先日記した『職人言葉の「技と粋」』(小関弘著)と云う本のことですが、職人言葉として味わいを感じ記憶に残るもの三例を紹介してみましょう。
①めっき
めっきとは通常メッキとカタカナ表記して外来語のように思われますが、滅金と漢字表記されることからも判るとおり、古くから日本にもあった表面処理方法です。
奈良の大仏が建立された時、鋳造された仏像の表面に、金を水銀溶液に溶かし込んだ水銀アガルガム溶液を塗布し、その後の加熱処理することで水銀が溶け落ち、もしくは気化し、金の皮膜だけが残るというメッキ法です。しかし、防毒マスクもない時代ですから、めっき職人達の間に不思議な病気が流行ったと云います。
②石が錆びる
石が錆びるとは、石に自然の水を何年か掛け続けることにより、良い感じで苔が乗ることを云うのだそうです。腕の良い石工は、真新しい石灯籠を作る時、3年後の変化を予想して作ると云います。
③捨挽(すてびき)
工業製品を作る場合、まず基準面を何処に取るかということは、とても重要なことだと云います。製品の形状が複雑だったり、加工の途中で変形しやすい様な部品の基準面の判断は、極めて熟練を要するものと云います。
この基準面の削り出しのことを、職人言葉で捨挽(すてびき)と呼んだ様です。挽くとは削ることなのですが、元来はろくろを使用して食器などを作る木工職人(木地師)で使われていた言葉が、相手が金属で旋盤などになっても削ることを挽くと呼び習わされて来た様です。
機械職人の中では、基準面のことをショウとも呼ぶそうです。このショウとは衝という漢字が該当するのだと作者は述べています。要衝の衝であり要と云うべき大切な部位となります。
このショウですが、製作する部品によっては、最初のショウを基準面として、新しい基準面を作り出します。このことをショウを移すと呼ばれるそうです。この様な中、最初のショウは、後に削り取られて消えてしまう場合が多いのだと云います。これが捨挽と呼ばれる所以だそうです。
①めっき
めっきとは通常メッキとカタカナ表記して外来語のように思われますが、滅金と漢字表記されることからも判るとおり、古くから日本にもあった表面処理方法です。
奈良の大仏が建立された時、鋳造された仏像の表面に、金を水銀溶液に溶かし込んだ水銀アガルガム溶液を塗布し、その後の加熱処理することで水銀が溶け落ち、もしくは気化し、金の皮膜だけが残るというメッキ法です。しかし、防毒マスクもない時代ですから、めっき職人達の間に不思議な病気が流行ったと云います。
②石が錆びる
石が錆びるとは、石に自然の水を何年か掛け続けることにより、良い感じで苔が乗ることを云うのだそうです。腕の良い石工は、真新しい石灯籠を作る時、3年後の変化を予想して作ると云います。
③捨挽(すてびき)
工業製品を作る場合、まず基準面を何処に取るかということは、とても重要なことだと云います。製品の形状が複雑だったり、加工の途中で変形しやすい様な部品の基準面の判断は、極めて熟練を要するものと云います。
この基準面の削り出しのことを、職人言葉で捨挽(すてびき)と呼んだ様です。挽くとは削ることなのですが、元来はろくろを使用して食器などを作る木工職人(木地師)で使われていた言葉が、相手が金属で旋盤などになっても削ることを挽くと呼び習わされて来た様です。
機械職人の中では、基準面のことをショウとも呼ぶそうです。このショウとは衝という漢字が該当するのだと作者は述べています。要衝の衝であり要と云うべき大切な部位となります。
このショウですが、製作する部品によっては、最初のショウを基準面として、新しい基準面を作り出します。このことをショウを移すと呼ばれるそうです。この様な中、最初のショウは、後に削り取られて消えてしまう場合が多いのだと云います。これが捨挽と呼ばれる所以だそうです。