昔見た微かな記憶の復活とか、図鑑でしか見れなかったクルマの直視など、面白いことこの上なしの日本自動車博物館の見学だった。そんな中でも、メカマニアとして気を引く、主に目に止まった単品パーツの話しをしてみたい。
1.ロンドンバス 001-003
①ちょっと以前のロンドンの街中を走る赤い二階建てバス。外見写真は、同博物館のではなくNetより転載。②狭い運転席を後部窓から覗くと、インストルメントパネルにHパターンのシフト長10cm未満の可愛いシフトが付いていた。これらクルマは1970年から1980年代に作られたものらしいが、今で云うフィンガーシフトが既に使用されていたということだ。③運転席仕切り(バルクヘッド)とフロアの中央部の凸ドーム部(おそらくクラッチハウジング部だろう)にアルミキャストのカバーにロゴがあった。東ランカシャーは製造地?、コーチビルダーズ株式会社、ブラックバーンは東ランカシャーの中の字名だろうか?
2.プリンスの古いL6ガソリンエンジン 004
たぶんスカイラインのS54Bとか以前の6気筒(たぶんG7か?)だろうが、およそ樹脂が見当たらないエンジンだが、この時代では当然のことであったろう。唯一樹脂が使われたのは、デストリビューターキャップと内部のローターぐらいのものだろう。どちらもベークライト製だが、人工樹脂の最初はセルロイドで第2番目がベークライトであったと聞く。このベークライトは、その絶縁性だとか難燃性から今でも使い続けられている。なお、キャブレターのフロート室のガラスに注目したい。フロートレベルを直視できる構造だ。
3.フラットヘッドV8エンジン 005
知識の疎い者から見れば、これは頭上弁がないから2サイクルかと思われてしまうが、吸排バルブをブロック側に持ったサイドバルブと云われる動弁形式エンジンだ。この後の頭上弁のOHVもそうだが、V8エンジンとの相性が良く、左右バンク中央に置かれた1本のカムシャフトと油圧タペット(HLA)を使用することで、構成部品が少なく信頼度の高いエンジンであったと思う。しかし、燃焼室表面積が大きく圧縮比を上げられないとか熱効率が低いとして絶滅した型式であったのだろう。
4.元祖ジープ 006
先の大戦中にアメリカ軍が大量生産した元祖ジープだ。ジープ社はその後AMC社に吸収され、AMC社もクライスラー社に吸収され現在に至る。戦後、三菱はジープ社からパテントを買い、日本向けにローカルカスタマイジングして類似製品を作ってきた。クルマにそれ程の関心ない方は、この種のクルマを見るとすべてジープと呼ぶが、ジープを名乗れるのは、現クライスラーとパテントを買った三菱だけなのだ。似た様な事例にキャタピラーがある。これは米キャタ社のブランド名であって、他の会社はクローラと呼ばねばならない。
このオリジナルジープであるが、腕木式のウインカーが付いていたりして日本で走っていたのだろうか。ボンネットラインも三菱より低く、これでフロントウインドウを前倒しすれば、最低地上高は高くても、全高はスポーツカー以上に低い姿となり、前線の偵察活動などに活躍したのだろう。最後に、フロントバンパーのチャンネル鋼板のことに触れてみたい。三菱のジープもそうだが、極単純なチャンネルだが、これに穴開けようと普通のドリルキリで切削しても滑るだけで削り取るのは困難だ。それだけ硬い超高張力鋼板(云って見れば焼き入れ鋼板)が使用されている。
