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交通事故の要因としての人車環境のこと

2022-12-04 | コラム
交通事故の要因としての人車環境のこと
 実のところ、交通事故の要因を分析すると、様々な要因が単独もしくは複合して関係しているのだが、要因分類としては人、車、環境の三要因に分類されると予て云われている。※添付図参照

 一番多いのは「人」で、脇見、漫然、ハンドル操作だとか、ほとんどこれが90%以上を占める。
 次に多いのが「環境」で、雨天、積雪、見通しの悪いとか、道が狭いとかあろうが、これらが10%程度はありそうだ。
 最後に「車」だが、車自体に内在している要因により事故に至ったというものだが、これが第1要因となる事例は、思いの他少なく感じる1%弱である様だ。これは一番の多いのがタイヤの摩耗とか空気圧不足、ブレーキの整備不良などであろう。

 本記述では、この「車」が原因で事故になるということを記述してみたい。
 そもそも、リコール公示にしても車検とか点検にしても、最終的にはこの「事故を起こさないため」という理由付けからあるのだろう。(リコールの場合は事故に火災も含む)

 ところで、昨年(2001年)10月より車検の手数料が400円値上げされたが、整備関係者ならご存じの通り2年後(2024年10月)より開始予定のOBD車検のシステム開発やデータ整備費だと云うが私には論理的に異論を感じているところだ。それはOBDというのは、車両の故障をユーザーにランプの点灯で報知するものだが、OBD車検とは整備工場などが、OBDの警報を誤魔化しているのを、そうはさせない検査制度と思えてしまうからだ。そんな思想で、国家が整備事業者他検査受験者を疑う姿勢に疑問があると思うところなのだ。そもそも、OBD車検といえども、OBDシステムの極一部項目だけを特定DTCとして決め付けチェックするのだが、そういう些末なことを、大掛かりなOBD検査などとしなくても、従来同様検査官がOBD関係のランプの点灯とエンジン始動後の消灯を確認すれば済むだろうに、あまりに呆れた手数料無駄遣いの施策だと思える。

 さて、本論前に国の検査制度への愚痴が過ぎたが、拙人は損保調査員の20数年の中で、自動車整備工場関連の受託中の事故や、整備完了後の整備の不手際による事故というのを保険に関連して幾多も、その損害調査を行って来た。これは、受託中の事故では、その車両に付保されている車両、対物、対人保険はいわゆるモータービジネス業として、約款上どの保険会社でも対象外事故となる。また、整備の不手際を内在して納車後事故になった場合、対人対物とかもし車両保険が付保されていても、整備の不手際が原因と特定されれば、保険は支払いできたととしても、保険会社はその支払いしたことにより請求権を代位して、原因を作った整備工場などに求償することになる。その様な場合に備えて、自動車管理者賠償保険(対人、対物、自車両など)とか生産物賠償保険(納車後の賠償)という保険種目があり、私が関わって来た訳なのだ。なお、日整連では加入工場向けに、管理者賠償と生産物とが共済となった保険を扱っている。

 これらの整備工場など車両を扱う工場とは、例えば受託中の盗難、火災、水害など、車両時価1千万を超える車両もあり、もし損害が生じたとしたら、経営を左右する大きなリスクを秘めているといえる。

 具体的に拙人が関与した事故例を幾つか上げてみれば、軽度なものは、受託中に整備に際して、リフトから車両を落下させたり、車検に出かけ様と走り出したら、ハブナットが手で締めただけでホイールが脱落し、相手はなかったが車両を損壊させたなどだ。また、そこそこ重度なものでは、指定工場で、ブレーキマスターシリンダーの配管の締め付け忘れでブレーキフルードが漏れ、他の車と事故になったというものなどがあった。

 そもそも、拙人は整備工場の方には異論もあるだろうが現行の車検制度にも疑問を感じるところだ。車検という制度そのものを全否定するつもりはないが、冒頭記した様に、車両要因としての事故の確率は1%程度でさほど深刻なものではない。それを、車検という制度があるために、点検のためとはいえ、そこに緩める外し組み付けるという関与が事故を生み出したり、ウエスのエンジンルームへの置き忘れなどで、車両火災を生んでいる事故を見る都度、何のための車検制度なのかと思うこともあったのだ。つまり、車両の信頼性も近年は特に向上して来ており、しかもOBDシステムという故障をユーザーに報知する機能までが搭載されているのに、2年毎もしくは1年毎に検査が必用なのかと思うところだ。ただし、重量車(中大型バストラ)は、その重量故に破壊力および乗員数が多く、現行程度の1年毎でも、良かろうと思える。


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