この経済不況により、雇用に対する需要は減少し、既雇用者の不安も増していくのでしょう。それと共に、使用者(経営者)による雇用者への雇用(労働)条件はますます悪化して行く懸念を持ちます。
今回の不況以前、バブル崩壊による失われた10年において、この様な労働条件の悪化は相当に進んだと思います。具体的には、企業業績の悪化による給与の低下や、不公平な成果や能力の評価給への転換等々、一杯思い浮かんで来ます。
さて、企業で働く雇用者として種々の問題を感じざるを得ないのですが、私自身が近年感じてきた私自身の勤務する経営者(実質的に決定権を持つ親会社経営者も含む)の、雇用に対する倫理の欠如に関して記してみます。
1.アジャスター3級試験に3回落第すると解雇されるという規定への疑問
アジャスターには、その資格(業界自主資格)として、初級、3級、2級とあります。この内、3級を取得して1人前というのが業界としての常識となっています。このこと事態は、その道のプロとして、資格がある以上、それを目指すのはプロとして当然のことであり、3級も受からない(受かるという執着心がない)ということは問題ですし、長年2級に受からない者も、これも問題だと感じます。
ですが、私の勤務する会社を含め、何社かの損害調査会社において、3級試験を3回落第すると解雇されるという規定がされています。雇用者が入社後の限定された期間において、この資格の取得の有無によって、雇用の制限を受けるというのは、使用者(経営者)の倫理として不適切なものと感じます。使用者は、雇用者の採用の際、将来のリスクも含みだ上で、雇用者の採用を選択しているはずだからです。従って、使用者(経営者)は、研修等の教育を通じて、合格させる様促すことは出来ても、解雇する等と規定するのは、公序良俗に反する規定であると感じます。
2.試用期間1年とされる規定への疑問
これも私の勤務する会社で、何年か前に導入された規定ですが、採用後の1年間は試用期間であり、それまでは嘱託扱いであり、労働組合にも加入されない(これも組合側として問題)ままで、1年後の会社都合により解雇できるという規定です。
この様な試用期間や条件付採用期間を設ける企業は多くありますが、あっても3ヶ月程度が多いものと感じています。
ですが、私の勤務する会社は、採用後の1年を試用期間という規定がされています。そして、1年後に正式採用を取り消された(事実上の解雇)者を私は見て来ました。その様な、解雇者の視点に立った時、どの様に感じられるのでしょうか。新たな会社から雇用を受けるため履歴書を記載しますが、そのことを記載せざるを得ません。そして、面接では、何故と聞かれるでしょう。本人は何と答えれば良いのでしょうか。
いったい使用者(経営者)には、例え企業の利益を確保しリスクを回避するためとしても、雇用者の人権を無視した対応を行うことが許されるのでしょうか。
先の3級合格の件と同様、使用者(経営者)は、研修等の教育を通じて、一人前に促すことは出来ても、解雇する等と規定するのは、公序良俗に反する規定であると感じます。
以上、2点について、アジャスターの皆さんは、良く考えて見て、その意見を上げていく必要があると感じます。