以前、シールドマシーンの回転部分に使用される超硬合金のことを記しました。これら超硬合金は、焼結合金等で焼成された極めて硬度の高いチップを切り端端面に装着したものです。
シールドマシーンの超硬チップを見た時も感じたことなのですが、切削面が随分と鈍角であり、これで良く切り進めるものだなあという疑問があります。この理由は、先日読んだ本で理由が良く判りました。それは、超硬チップは今や旋盤のバイト等にも多く使用されていますが、超硬チップのバイトは、被研削物を切り進んで行くのではなく、割っているのだと云うのです。そのため、超硬チップの研磨の際は、端面の角度を鈍す「殺し」という処理を行うということです。
また、同本では、これらのことを例えて、カミソリとナタの違いとして説明していました。ナタで木を割り進んでるとき、刃先は木に接触しておらず、その胴で左右に木を割り開いて進んで行くのです。しかも、その突き進む力としてのイナーシャ(慣性)を出すべく、ナタの胴体は厚く重く作られているのです。
そんなことを教えられながら、私達の周辺で起こる種々の困難についても、ナタの強さが必用だということを思うのです。
なお、旋盤のバイトですが、かつては切れ味が落ちる都度、作業者が研いで再利用し続けたものだそうですが、昨今は使い捨てなんだそうです。この理由は超硬チップで、研ぐのが困難だとかあるのでしょう。しかし、人の問題となると交換はできませんから、絶えず研ぎ直し続けると云うことが大事だなと思います。そのためには、種々の人の話を聞いたり読んだりということなんだろうと思うのです。