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大型車のハブプレロード調整(日野マニュアルより)

2021-02-24 | 車両修理関連
 車両の4輪を受け持つハブベアリングについては、現在の乗用車についてはすべてボールベアリング(正式には対抗する複列のボールベアリングを使用したダブルアンギュラボールベアリング)を使用している。このタイプは、ハブベアリングロックナットをかなり強い強く締め付けトルク基準で締め付ければ、特にプレロードの確認調整は行わなくても基準のプレロードが確保出来る仕組みになっている。しかし、トラックとか旧型乗用車には、ボールベアリングででなくテーパーローラーベアリングが使用されており、ロックナットを強く締めすぎたまま運行すると、ベアリングの与圧が高過ぎ油膜を作ることが出来ないからだろう、ハブベアリングが焼き付き、大変危険な事態に陥る可能性がある。

 もう何十年も前に見た光景だが、2トンクラスのトラックだが、フロントのハブベアリングは、その負荷分担において、スピンドル根元は大径の、スピンドル先端は小径のベアリングが使われているのだが、超高プレロードのまま使用し続けていたのだろう。該当前輪が走行中に脱落し、該当部位を確認したところ、外側の小径ベアリングが焼き付き、その際の摩擦熱での昇温も相当にあったのだろう、スピンドルはねじ切れ多状態であった。幸いに大事故にはならず、死傷者も出なかったのだが、恐ろしい光景だと思い出す。

 テーパーローラーのプレロード調整は、この当時でもトヨタの場合だが、ベアリング組付け後、①ロックナットを基準値で締め付ける、②タイヤを前後に数回転してベアリングを落ち着かせる。(センターリングする)、③ロックナットを完全に緩める。④ロックナットの適合サイズのソケットを片手に握り目一杯手だけで締める。、⑤この際、割ピンとかの位置で不適合な場合は、最小限締め付け方向に締める。⑥この後、タイヤを前後数回転させ、プレロード計(もしくはバネ計りでプレロードが基準値にあることを確認する。

 たぶんだが、テーパーローラータイプの乗用車であれば、他車も含め類似の範囲の調整だろう。
 ところで、今般、Netで日野の大型トラックのプレロード調整を行う手順を再確認して見たので、引き継がれた経験だけで行っている方は特に再確認してもらいたい。以下7ページの手順を、項目と主な要点を記してみたい。

①ハブ組付け後、ロックナットを基準トルクで締め付ける。200N・m
②スピンドル先端を小型ハンマーを当て金(ダブルハンマー)として、3ポンド以上のハンマーで3回強めに叩く。
③タイヤを同一方向へ3回転させる。(ベアリングの整列を行う。)
④締め付けたロックナットをホイールサイズに応じて、以下の角度戻す。
 ・19.5 90°戻す。
 ・22.5 60°戻す。
⑤②と同様にダプルハンマーでスピンドル先端を3回強めに叩く。
⑥タイヤを同一方向へ3回転させる。
⑦タイヤを揺すって、ガタのないことを確認する。もしくは、タイヤをハンマーで叩き、澄んだ音であればガタなし。濁った音であればガタありと判断する。
⑧ガタがある場合、④の戻し角度を以下の角度に変更して作業する。
 ・19.5 90°→60°に変更して戻す。
 ・22.5 60°→30°に変更して戻す。
⑨ロックナットを規定トルクで締める。25N・m
⑩タイヤがスムーズに回転することを確認する。
⑪プレロード計もしくはバネ計りでプレロードを計測し、起動トルクが基準値内にあることを計測する。
 ・プレロード計 3.0~5.0N・m(限度10N・m)
 ・バネ計り(ハブボルト8もしくは10の外周に紐を巻き付け、バネばかりで引き起動荷重を計測する。19.3~32.3N・m(限度19.5 8穴 64.0N・m、22.5 8穴 60.0N・m 10穴 54.0N・m








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