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フックジョイントの破壊

2022-03-26 | 車両修理関連
フックジョイントの破壊
 写真は昨日(3/25)見た軽4輪トラックのプロペラシャフトのフックジョイント(カルダン式とも云う)だが、ジョイントスパイダ(十文字の部品)のデフ側ヨークがねじ切れ破壊している訳だが、こいうのはある時突然の破壊というのはあり得ない。最初は、ニードルローラーが摩耗するなりしてジョイントガタが出て、その内ニードルローラーが摩滅離脱するなりして、ジョイント部がガタガタになり、発進時とか走行中のアクセルON・OFFでそれなりの異音が出続けて、最終的に破断する訳だが、それなりの大きな異音が出て、普通ならこんな破壊して走行不能に至らず発見される訳だろう。つまり何が云いたいのかというと、使用者が余程鈍感なタイプだと云うことだ。




 しかし、昨今はプロドライバーでも、こういう走行不能まで走るという事例が多い。それと、今回はそれ程高速で走っていての破断でなく、プロペラシャフト廻りのフレームとかボデーに損傷がなかった様だが、高速回転(高速度)で走行中だと振り回されたプロペラシャフトが、周辺の例えばフュエルパイプだとかブレーキパイプを断裂させるとかあり得るので危険だ。

 そして、もっともっと危険なのが、プロペラシャフトのTM側(前側)での断裂破壊のケースだろう。この場合、プロペラシャフトは前方へ斜めに傾斜して触れ回るのだが、路面に突き刺さると、あたかも棒高跳びの原理で車両後部を上昇させ転覆に至るのだ。実は、このケースの事故というのは、昔々、未だ長いプロペラシャフトでもセンターベアリングありの分割プロペラシャフトのない時代、日産のマイクロバスで、高速(名神)で立て続けに転覆事故が起きた事件があったのだ。調査の結果、長いプロペラシャフトが自重で下方に垂れ下がることで、高速回転でシャフトのたわみ振動が共振して振幅が大きくなり、もってシャフト前端のスリーブヨークから抜け、垂れ下がったシャフトが路面に突き刺さり転覆事故を起こしたことが判ったのだという。この事故が、現在のリコール制度の作る端緒となったそうだ。

 プロペラシャフトにはその重量と長さにより危険回転速度(フォワーリング回転数)というのがあり、設計段階で計算される危険回転速度に近くなる様であれば、2分割なり3分割になされる。なお、プロペラシャフトをCFRPで製造したものが採用されるFR車が一部あるが、この場合は素材が軽いことで、危険回転速度が上がるため、センターベアリングなしにしている場合を見る。

 話しがプロペラシャフト本体に振れたが、ジョント部に話しを戻すが、このクルマでは、スパイダキット(十字クロスとそれぞれのカップベアリングのセット)はメーカー純正部品としてはでないが、社外品の補給はある。ただし、今回の損傷は、デフ側のフランジヨークに深い削れが生じており、また振り回された結果として、シャフト本体に曲がりによる振れ損傷も生じている可能性もあり、そういう修理はできない。だから、鈍感なドライバーは、本来は損害を安く済ませられたのに、とことん壊すから、余計に費用を要すという事例は多い。


#プロペラシャフトジョイントの破壊


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