この仕事を長くやっていると面白い経営者も居るもんで。「○○君(私の名)、家の工員は腕が悪いから時間が掛かるんだよ。そこを良く判って見積ってくれよな」なんて言葉を聞くことがあります。まあ、随分と開き直った発言内容だと、苦笑しつつ聞き流すのです。
これは、クルマの修理に限ったものではありませんが、修理料金は要した時間×時間単価で算出するという基本的な考え方があるためなのです。だから、表題の様に、腕の悪い程、余計に時間を要しますから、料金が上昇して行くと云うことになるのです。
但し、一般の修理市場では、市場原理というのが働きますから、腕が悪い故に幾ら時間を要したからと云って高い料金を請求すると、「あそこは高い」という悪評判が蔓延して、顧客が離れてしまうということになる訳です。
ところで、保険扱いの修理については、市場原理が働き難く、この様な悪癖が生み出され易いのだと思います。先の経営者の様に腕が悪いから時間を要したとまでは云わないものの、説得力のない理由により時間が掛かったと聞くケースは、工場さんには申し訳ないけど結構あると思います。
しかし、修理工場の経営者の視点に立って見ると、特に板金塗装という修理の仕事は、作業者の腕(センス)により時間の上下がことの他激しく、経営を難しくさせていると感じます。例えば、修理経験の豊富な経営者が、これは今日1日で板金作業が完了するなと思っていても、夕刻になってもまだパテを削っていて、周辺はパテの粉が多量に積もっている、つまりパテを付けては削りを何回も繰り返したことが判り、困ったもんだと嘆く場面もあるのかもしれません。
この様な作業者の技量の良し悪しにより料金の不合理を生じない様にする目的もあり、指数だとか工数や点数等という、作業量(時間)を示す表が用意されています。しかし、板金塗装に関わる作業の総てを網羅できるものではありませんし、これら諸数値によらず、実作業時間や経験値によって料金が決められる項目も多いものです。
そんな場面の中で、実務経験の十分ある見積者であれば、実作業時間が幾ら長時間を要したからと云って、これは腕が悪かったからとか、作業の失敗があったからだとかを理解し、この程度が上限だろうという見積(もしくは請求)を行うのです。しかし、そんな実務経験のない見積者は、掛かったんだから請求する見たいな考え方が強く、平行してしまう場面があります。
以上記して来ましたが、やはり腕が悪い修理屋さん程高い料金になる傾向は間違いないものと感じています。もっと云えば、腕の良い作業者は、手際よくより短時間で仕事を完了させますし、その品質も良いことは経験上も明かなことなのです。
追記
上記で記した時間単価ですが、これは工場の時間当たりの工賃単価のことで、指数の場合は指数単価と呼ばれたりしていますが同じことです。この単価は、工場経費や工員人件費等の原価に利益を加えて計算できることになっています。しかし、例えば過剰設備を投じたりして過大な単価となったとしても、果たしてそれが、市場競争を持ちうるかの視点が重要だと思います。
しかし、板金塗装工場の年間工賃売り上げ総額を工員数と月数(12)で除した値を計算したら、多くの工場で、建値としての単価との乖離は相当に大きくなるものと想像しています。
この要因としては、作業待ちや納車引き取りや部品に引き取り等の間接時間の多さと共に、技量の未熟さ故に時間が掛かりすぎているということもあるのだろうと想像されるのです。
ちなみに、3級整備士・非認定・です。
GC8で事故った息子が車体修正を依頼したら、外注で40万。
最近利用している認定工場に聞いたら、10~15万との事。ぼたくられました。
私のHA22Sに強化クラッチの装着を依頼したら、ガガガ・ガラガラ・キュキュキュ
と素晴らしい音が出るようになっていました。
業者が言うには(社外品だからしょうがない、磨り減るまで待ったら直る)との事。
当方(バック・ラッシュとクリアランスの調整不良では?)と聞き返し、3ヵ月後
返金してくれました。(ただし一部部品代は返さないとの事)。こんな事が起きない為に
モグリの様な修理屋は、摘発して欲しいものです。ちなみに和歌山市の話です。