5.スバル水平対向エンジン 007
スバル水平対向(ガソリン)エンジンのカットモデルだが、シリンダーピッチも狭められ、故にクランクピッチも狭いからクランクウェブは10mmあるとかどうかという厚さしかない。俗に云うカミソリクランクだが、これを改良してディーゼルエンジンまで作り上げたところで、ディーゼル疑惑が発覚してしまった。トラックのガソリンは作りようがないけど、乗用ディーゼルはほとんど息の根が止まったという感を持つ。
6.リショルムコンプレッサー 008
機械式スーパーチャージャーの一種なのだろうが、ターボみたいにエネルギー回収の意味がないからスーパーチャージャー自体は流行らない。しかし、BMWミニでも初代にはクーパーSに搭載していたが、6MTで40km/hから暖加速していける低速トルクを持ち合わせていた。それに、とにかく減速、シフトダウン、再加速でのピックアップが良く、誠に「付きの良い」エンジンの典型だと思っている。なお、このリショルムは捻れ歯形が非接触かつ隙間が最小になる様な工作精度と駆動ギヤの精度が要求される。自動車用途より空圧コンプレッサーでスクリュータイプと呼ばれるものに結構使用されている。
ちなみに話題をコンプレッサーに限らず、クルマに使われて類似の装置を考えて見ると結構多くがある。エンジン内部の油圧ポンプ、AMT内部の油圧ポンプ、PSポンプ、燃料ポンプ、噴射ポンプ、コモンレールのフィードポンプ、ACコンプレッサー、エアコンプレッサー、ターボ、スーパーチャージャー、他にもあるかもしれません。これらを見ていく中で、最大圧力だとか流量(容量)の違い、そしてポンプ自体の潤滑だとか圧送物が気体か液体か回路が閉回路か開放されているかなどで使い判られていることが判ります。例えば、4トン以上の大型トラックには、エアコンプレッサーが使われています。能力的は900MPa程の圧力ですが、ほとんどクルマ用としてはレシプロ2気筒クラスが多いのではないだろうか。ところで、エアコンのコンプレッサーもかつては2気筒とかの大径ピストンのレシプロだった。この時代、ポンプの潤滑はオイルパンに溜められた専用オイルで行っていた。これが、現在ほとんどアキシャル(斜板)式という、斜板の前後に放射状にレシプロシリンダーを配置した方式に変化した。形状的にオイルパンを持てないので、閉回路内を循環するガスにオイルを混ぜ込み潤滑している。従って、このアキシャルポンプを、開放型となるエアコンプレッサーには使用はできないという具合となる。
1.ロンドンバス 001-003
①ちょっと以前のロンドンの街中を走る赤い二階建てバス。外見写真は、同博物館のではなくNetより転載。②狭い運転席を後部窓から覗くと、インストルメントパネルにHパターンのシフト長10cm未満の可愛いシフトが付いていた。これらクルマは1970年から1980年代に作られたものらしいが、今で云うフィンガーシフトが既に使用されていたということだ。③運転席仕切り(バルクヘッド)とフロアの中央部の凸ドーム部(おそらくクラッチハウジング部だろう)にアルミキャストのカバーにロゴがあった。東ランカシャーは製造地?、コーチビルダーズ株式会社、ブラックバーンは東ランカシャーの中の字名だろうか?
