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右翼言論人として鈴木邦男氏の「愛国心に気をつけろ」鈴木邦男著

2023-04-23 | 論評、書評、映画評など
右翼言論人として鈴木邦男氏の「愛国心に気をつけろ」
 正直なところ「鈴木邦男」氏という言論人に大した感心は薄く深くはその現論に聞き耳を立てることはなかった。ただ、、巷聞かれる鈴木邦男氏とは、今年、23年1月11日に79才で亡くなっていて、その後さまざまな言説がクローズアップされる中、今回岩波ブックレットという総ページ数の少なく数時間で完読できる様な本を読み、なるほどなーと改めて、今鈴木邦男氏の言葉が注目されているもしくは注目されざるを得ない時代の要請を感じる次第なので、そのことを書き留めてみたい。

 そもそも、鈴木邦男氏という名は聞き覚えがあるもののの、右翼団体としての一水会幹部とか、右翼的な宗教団体であり、現在の自民党にも大きな影響力を持つと聞く、日本会議という結社の基礎となった宗教法人たる成長の家の幹部を長年勤めてきたと聞けば、バリバリの右翼思想の持ち主だろうと想像していた。

 ところが、この「愛国心に気をつけろ」を一読して見れば、愛国心という言葉を否定するものではないが、そこにはことさら愛国心をアピールすることで、危険な側面を内在すると云うことを著者は繰り返し強調している。つまり、為政者は愛国心を強調することで増悪とか排除という危険があるのだという。

 鈴木氏は右翼団体として活動する中で、逆にもっと過激なということになるんだろうが、別の右翼団体から繰り返し攻撃を受けたと云う。つまり、鈴木氏の持論は、節度を持った右翼思想としての愛国心なのだろうが、過激な右翼思想となると愛国心が暴走して、日本がどうなっても良いのか、他の批判を一切許さなくなる。

 ところで、映画とかビデオニュースで見る米国とかロシア(旧ソ連)の国家斉唱の場面を見ていると、正に聴衆となる国民は皆が国家を口ずさみ、凄い愛国心が表出されているかの様に見える。それとか、映画などは、大統領に対して、もの凄い経緯を払う態度が表現されている訳だが。これに比べると、我が日本は国家斉唱に口ずさむ者は私は当然しもしないが、あんな眠くなるような、そもそも国民を謳い上げる内容でなく天皇を謳い上げる歌詞をを国歌にするセンスがおかしいのではないかとい思う。また、表面上はともかく、天皇とか総理大臣に、心底経緯を払う者など、本当にいるのだろうか。ただし、そういう日本人だからと云えども、愛国心が欠落しているかと問えば、いやそうではないと云えるだろう。しかも、米国やロシアの様に、皆が口済みはしないが、あれは多民族国家の宿命として、演出された効果を仕組んでいるのだろうと思える。ここで、この本では、右翼使用で元々改憲論者であった鈴木邦男氏が、安倍政権の手段的自衛権の行使とか、戦前回帰への、いわば逆コースを取り始める姿を見つつ、徐々に非改憲論者に変化していった心情を述べているのだが、これが節度と教養を持つ、マトモな思想だろうと改めて確信するのである。

 ところで、この岩波ブックレットの奥付を見ると、著者略歴と共に、現住所として東京都中野区・・・何番地、電話FAX何番までが記されているということに驚く。そもそも、こういう信念を持つ言論人とは、正に反対する者は狂信的な者までが確実に存在する訳であり、現住所とか電話番号を記載できる度胸というか公明正大でありたいという態度には、驚く他ない。しかも、これだけの言論人で、現住所が「みやま荘」という、まったくステータスとかそういう生活に見栄だとかこだわりを持たぬ方というのは、世にっほんとうに少ないのではないだろうか。


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