私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

潜水艦映画「出口のない海」より

2011-10-19 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 考えて見れば、潜水艦をバックグランドにした映画をずいぶんと見てきました。それは、閉塞空間における運命共同体中の人間ドラマとして、それが映画制作者の意欲を掻き立て、また見るものを引き付けるからでしょう。ちょっと思い浮かべてみると、レッドオクトーバーを追え、Das Boot(Uボート)、U571、ローレライ、真夏のオリオンなどが思い浮かびます。そんな中、この都度「出口のない海」という邦画を見ました。私見ですが、これはB級映画と判断せざるを得ません。出演者のファンの方に叱られますが、役者がすべてあかんと感じてしまいます。

 この映画で関心を持ったのは、先の大戦中における日本人の狂気の象徴の一つ、『回天』を扱っていることす。いわゆる特攻兵器ですが、ゼロ戦などの通常兵器の使用ならまだ理解できますが、特攻専用兵器としての、この『回天』とか『桜花』、『震洋』などの兵器を作り出す日本人の思考は、正に狂気だと思ってしまいます。それは、製造を命じた個人と云うよりシステムに、勝たねばならんという思いより、権力者の権威というか自己の立場だけを追求する思いが強かった様に思えてなりません。それらの者らは、いくら口では人間の尊厳などを並べ立てたところで、追い詰められれば冷徹な判断なしに事を進めてしまうのです。そう、それは、311の原発事故で、水素爆発時に福島を超高濃度の放射線が降り注いだ時にすら、「安全です、直ちに影響はない」と宣った枝野を始め、政府官邸および官僚組織、そして何ら問い質さない大手ジャーナリズムに、DNAとしてしっかり受け継がれていると感じます。決して自虐史観を持っている訳ではないですが、このことは日本人のDNA中の大きな欠点と思うのです。

 さて、回天のことですが、自爆攻撃用小型潜水艇な訳ですが、推進機関(エンジン)は、日本海軍が誇ったという酸素魚雷を流用したというものです。空気の代わりに純酸素を利用するろ聞くものですが、ちょっと調べて見ましたら内燃機関としてシリンダー内で燃焼させているのではなく、専用の燃焼室内で、ケロシン(灯油類似)と酸素を燃焼させ、生じた高圧水蒸気で2気筒のシリンダーを駆動する、SLと同様の外燃機関だと知りました。しかし、純酸素の使用は、高出力で長射程が得られ、空気中に約8割含まれる窒素などの気泡が出ないことから航跡が表れにくい利点はあるものの、極めて過激な燃焼温度もしくは爆発に至る危険な代物だったと想像されます。止むなくも、『回天』に搭乗し出撃した隊員には敬意を持ちますが、こんな作戦を統括した者に強い憎悪を感じます。しかし、平和な時代になっても、この愚かなDNAは、変わりはしないことを非常に残念に思います。

※写真は靖国神社・遊就館に展示の回天後部~後端スクリューは逆ピッチの二重反転スクリュー。




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