私の思いと技術的覚え書き

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オワコン技術に未練タラタラのトヨタ

2021-12-27 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
オワコン技術に未練タラタラのトヨタ
 燃料電池と聞き、新しい技術だと考えると大きな間違いで、あの映画となった「アポロ13」での爆発も、純水素と酸素を使う燃料電池を使用していたことが知れる。だから、原理だとか、実用化は既にだいぶ以前に確立していたのだが、そこは大量生産市販車に乗せると云うところで、ある次期まで、トヨタだけでなくベンツやホンダもさかんに研究をしていた。

 ところが、近年になり、ベンツやトヨタは、この技術に見切りを付け、さっぱり開発継続の話しを聞かなくなった。それと、軍事技術として日本は核を持てないという自縛があるのだが、潜水艦技術における非大気依存への要求は大きい。最新型潜水艦としては、非大気委依存推進として、AIPと名付けられた、補助発電装置としてスターリングエンジン(欧州の何処かの国製)を搭載していたが、どうやらその出力は微少で、推進スクリューを超微速程度に回せる程しかなかった様だ。そんなことで、AIP艦ではなく、現在は通常の鉛バッテリーと、AIP収納空間にリチウムイオンを搭載し、浮上およびシュノーケル運行時は、ディーゼルエンジン発電を行う方式になっているそうだ。このAIPとしてのスターリングエンジンを載せる以前に、純酸素と純水素を搭載し、燃料電池を使うという論議もされたらしい。しかし、純な酸素と水素の組み合わせが、どれほど危険かと云う問題を払拭することはできず、燃料電池案は却下なされたということだ。

 車両の燃料電池は、水素のみ純水素を使うが、酸素は大気に約25%ある酸素を利用するシステムだ。よって、アポロなどで過去使われた純酸素との組み合わせより容積当りの発電出力は小さいのかもしれない。ただし、この数十年の研究開発で、燃料電池の要となる水素と酸素を反応させて発電するスタックという部分の改良は相当進んだに違いないだろう。しかし、ベンツはたいぶ以前に技術アピールされなくなり、ホンダも近年技術アピールは少なくなっていたが、市販価直前とも思える「クラリティ」という名前までの車両が発表されていたが、研究中断を公式発表している。残されたのは車両メーカーとしてはトヨタだけで、その他はガス会社とかの、コジェネレーションシステムを行う企業のものだけだ。

 ここからは、筆者の想像において記すのだが、問題は高圧水素に帰すると思える。そもそも、水素原子は地球上に無尽蔵に近くある訳だが、水素が単独で存在することは自然界ではあり得ない。水素は、全物質中で最も比重が小さいから、自然界の中で単独封止されることはなく、水の様に他の原子と結び付いて存在するに過ぎない。

 そこで、水から水素を取り出そうとすると、それなりの電気エネルギーを与えて、水を電気分解しなければならない。そして、先にも記した様に、最も比重の小さい物質だからこそ、理想は断熱圧縮して液化することで、単位容積当りの熱量を最大に高めたのだが、それには特殊な断熱容器が必用とか、とても小型の移動体としての車両には向かない。そこで、高圧縮してそれに絶える高圧ボンベに充填する訳だが、これに充填する装置(ガソリンの給油計量器に相当)は、既存のガソリンスタンドの10倍弱を要する。また、先にも述べた様に、電気分解して水素だけの分離に電気を使い、さらにそれを加圧してボンベに充填できるまでにするのに電気を使いと云うことで、ここまで電気エネルギーを投入して、それで発電する訳だが、果たして間尺に合うのかと云うとこころが、トヨタがボッチ化した理由なのではないだろうか。


追記
 ここで、水素とガソリンの単位当りの熱量の話しを加えておきたい。水素の欠点はエネルギー密度が低いこと。 常圧の水素ガスは「希薄」であり、体積1L当たりでは天然ガスの約3分の1、ガソリンと比較すると約2900分の1の熱量しかない。ミライの場合、高圧ボンベに70MPaで水素を充填するので、大気圧の700倍となるが、それでも約4.12分の1の熱量しかないのだ。

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<独自>トヨタFCV「ミライ」快走 販売5600台
12/25(土) 18:08配信 産経新聞
 トヨタ自動車の水素で走る燃料電池車(FCV)「ミライ」の2021年1~11月の世界販売台数が約5600台に達したことが25日、分かった。20年12月に初代から性能が向上した2代目を投入。14年に発売した初代の累計販売台数約1万1000台の半数を約1年で超える快走を見せた。ただ、トヨタは海外勢に後れをとる電気自動車(EV)の強化へかじを切る。FCVは車種も少なく、ミライの「孤軍奮闘」が際立つ。

 FCVは水素と酸素で発電し、走行時に温室効果ガスを排出しない。初代ミライは「究極のエコカー」として大きく注目されたが、生産能力が年3000台に限られ、累計販売台数は約1万1000台にとどまった。

 2代目は燃料電池システムのコストを大幅に削減し、生産能力を10倍の年3万台に増強した。

 1回の水素充塡(じゅうてん)で走れる航続距離は初代の1・3倍以上の850キロに伸ばした。低重心で全長は85ミリ長く、全幅は70ミリ広くして乗車定員を4人から5人に増加。価格も710万円からと、先代の約740万円より少し抑えた。

 21年4月には、高速道路での車間距離維持や車線変更などをサポートする高度運転支援機能や、ソフトウエアを通信で自動更新できる機能を備えたモデルも発売した。

 1~11月に国内で約2300台、国外で約3300台を販売したが、FCV市場の規模は小さい。日系メーカーのFCVの乗用車はミライと、ホンダが16年に発売した「クラリティ」の2車種のみだ。

 次世代自動車振興センターによると、国内を走るFCVの乗用車は20年度末時点で5170台。EVの乗用車の12万3706台の半分に満たなかった。普及に欠かせない水素ステーションは、ガソリンスタンドの数倍かかる設置コストなどが壁となり、21年11月時点で全国に156カ所しかない。

 トヨタは14日、30年にEVとFCVを合わせた世界販売台数を200万台とする従来目標を引き上げ、EVだけで350万台とする方針を示した。電動車の研究開発や設備投資にかかる8兆円のうち4兆円はEVに投じ、車種はEV専用ブランド「bZ」シリーズを含めて幅広く展開。高級車「レクサス」ブランドは35年に100%をEV化する。

 FCVは多彩な選択肢をそろえる全方位戦略の重要なピースと位置付けるが、販売目標は示していない。

 クラリティは21年8月に生産が終了。40年に世界販売の全てをEV、FCVとする目標を掲げるホンダは提携する米ゼネラル・モーターズ(GM)とFCVの研究は続けるが、EVが世界的に電動車の「主役」になりつつあるのは否めない。

 ただ、FCVはEVと比べて航続距離を伸ばしやすく、長距離を走るトラックやバスに向いているとされ、トヨタは子会社の日野自動車、資本提携するいすゞ自動車とともに開発や実証を進める。FCVが乗用車以外で活躍の場を広げられるかも注目される。


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