一般論として、タイヤの幅が広い程、旋回限界性能は向上する。このことは、レーシングドライバーではない一般のドライバーが、必ずしも限界まで攻め込まなくても(そもそもそんなことは危なくてできない)、ある程度以上の速度で同じカーブを旋回すれば安定性の向上として容易に感じられる。しかし、冬用スタッドレスタイヤのまま夏場を走っていたり、摩耗して残り溝の極端に少ないタイヤで走っていても、何らその安定性不足を意識しない(できない)ドライバーが居ることも事実としてある。
さて、タイヤの歴史を紐解けば、当初のバイアス→ラジアル→スチールラジアルとタイヤの構造が変化して来たことは様々な本に説明されている。また、拙人の様に40年の運転歴がある者は、それら変化を実体験として感じつつ過ごして来た訳だ。ここで、スチールラジアルがそれまでのタイヤから著しくグリップ(いわゆるコーナーリングパワー)を増したことを実感する。
そもそもスチールラジアルとは、タイヤ外周部のトレッド面の下層に、細いスチールコードを細密に並べた層が、たがの様に巻かれている構造的な特徴をしている。このスチールベルトの層が、強いコーナリングフォースを受けた際、その抗力としてトレッド面の変形を抑える剛性を有し、高いコーナーリングパワーを有する訳だ。つまり、巷よく云われる「葉書1枚」と云われる、トレッド接地面の面内剛性(面として変形し難いこと)が上がることで、高い旋回性能を発揮する訳だ。
ところで、同じスチールラジアルでも、幅広になる程、コーナリングパワーは増大し、より大きなコーナリングフォースに耐え旋回性能が向上する訳だが、これも面内剛性が上がるということに起因すると考えて良いだろう。つまり、添付図の様に長方形の長辺が長くなるほど、コーナリングフォースを受けた際の菱変形が起きにくくなると考えてみれば理解し易い。
なお、タイヤの諸性能で制動力とか駆動力そして、コーナリングパワーとしての力(F)は、F=摩擦係数(μ)×垂直荷重で計算できるとされている。μ値は、タイヤトレッドのゴム組成と路面の状態によりほぼ決まるが、乾燥舗装路面で0.8前後、湿潤舗装路面で0.4~0.6、積雪路で0.2~0.5、凍結路で0.1~0.2程度と云われている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/d8/168f556ee2692f6b7c96a230fc56551b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/3c/cf49d4c4ce182302c097ba42a825ea48.jpg)
追記
スチールラジアルは面内剛性を高めることで高いコーナリングパワーを生み出すが、路面の突起を乗り越した際に、トレッド面が変形し難いことに起因するショックの吸収性が劣るという欠点がある。これを表す指標として「エンベロ-プ(エンベローピング)特性」というものがある。つまり、ロープとしての突起を乗り越した際、トレッド面がロープを包み込むように変形してショックを吸収できるかの評価となる。
つまり、巷よく表現されるNVHで云われる、H(ハーシュネス)の悪化を生む原因となる。しかし、スチールラジアルが極普通のタイヤとなった現代では、車両のサスペンションアームブッシュのチューニングなどで、横方向は剛性を高くして、前後方向は恣意的に剛性を落とす等のことを行いハーシュ性能を確保している。
さて、タイヤの歴史を紐解けば、当初のバイアス→ラジアル→スチールラジアルとタイヤの構造が変化して来たことは様々な本に説明されている。また、拙人の様に40年の運転歴がある者は、それら変化を実体験として感じつつ過ごして来た訳だ。ここで、スチールラジアルがそれまでのタイヤから著しくグリップ(いわゆるコーナーリングパワー)を増したことを実感する。
そもそもスチールラジアルとは、タイヤ外周部のトレッド面の下層に、細いスチールコードを細密に並べた層が、たがの様に巻かれている構造的な特徴をしている。このスチールベルトの層が、強いコーナリングフォースを受けた際、その抗力としてトレッド面の変形を抑える剛性を有し、高いコーナーリングパワーを有する訳だ。つまり、巷よく云われる「葉書1枚」と云われる、トレッド接地面の面内剛性(面として変形し難いこと)が上がることで、高い旋回性能を発揮する訳だ。
ところで、同じスチールラジアルでも、幅広になる程、コーナリングパワーは増大し、より大きなコーナリングフォースに耐え旋回性能が向上する訳だが、これも面内剛性が上がるということに起因すると考えて良いだろう。つまり、添付図の様に長方形の長辺が長くなるほど、コーナリングフォースを受けた際の菱変形が起きにくくなると考えてみれば理解し易い。
なお、タイヤの諸性能で制動力とか駆動力そして、コーナリングパワーとしての力(F)は、F=摩擦係数(μ)×垂直荷重で計算できるとされている。μ値は、タイヤトレッドのゴム組成と路面の状態によりほぼ決まるが、乾燥舗装路面で0.8前後、湿潤舗装路面で0.4~0.6、積雪路で0.2~0.5、凍結路で0.1~0.2程度と云われている。
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追記
スチールラジアルは面内剛性を高めることで高いコーナリングパワーを生み出すが、路面の突起を乗り越した際に、トレッド面が変形し難いことに起因するショックの吸収性が劣るという欠点がある。これを表す指標として「エンベロ-プ(エンベローピング)特性」というものがある。つまり、ロープとしての突起を乗り越した際、トレッド面がロープを包み込むように変形してショックを吸収できるかの評価となる。
つまり、巷よく表現されるNVHで云われる、H(ハーシュネス)の悪化を生む原因となる。しかし、スチールラジアルが極普通のタイヤとなった現代では、車両のサスペンションアームブッシュのチューニングなどで、横方向は剛性を高くして、前後方向は恣意的に剛性を落とす等のことを行いハーシュ性能を確保している。
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