私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

大型バスのサスペンション

2016-02-16 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 大型バスの前輪サスペンションですが、トラック様のIビームアクスル(リジット)ではなく、左右独立懸架が今や常識となっています。ヒュンダイのユニバースは、リジットとし販売価の優位性を訴求している様ですが・・・。

 サス型式としては上下2本のAアームですから、ダブルウッシュボーンとなるのでしょうが、乗用車とはちょっと異なります。上下のAアーム間はボールジョントでなく、太いピンが貫通し前後を押さえる構造となっています。この上下アームのピンに連続するストラットがあり、その上方にエアスプリングが配置されます。ですから、ストラットが回転しステアはできませんから、ストラットから外側に腕が出て、キングピンを介しナックルに連結されるという構成です。

 想像するに、負荷が大きくてボールジョントでは、信頼・耐久性に難を生じるのでしょう。なお、この外側に腕を出している分だけアーム長が短くなりジオメトリ上不利となりますが、なるべく車両中心近くまでロワアームを伸ばした構成とされています。ロワが長くアッパーが短い不等長ウッシュボーン(つまりバウンドでキャンバーがマイナス側に振れる)となります。

 しかし、乗用車を見慣れた者からすると、何もかも大きく、太く、重そうで、ある意味驚きを感じます。たぶん、ロワアーム1本で数十kgあるのじゃないでしょうか。でも、クロカンでも2トンクラス・トラックでも感じて来ましたが、リジットから独立化させると、直進安定性がかなり改善されます。轍とか路面の起伏での、いわゆるワンダリングが、押さえられるとの感です。当然、コーナリング特性も、ジオメトリやセッティング次第でしょうが向上するのでしょう。

 さて、この様な大型バスのフロント独立サスですが、近年関連省庁などからアナウンスされている内容で、腐蝕によりアームが外れて事故が起きる事例が見られるという恐ろしいものです。(リヤもリジットのロワをトレーリングアームが、アッパーをトルクロッドで位置決めしています。)アーム自体が腐蝕する場合もあるのでしょうが、どうやら取り付け部位(フレーム側)の腐蝕によると想像されます。だいたい、12mの全長があって、前後は出入り(アプローチ&デパーチャ)の関係から車高は高めですが、車軸間の車高は20cm(マッドガード下は10cm)程しかありません。これでは、融雪剤の道路を走行後、まともな洗浄も困難です。それと、この様な腐蝕を生じるのは、ちょっと以前(15年くらい以前か)の個体が多い様です。何故ならば、乗用車だったら 1980年代初頭に世界中の全メーカーでカチオン電着塗装(フルデップ)が、極普通に行われる様になっていました。しかし、バスとかトラックのフルデップ化は、恐らく 2000年前後であったのではないでしょうか。

※写真、軽井沢バス事故とほぼ同型のふそうバスのもの。


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