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バッテリー充電のこと

2022-11-30 | コラム
バッテリー充電のこと
 これからEVが普及していくのだろうが、2035年に道路を走る内燃機関のすべてを廃止してEVにするというのができるのか、はなはだ懐疑的に思える。ただし、世界の潮流がその方向であると云うことは、自動車を基幹産業としている日本が無視はできないのは当然で、2035年はともかくとして、EV化促進への車両本体のみならずインフラの充実に力を入れなければならないだろう。

 ここで、インフラの一つににEV化では欠かせない充電設備の整備があるが、EVが普及しないと充電設備が少ないは、卵が先か鶏が先かという問題でもある様に感じている。その様な視点で、現在日本が欧米中辺りよりEV普及が遅れているのは、充電設備の少なさもありそうだ。

 さて、今回はバッテリーの充電について、自動車工学的に知れる範囲で記してみたい。
 このバッテリーの充電だが、EV車でなくてもバッテリーは鉛バッテリーが搭載されてきた。この公称電圧は12Vだが、実際のところ12Vバッテリーでは内部が6つのセルに分かれており、各セルの起電力は2.1Vなので12.6Vが定格電圧となる。

 このバッテリーに充電すると云うことは、端子に起電力を上回る電位を与えて、バッテリーに電流を流すことで充電をするのだが、従来のEVでない内燃機関の車両では発電機(オルタネーター:三相交流発電機)のACをダイオードで整流し、ICレギュレターで電圧を一定値に保つことで充電を制御していた。つまり、エンジン回転により発電機の出力(電圧と電流)は増加するが、電圧を制御することで、バッテリー電位が低い時は強い電流で充電され、バッテリーが満充電となると、バッテリー電圧と充電電圧が近づくことで充電が弱まるという仕組みだ。

 ここで、EVの充電でも、その接続する充電装置により充電時間が異なることが知られているが、このことは充電電流の大小が絡む問題だと判る。また、テスラ車などでスーパーチャージャーと呼ぶ急速充電設備があることが知られているが、これは充電電流を大きくする、すなわち充電電圧を高め受電していることが察しができる。なお、テスラの場合、このスーパーチャージャーでの充電は、バッテリー容量の80%で停止するとアナウンスされているが、何故100%にしないかと云えば、過電圧によるオーバーチャージを防ぎたいからに違いないだろう。一般にバッテリーは、オーバーチャージすると、バッテリー寿命を短命化させることになったり、バッテリー内部の液漏れとか爆発のリスクも高まる。

 ところで、電圧と電流の概念は判り、高電圧は危険という意識は誰でも持つことだろうが、高電流というのもある意味危険を生み出すものだ。下記の記述は、リニア実験線で負傷事故を報した過去事件を記したものだが、リニアの車両は、液体ヘリウムで絶体零度下の超伝導(電気抵抗0)化したコイルに電流を流すと、接続を断っても電流が流れ続けるというものだ。この超伝導コイルに充電する電流は幾らなのか公表されていないが、おそらく千を優に超える電流なのだろう。こういう高電流を通常の断続スイッチで切ろうとすると、アークが生じるのは電気溶接と同じ原理だが、電流値が千ともなると、そのアークのエネルギーは半端なものではない。

リニア火災事故続報と想像 2019-10-11
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/6d495293afe711542716f5750596a670


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