し、三元触媒において、CO、HCの酸化と、NOxの還元の同時浄化を謀るため、触媒上流の排気ガス酸素量をO2センサーで検出して、それに基づいて、噴射量の増量と減量を絶えず行い理論空燃比に近づけるフィードバック制御を行っている。つまり、排気ガス中の酸素量が多い場合はO2センサーの起電力はほぼゼロ値に近似するので、空燃比が濃いと判断して噴射量を減量させる。逆に排気ガス中の酸素量が多い場合は、O2センサーの起電力は高く(約1V)なるので、空燃比が薄いと判断して噴射量を増量させる。各種試験モードの範囲内の走行条件では、この様にして絶えず噴射量の増減を繰り返して理論空燃比近郊に制御し、三元触媒の浄化能率を向上させ排気ガスを浄化している訳だ。
なお、各種試験モードにおいては加速状態もあるが、フルスロットルを求めるまでの急加速状態はない。従って、実走行において、登坂路をフルスロットルで登坂したりする高負荷条件では、理論空燃比のままであると、そもそも最大出力が出せないし、もしフィードバック制御を続けると燃焼室内の温度が高くなり過ぎ、排気バルブの溶損などトラブルが生じる可能性すらあるから、フィードバック制御を中断し出力空燃比1:12程に空燃比にしている。つまり、基本噴射量の算式での係数の値が変わるのだろう。
と云うことで、DTCで「フューエルトリムが許容値を超えた」と検出される場合、一番疑わしいのは基本噴射量を決定する要となるエアマスセンサーの狂いの可能性が高い。なお、スロットルバルブ下流からインテークマニホールド間にラバーホースがある構造で、同ラバーホースに亀裂によるエア混入がある場合も、エアマスセンサーで計量された以外の空気を吸入している訳で、同様のトラブルが出る可能性はある。
【実例】
マイカーのE46でのことだが、例のDTCで「フューエルトリムが許容値を超えた」が昨年辺りから出るようになった。このエラーは過去にも出て、給気ラバーホースの亀裂などの修理も経てきたのだが、いよいよエアマスセンサーが悪いのかと、とりあえず同センサーのセンサー部(ホットフィルム式)をアルコール洗浄などして使い続けていたのだが、DTCエラーが頻繁に出ることから、ヤフオクで新品約¥5千円というバカ安のものを購入してみた。この結果は、約半年で再度DTCエラーが頻発する様になってしまった。この新品¥5千円の商品は、ブランド名も記していないが、おそらく中華のイミテーションパーツなのだろう。
と云うことで、純正(シーメンス製)もしくは純正相当のVDO(シーメンスの子会社)、ヘラー辺りの価格は2万から3万円前後までと価格がぜんぜん違う。そこで、中古を前提に純正部品のものを特定して入手して現在使用中だが、DTCエラーは今のところ生じていない。