米国発の世界同時不況が続いています。そんな中、先日イタリア・フィアット社がビックスリーの末っ子たるクライスラー社へ資本提携の合意に至ったことが報じられています。もっとも、これもクライスラー社が米国政府の救済融資を受けられることが前提で、もし救済を受けられなければ、倒産の憂き目を見ることとなるのでしょう。
このクライスラー社は10年程前に、ドイツ・ダイムラーベンツ社と世紀の大合併とまで呼ばれる様な合併を行いましたが、何年か前にリセットされるという曰く付きの会社でもあります。今回の提携においても、キャッシュは一切出さず、プラットフォームや技術の提供等を前提とする様ですが、果たしてどの様な結果となるのか興味は尽きません。
さて、フィアットという企業ですが、我が国においては、ドイツメーカー程にはメジャーでもなく、フランスにもその様な傾向がありますが、さらに下といイメージを持ってしまいます。そんなファイアット社ですが、イタリア最大の企業グループであり、乗用車に限らずトラック系のイヴェコ社や、かつてのイタリアの生んだ数々の名車を含む、アルファロメオ、フェラーリ、マセラティ、ランチア等のメーカー・ブランドを傘下に収めています。
これら、フィアット傘下のグループ企業群には、歴史と魅力が溢れるクルマを多く輩出して来ましたが、いかにせよ趣味趣向製が高く、高額なこともあって、今回の不景気もそうですが、上下する景気の荒波の中で企業経営的に息詰まり、フィアット傘下となったものなのでしょう。しかし、同様に多くの歴史あるメーカーが多かったイギリスが、ほとんど自国以外の資本になってしまっているのを見るに付け、如何にフィアット社の愛国精神が旺盛であったとのかと想像されます。これは、フィアット社の創業者の一人であり、後に実権を握るアニェッリ一族の思いが関わっているのでしょう。
ファイアット社の作って来たクルマを眺めると、いわゆる高級車というのはほとんどないことが判ります。小型で庶民の足となるクルマを中心作り続けて来ており、華美な内外装等も控えられ、好感が持てるものと思います。