私の思いと技術的覚え書き

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エンジンマウント取替

2016-03-16 | 車両修理関連
 エンジンマウントといっても、乗用車でなく大型バスの話です。このエンジンマウントですが、3ヶ月や12ヶ月(車検)の点検項目にもなく、それ程に傷み難い部品だと感じているのがほとんど方の意見でしょう。

 今回は、エンジンルームの点検中、エンジンマウントのプレートの接合面(いわゆる加硫接着)の部分に、随分深い亀裂が観察されたのです。そこで、4点マウントのすべてを明細に観察して見ると、どれも似た様な状態が観察され、直ぐに取扱いディーラー(UDトラックス)に部品発注しました。(4ヶで合計8万近くとバカ高い)ついでに、該当ディーラーに聞いたところ、ある程度経年車ではあるとのこと。これがもし、ぶち切れたとすれば、駆動反力を受けますので、エンジン自体が落下することはクロスメンバーなどにないとしても、エンジンは恐ろしく変移して傾き、接続パイピングや補記類に大きなダメージを負うことになるでしょう。中には、オールタネーターB端子が金属部分に接触すれば、極端な大電流から、ハーネスやバッテリーから発火して車両火災になる可能性だって考えられます。何れにしても、大ききなショックと共に走行不能に陥ることは確かなことでしょう。

 さて、この車種においては、よくある損傷の様で、部品は発注翌日には入荷し、早速取替作業を行いました。4点支持の内、前部2点(クラッチベルハウジング部)が、主な荷重を負担している様ですが、完全に加硫接着部位がはがれ分離していました。後部2点は、亀裂は深いものの、辛うじて分離はしていないというもので、時間の問題で何れは完全に分離し、先に記した様な大事になる前に発見できて良かったというものです。

関係追記
 乗用車では、まずこの様な加硫接着の分離なんていうのは、今ではお目に掛かれないことです。そもそもサスブッシュと同様に圧入などで組み付けられていることが多いですから。但し、乗用車系でも、マウントラバーの劣化亀裂は、時々あるものです。

 それと、これは事故車のことですが、液封式(液体封入式=内部の液体がオリフィスを通過するダンピング式)では、表面ラバーが薄く、事故の衝突減速Gによるエンジン慣性で、簡単に破ける例を結構見てきたものです。あと、BMWなんか、多かったですが、エンジンが移動すると、後部のマウントバー(アルミダイキャスト)が簡単に割れてしまうというのも結構見ました。

※写真は上がエンジン後部側、下がクラッチベルハウジング下部。


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