10万馬力と聞くと『鉄腕アトム』を思い浮かべるのは、私の様な年齢層の方でしょうか。ここでは、何年か前に乗艦したことがある「きりしま」というイージス護衛艦のスペックとして記載されていた10万馬力のことを記してみましょう。
最近の軍用水上艦艇は、護衛艦クラスの比較的大きなものから、ミサイル搭載艦の様な小型艦についても、推進動力源としてガスタービンエンジンを採用したものが増えている様です。
ガスタービンの大型のものとしては、火力発電所で使用されているものが最大級でしょう。でも、艦船用としては大き過ぎますし、出力可変域も狭く、不適合な様です。そこで、イージス護衛艦に搭載されているのは、B747クラスのジェットエンジンをモデファイしたもの4機を搭載し、低中速時は内2機を、中高速では4機を動作させているそうです。
ジェットエンジンの場合は、軸(ジャフト)はタービンおよびコンプレッサー(および最前列のファン)を駆動するもので、外部には出力されません。それを、外部に取り出したものが、ターボシャフトとかギヤードタービンとか呼ばれる部類のエンジンとなります。このタイプは小型・軽量で高出力が得られますから、ヘリコプター用としては、かなり以前から一般的なエンジンとなっていた様です。
実際、イージス護衛艦に登場した際も、レシプロ内燃機関で感じられる鼓動はなく、微かなキーンという高周波音を感じるだけのものでした。
しかし、この様なガスタービンエンジンが、タンカーやコンテナ輸送船など民間用商船や客船に使われることはありません。ガスタービンエンジンは熱効率的に難があり燃費が悪いからと云うことになりましょう。民間用の大型船においては、燃料に重油を使用し、コモンレール燃料噴射、2サイクル頭上弁付き、シリンダボア径2m前後、ストローク数mで、熱効率は40%以上と、極めて良好な熱効率を達成しているそうです。
ところで、軍用艦艇たるイージス護衛艦の煙突ですが、結構太く感じられるものが前後2本あります、これは出力が大きく排出ガス量も多いこともあるでしょうが、排出ガスに新気をミキシングして排出ガスの温度を下げる仕組みが取り入れられていることもあるのだろうと想像されます。この考え方は、攻撃用ヘリコプターであるアパッチ(AH-64)などでも採用されているものです。その目的は、敵の熱線追尾型誘導ミサイルを避けるためです。
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