クルマで伊豆半島の外周道路をちょっと走ると、海沿いの崖に何かを収納していた様な洞窟みたいな穴を見付けることができます。これらの穴は、現在は木板で塞がれたり、漁具の倉庫となったりしていますが、先の大戦末期における特攻兵器の格納場所だったのです。
敗戦の年となる昭和20年、その前年辺りから近い時期にも米軍の本土上陸作戦があり得ることを軍令部は予測しました。上陸が予想される地域は全国各地にあったのだろうと思いますが、首都至近ではないけれど程近い、駿河湾の奥(沼津と富士の間の海岸)も一つの候補地となった様です。そこで、駿河湾を囲む、伊豆半島の各地に、海軍は特攻兵器を100機ほど配置した様です。具体的な特攻兵器としては。「震洋」(しんよう)、「回天」、「蛟竜」(こうりゅう)の三種でしたが、8割方は震洋だった様です。
この震洋ですが、ベニヤ板製のモーターボートで、船首に250kg爆弾を搭載し、敵船に体当たり衝突させるというものです。こんな華奢なボートですから、敵船の機関砲の掃射を受ければ、まったく抵抗なく穴だらけとなり、バラバラに分解して沈没してしまったと思います。
誠に馬鹿なことをやっていた時代だとは思います。しかし、昭和20年の当時を想像してみますと、これら特攻兵器に寄り添う様に、特攻隊員が今日は出撃かと悶々としながら毎日を過ごしていたことを思わざるを得ません。
それと、特攻という作戦の無意味さを思いますし、各現場における特攻兵の選任の仕方にも怒りを禁じ得ません。あくまでも命令ではなく、本人の自発的参加の形をとっていた様ですが、これは指揮官の責任逃れの方便も甚だしいものと思います。まあ、現場の指揮官もロクでもないですが、一番の悪者は軍令部の司令官共ですが・・・。負けると判っている戦いでも、戦わざるを得ない場合があるのは良く判ります。しかし、その犠牲は余りにも多く、責任逃れしのうのうと生き延びた卑怯者共の居たことも忘れてはならぬことだと思います。
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