写真は静岡県の中央部付近に位置するさった峠から眺めた有名な風景です。遠望が効く日であれば、背景に富士を望み、正に絶景の一つ?といえる地です。
さった峠は由比と興津の間に位置する標高240m程の高さを持つ地です。由比にしても興津にしても極低標高な地ですが、この間の海岸線は絶壁がそそり立ち、多分岩場に波が打ち付ける状態であったのだと思います。ですから、昔の人々は労力を尽くしてこの峠を越えざるを得なかったのでしょう。
明治22年に東海道本線が全線開通しますが、それ以前に東京と大阪を結ぶ大幹線のルートとして、現在の東海道線の他に甲府を通る中仙道案があり、一時は中仙道案が優位であったと伝えられています。その理由ですが、東海道線は必然的に海沿いの経路となり、もしもの外国からの砲撃などに脆弱であろうと云うものでした。そんな中、結論は中仙道案に傾きつつあったのですが、中仙道の経路は予想を超えて難所が多く、建設期間も費用も多額が要するとの理由付けにより東海道線の建設が着工されたのだと云います。
しかし、このさった峠から見下ろすと、JR東海道本線、国道1号線、そして東名高速道路が集中している交通の要衝の地であることが判ります。今や外国の砲撃は考え難いことですが、もし巨大地震でも起こり、このさったの山が大崩落でもしたら、日本経済に与える影響は甚大であろう等と考えてしまいます。