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指数の疑問 その2【指数導入までの歴史】

2022-04-28 | 問題提起
指数の疑問 その2【指数導入までの歴史】
 近日(4/26)に「指数の疑問 その1【問題点から思う改善手法の提言】」の記事を記しましたが、今回は第2回として指数の歴史を記してみます。

 この指数とは、事故車の復元修理を前提として、ボデーリペアにおいて多くの定型作業となる作業項目について、損保会社が出資した(株)自研センターという組織で調査研究し策定されたものだ。誤解しないでもらいたいが、私は元損保調査員として活動して来た者であり、指数というものを全否定しようという思いはない。

 その様な前提で自動車整備およびBP業と触れ合いつつ指数も利用し見積の積算作業を行って来たし、現在でも指数に関わり自整業とかBP業からの疑問に受け答えしたりする場合もあり、中には自研センターにおたずねする機会もある。これは損保在職中も、自らが見積作業を行っている中で疑問を感じたりした場合、自演センターにおたずねを繰り返してきておいり、最近もたずねる機会はあったのだが、どうも損保在職中と比べるとずいぶん回答姿勢がと云うものが変化した様に感じられると云うのが正直な感想でもあるのだ。端的に記すが、その差異が生じたのは公取警告(H6年10月24日)以降で大きく変化したことを意識せざるを得ない。つまり、現在の自研センターの立場は、自研センターという組織において、損保とは独立して(出資運営しているのが損保だから詭弁だが)指数を策定しており、自研センターで指数を使用しろとは云えないし、前提条件が自研センターと異なれば、それは個別損保が個別工場と打ち合わせて決める問題だと突き放すと云うことになる。本来は、自研センターの前提条件があるとは云うものの、なるべく平均的な工場に合わせた前提条件で策定したものであり、その正当性を訴求すべきと思えるところではあるのだが・・・。

 ここで、自研センターで作られるのは指数と呼称してきたり、日整連で発表している主にメカニカル系の作業値は点数と呼称しているが、どちらも基本は作業量を表す工数、つまり作業時間を基本としたものであるのは確かだろう。日整連で点数と呼ぶのは不知ながら、自研の指数については、作業により一部ではあるが時間とは別の要素を加味しているとことがあり、必ずしも純時間でないと云うことからあえて指数という呼称にしたという経緯があると理解している。

 ここで何時もの拙人の思考だが、ものごとの歴史を振り返ってみると、そもそも工数とか指数がない時代においては、多頻度作業項目については、主に大手修理工場を中心に作業項目毎に実額料金表というのが使用されている時代があったのだった。そこでの実額料金表とは、作業量(時間)と云うより、ある意味車格的要素を念頭においた料金表が作られ利用されていたという実態があったと聞いている。つまり、例として記せばカローラが¥1,000と仮定すれば、コロナは\1,200、クラウンは¥1,400という感じだろう。

 この様な実態を見つつ、損保有志の意見を担う自研センターとしては、個別の作業時間を計測し、標準作業時間というものを作り普及させようと試みたと云うことなのだ。つまり、この標準作業時間に時間単価(レバーレート)を乗じれば修理料金が算出できることになる。

 ところが、従来の車格ベースの料金表に慣れた大手修理工場では、今までの実額料金との乖離が車種によっては大きくなり、受け入れに難色を示すと云うことがあったと云う。そこで損保側(ここであくまで修理工場と打ち合わせたのは、自研センターでなく当時の保険料率算定会だったと云うことを記しておきたいが(このことは独禁法に抵触する)、改めて一部の標準作業時間に車格的要素を加算したことと、この指数を利用する前提で指数対応単価をレバーレートより一定額加算しましょうという提案を行い、大手修理工場に受け入られることになったという経緯があるのだ。ここで、単純にレバーレートに一定額を加算すると云うのでは、具合が悪く正当性に欠けるという意識もあったと思えるが、指数対応単価を導くレバーレート算出に準じた公式を作り正当付けたということがあると云うのが、これは拙人の想像ではある。何れにせよ、この指数算定式は、損保内でも一般には現在に至るも非公開である。なお、ここまでの指数対応単価という用語は、先の公取警告以降は、単に対応単価と呼称を変更したのだ。これが、現在でも指数適用項目については対応単価を使用し、その他指数を使用しない作業についてはレバーレートを使用するという2つの価格を使用するという理由なのだ。これを見ている自整業、BP業、そして損保調査員の諸君、これが歴史の事実なのだ、判ってもらえただろうか。

 さて、だいぶ長文となってしまったが、本来はここで、標準時間とか指数や工数とは、極短時間の作業タクトにおける繰り返し作業を前提とするマスプロダクションを前提として各種研究がなされてきたという歴史があるのだ。そういう意味では、こと自動車の整備とか特にボデーリペアなどは、作業タクトが比較的に長く、それぞれ一品毎に異なるという特性があり、マスプロダクションにおける工数とは異なる要素があることを記したいと思いつつ、その前提での歴史が長くなり過ぎた。次回以降、それら話しを記したいと思う。


#指数の歴史 #対応単価とレバーレートは何故違う




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