私の思いと技術的覚え書き

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フォッケウルフとクーゲルフィッシャー

2019-05-18 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 先日、旧日本軍の「疾風」のことを記したが、今回は旧ドイツ軍戦闘機のことで記してみたい。ドイツ軍戦闘機というと、メッサーシュミット(bf(ME)109/総生産33千機)が思い浮かぶが、第二の戦闘機としてフォッケウルフ(FW190/総生産20千機)というのがある。

 FW190はbf109の水冷V12と異なり、二重星形14気筒(当然空冷)と、先日記した疾風と近いものであるが、エンジンはBMW801という型式(総排気量4万cc:単シリンダー3L!)らしいが、如何にもドイツらしい工夫を秘めている。その筆頭が、キャブレターでなく機械式燃料噴射(以下メカポン)を搭載していたということだ。このメカポンの製造元が、1970年頃まで名を聞いたクーゲルフィッシャーというメーカーだという。クルマでは、ナローポルシェ911EもしくはS、BMW2002turbなどだという。

 ドイツ軍は、航空機(特に戦闘機)の燃料噴射に強く拘っていたと感じる。それはbf109のダイムラーベンツ製V12もメカポンによるシリンダー直接噴射だったし、今回のFW190(BMW801)もメカポンのポート噴射だったとのことだ。キャブレターでもウェーバーとかソレックスなどレーシング用途向けのものは、コーナリングGでもフロート油面の変化を少なくし、ミクスチャ(混合気=A/f)の変動を抑える様に留意された設計がなされていたと聞く。しかし、クルマでは基本、二次元運動の世界だが、航空機となると3次元運動の世界となるから、キャブレターではなかなか辛い部分を見込んでのことと思う。

 そんなクーゲルフィッシャー・メカポンも、ガソリンエンジンでは稼働空燃比が限られた範囲でのみに制限され、ディーゼルみたいに燃料噴射量だけで出力制御できないという大きなウィークポイントがあった。このことは、アクセル全開率の高いレーシングエンジンでは問題ないにしても、中低速を重視せざるを得なく、出力の変動域が航空機以上に広さが求められるクルマ用としては限界があったのだろう。クーゲルフィッシャー社はボッシュ社に吸収されてしまう。後にボッシュでは、機械式燃料噴射としてK-Jetronic という、別途の燃料ポンプで燃圧500Pa程で、エアフローメーターに機械的リンクされたメータリングバルブで、吸入空気量に応じた噴射量を連続噴射する方式が登場する。しかし、これも様々な噴射量の補正(水温、吸気音、A/Fをストイキメトリー(理論空燃費))が求められる現代に至り、デジタルECUを使った電子制御になった訳である。しかし、内燃機関の時代は本当に終わるのが正解なのだろうか。ある学者によれば、電気自動車が総合的に見て、エコではないという意見もあるのだ。





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