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80ハリヤーフロントバンパーカバー取替体験記

2023-03-14 | 問題提起
80ハリヤーフロントバンパーカバー取替体験記
 つい先日の話し、80ハリヤー(現行型R4年式)のフロントバンパーカバーとロワーカバーの取替作業を手伝いつつ取替る作業を体験した。ここから感じる幾つかのことを書き述べてみたい。

 まず、フロントバンパーの構成部品は、細かい部品まで数えれば結構多数だが、今回取り替えるのはバンパカバー(塗装済み)とロワカバー(素地色)の2点で、大物部品となるラジエーターグリル(アッパー)とグリル(ロワー)は再使用で、クリップ類や差し込み部位についても、何ら破損なく再利用できた。

 バンパーの様な大物部品では、そもそも全体(Assy)の脱および着作業は、左右に作業者それぞれが位置して、作業が必要となるが、交換するフロントバンバーカバーと旧部品のフロントバンパーを大きな毛布の上に同方向で並べて、再使用部品を意識しつつ、それらを外し新部品へ移植しつつ組み上げていく必用がある。超音波センサー(4ケ)とかミリ波レーダーのハーネスもできるだけコネクタを縁切りをしないで、そっくりを移植したのだった。その方が、ハーネスが何処に規定されているかも迷わず容易と思われたからだ。


 だだし、作業全般について、100%とはいえないが80%程度は2人作業での作業となった。この理由は、基本となるバンパーカバーが大物部品だが、全体を結合しない状態では剛性が低く組付けに際し、すわりが安定せずとか、モールなどで細長い部品を1人で押し付け組み付けることは困難とか、差し込み部位も多く、しかも左右に広く1人では、よほど専用ジグでもない限り、安定した作業ができないことが見ていて判り、手伝う結果となったことによるものだ。

 今回の作業では、フロントバンバーのすべての部品を交換しないで、一部の部品を再使用することになったのだが、このことは作業時間として短縮できた部分と、余計に時間を要した部分があると思える。つまり、カバーからグリル類の取り外しと移植再組付けには、注意深く外し、取り付けする作業となったのだが、これすべて交換なら、そもそもカバーとグリルを分離する作業は必要なくなるということがある。ただし、グリルに着く細かい付属品とか超音波センサー2ヶなどは、グリル付きで分離せず移植できたので時間短縮できた部分もある。

 さて、今回の作業時間だが総時間は粗っぽいが約3時間を要した。しかし、先に記した様に、8割方を2名作業で行ったことと、初めての作業で不慣れで、かなり迷いというか試行錯誤のムダな時間を要しているところもある。この作業を2度目に行えばとか、必ずしもまったく同じ車両でなくても、最近のトヨタ車の同クラスバンパーを扱い慣れた作業車なら、相当時間短縮できるとも想像できるのだが、一方指数とか工数といったいわゆる標準作業時間の思考には、正味の作業時間に+30%分の余裕時間を入れているという考え方がある。今回の作業のおよそ3時間という延べ時間は、余裕に類する作業はない連続作業時間だということと、途中で一部必用工具を取りに現場を短時間離れているが、そもそもバンパーなどでは、準備時間として必用工具を準備する時間を含んでいると説明されているので、この延べ時間は準備も含んでいると解釈できるだろう。

 ところで、作業後、本件車のフロントバンパーカバー取替の指数を調べてみると2.7という値となっていることが判った。粗っぽい計算ではあるが、本件類似車にもう少し熟練しており、仮にではあるが今回の作業時間が半減できたとして1.5となるが、ほぼ8割方の作業が2人作業が必要とすると。1.5x0.8=1.2、1.2x2=2.4(2人作業)であり、残り1.5x0.2=0.3(1人作業)で、総計2.7と驚くべきことに指数値と同一となった。

 ただし、だから指数は妥当と考えるのは早計というものだろう。今回の場合は、脱着を直ちに継続作業しているが、こういう場合もあるのであるが、多くの場合、バンパーカバー取替だけで済まず、例えばフロントフェンダー板金もしくは取替とか、片側ヘッドライト取替、ラジエターサポート板金等の複合作業となる場合の方が多いだろう。
 そうなると、バンパー取り外しAssyでの保管があり、その場合には保管場所への収納を考慮せねばなるまい。また、作業完了後には、昨今の産業廃棄物高騰のこともあり、できるだけ廃棄部品の金属と樹脂類の分別時間などを考慮しなくてはならないだろう。
 そういう前提で思考すると、指数の2.7という値は厳しいものと思えてくる。また、指数の策定については、その構成部品のすべてを含むと云う考え方なのだが、それは構成部品をすべて取り替えるという思考で算出している可能性を疑う。疑うと云うことを記したのは、その辺りを自研センターに聞いても曖昧だし、明確な返答がない。しかも指数には、産業廃棄物のために廃棄部品を分別する工数など入っているはずはないと想像できる。つまり、ここでグリル(上下)も交換だとすれば、そもそもこれらの切り離しも含まれていない可能性も疑う次第だ。

 こういうことを考えると、指数はボルト系部品は脱着もしくは取替という項目表題になっているのだが、オーバーホール(OH)という思考があれば、過不足なく妥当値に近いものとなりそうに思える。実のところ、米ミッチェル社の工数には、すべてではないがOHとしての工数も記されている場合が多くある。

 この疑問を感じたのは、昨年末に記したおよそ30年前となる1991年頃のこと、指数値に疑問ありとして、当時の自研センター作業所において、同一の作業(クラウンGS131・HT)の右フロントドア交換作業を、同時に観測集計したデータを下記リンク記事に掲載しているが、損保協会側の集計に「対象外時間」という観測時間から除外された時間が作業時間比で24%という異様に大きな値になっていることを見て認識するものだ。つまり、どういう作業を対象外時間としているかと云えば、ドアトリムなどおよそ取替ることが少ない、つまり再使用することが多くの場合通例である部品のパーツ棚への収納時間などを除外したというのだから、信じがたい時間計測だろうと思わずにいられないのだ。

 かように指数については、純科学的な時間と云いながら、不明確な点があるのだが、自研センターでは、指数は自研センターの環境下でその思考に沿って策定したものであり、使うことを強要するものではないと云うが、その根拠を損保にも説明していないので、損保調査員(アジャスター)も答えられない。このことは、指数×単価=料金であるからして、損保および自研センターには説明責任があると思えるのだが、未だ果たされていないことを意識せねばならないのだ。

指数の話し・指数値と戦った男の歴史
2022-12-01 | 問題提起
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/22f68b616aeb7d9cfa33a3d0d0c0743f


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