私の思いと技術的覚え書き

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理解しがたいクルマの改造仕様

2019-06-22 | 技術系情報
 道路走行中だとか駐車場などで眺める他車で、誠に理解しがたい仕様にしているクルマがある。以下の様なものだ。
①驚くべき車高の低い改造車(目測5cm程度しかないものまでがある!)
②驚くべきネガキャンバー改造車
③驚くべき大径ホイールと扁平タイヤ

 ①については、専用サーキットを走るならともかく、一般道を走る前提で考えれば、到底走行出来る道路が限定されることだろう。しかも、必然としてサスペンショントラベル(有効ストローク)が極めて小さくなり、その範囲でダンピングさせねばならず、バネ定数とダンパー減衰力を恐ろしく高めねばならないはずだ。しかし、そんなことも考慮せず、サスペンションがバンプラバーに当たってしまうフルバンプ状態で、大した路面のうねりでもないのに、大きく車体が上下動している姿を見せて笑わしてくれる方々だ。

 ②については、ロワーボールジョント位置を外側に移動させるなどで、直進状態で極端なネガティブキャンバーを見ることがある。キャンバーの正規値は、ワイドタイヤが一般化した現代では、0~-30分(1度の半分)というところだろうが、これを目測-2とか、-3も付けているのだ。車両法の保安基準では、タイヤの横滑り量をサイドスリップテスターで計測し、±5mm以下であることとされているが、この様な過大ネガキャンでもトーアウト量を増すことでサイドスリップ値はゼロにできるが、オートバイのタイヤの様にバンクすることを前提としてない4輪車のタイヤでは片減りは避けられないだろう。それと、過大ネガキャンは、スピンドルなりリヤシャフトのアウターベアリングの負荷を高め、寿命を著しく短命化させるものと思える。そもそも、ネガキャンにするのは、コーナーリングで車体ロールが作用した際に、外側タイヤのキャンバーが+方向になりがちなのを予めネガにして防止するというレーシング思考から来ているのだが、こういうクルマの者は、合わせて車高も落としているので、ロールもしないから、ますます意味が理解できない。どうやら、ボデーのホイールアーチに限界の太いワイドタイヤを付けるがためにネガキャンにしているのかとも想像するが、理解しがたい方々だ。

 ③については、一般市販車でもタイヤのワイド化と低扁平化によりホイールサイズのインチアップは行われて来た。市販車では、昔の13や14インチ(軽は10インチ)から、15、16、18、20インチくらいまで大径ホイールとワイド扁平タイヤが使用される様になって来た。この主目的は、タイヤサイドウォール高さの短縮でコーナリングフォース増大だと述べる方がいるが、それは間違いなのだ。そのことは、F1マシンではレギュレーションで旧来から13インチホイールの使用が決められ(最近アップが決まった様だが)、市販車より余程低扁平でないタイヤではあるが、あれだけのコーナリング速度を出せているのである。ホイールのインチアップは、タイヤ外径サイズをあまり増やさずにホイールサイズを増やすことで、ブレーキ容量(主にディスクプレートの大径化)を増大させるのが主目的なのだ。なお、F1などの小径ホイールとか昨今はトラックでも総輪ディスクブレーキが増えつつあるが、大径ディスクには限界があるため、ディスクプレートの厚さを増やすことで熱容量の確保を行っている。
 ところで、先日マイカーのタイヤ交換で訪れたタイヤ店で中古タイヤが並んでいるコーナーに、26インチサイズというタイヤがあり、その大径に驚いたので、初回してみたい。サイズは、295/30R26 であるが、一般の乗用車用18インチワイドタイヤ様の外径サイズ(630mm付近)より20cmくらいは外径サイズが大きい。これらは、そもそもクロカン4WD様の17~20インチサイズで扁平率65~50%くらいの純正タイヤとほぼ同寸の外径となるのだろう。しかし、こんな26インチという自転車みたいなタイヤを付けるのは、ランクル、タンドラ、ナビゲーター、エスカレード辺りだと思うが、到底ゴツゴツした岩がある山道走れば、ホイール変形は自明のことだろう。価格も易いものではなかろうに、理解しがたい方々だ。



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