2.プリンスの古いL6ガソリンエンジン 004
たぶんスカイラインのS54Bとか以前の6気筒(たぶんG7か?)だろうが、およそ樹脂が見当たらないエンジンだが、この時代では当然のことであったろう。唯一樹脂が使われたのは、デストリビューターキャップと内部のローターぐらいのものだろう。どちらもベークライト製だが、人工樹脂の最初はセルロイドで第2番目がベークライトであったと聞く。このベークライトは、その絶縁性だとか難燃性から今でも使い続けられている。なお、キャブレターのフロート室のガラスに注目したい。フロートレベルを直視できる構造だ。
3.フラットヘッドV8エンジン 005
知識の疎い者から見れば、これは頭上弁がないから2サイクルかと思われてしまうが、吸排バルブをブロック側に持ったサイドバルブと云われる動弁形式エンジンだ。この後の頭上弁のOHVもそうだが、V8エンジンとの相性が良く、左右バンク中央に置かれた1本のカムシャフトと油圧タペット(HLA)を使用することで、構成部品が少なく信頼度の高いエンジンであったと思う。しかし、燃焼室表面積が大きく圧縮比を上げられないとか熱効率が低いとして絶滅した型式であったのだろう。
4.元祖ジープ 006
先の大戦中にアメリカ軍が大量生産した元祖ジープだ。ジープ社はその後AMC社に吸収され、AMC社もクライスラー社に吸収され現在に至る。戦後、三菱はジープ社からパテントを買い、日本向けにローカルカスタマイジングして類似製品を作ってきた。クルマにそれ程の関心ない方は、この種のクルマを見るとすべてジープと呼ぶが、ジープを名乗れるのは、現クライスラーとパテントを買った三菱だけなのだ。似た様な事例にキャタピラーがある。これは米キャタ社のブランド名であって、他の会社はクローラと呼ばねばならない。
このオリジナルジープであるが、腕木式のウインカーが付いていたりして日本で走っていたのだろうか。ボンネットラインも三菱より低く、これでフロントウインドウを前倒しすれば、最低地上高は高くても、全高はスポーツカー以上に低い姿となり、前線の偵察活動などに活躍したのだろう。最後に、フロントバンパーのチャンネル鋼板のことに触れてみたい。三菱のジープもそうだが、極単純なチャンネルだが、これに穴開けようと普通のドリルキリで切削しても滑るだけで削り取るのは困難だ。それだけ硬い超高張力鋼板(云って見れば焼き入れ鋼板)が使用されている。
5.スバル水平対向エンジン 007
スバル水平対向(ガソリン)エンジンのカットモデルだが、シリンダーピッチも狭められ、故にクランクピッチも狭いからクランクウェブは10mmあるとかどうかという厚さしかない。俗に云うカミソリクランクだが、これを改良してディーゼルエンジンまで作り上げたところで、ディーゼル疑惑が発覚してしまった。トラックのガソリンは作りようがないけど、乗用ディーゼルはほとんど息の根が止まったという感を持つ。
6.リショルムコンプレッサー 008
機械式スーパーチャージャーの一種なのだろうが、ターボみたいにエネルギー回収の意味がないからスーパーチャージャー自体は流行らない。しかし、BMWミニでも初代にはクーパーSに搭載していたが、6MTで40km/hから暖加速していける低速トルクを持ち合わせていた。それに、とにかく減速、シフトダウン、再加速でのピックアップが良く、誠に「付きの良い」エンジンの典型だと思っている。なお、このリショルムは捻れ歯形が非接触かつ隙間が最小になる様な工作精度と駆動ギヤの精度が要求される。自動車用途より空圧コンプレッサーでスクリュータイプと呼ばれるものに結構使用されている。
ちなみに話題をコンプレッサーに限らず、クルマに使われて類似の装置を考えて見ると結構多くがある。エンジン内部の油圧ポンプ、AMT内部の油圧ポンプ、PSポンプ、燃料ポンプ、噴射ポンプ、コモンレールのフィードポンプ、ACコンプレッサー、エアコンプレッサー、ターボ、スーパーチャージャー、他にもあるかもしれません。これらを見ていく中で、最大圧力だとか流量(容量)の違い、そしてポンプ自体の潤滑だとか圧送物が気体か液体か回路が閉回路か開放されているかなどで使い判られていることが判ります。例えば、4トン以上の大型トラックには、エアコンプレッサーが使われています。能力的は900MPa程の圧力ですが、ほとんどクルマ用としてはレシプロ2気筒クラスが多いのではないだろうか。ところで、エアコンのコンプレッサーもかつては2気筒とかの大径ピストンのレシプロだった。この時代、ポンプの潤滑はオイルパンに溜められた専用オイルで行っていた。これが、現在ほとんどアキシャル(斜板)式という、斜板の前後に放射状にレシプロシリンダーを配置した方式に変化した。形状的にオイルパンを持てないので、閉回路内を循環するガスにオイルを混ぜ込み潤滑している。従って、このアキシャルポンプを、開放型となるエアコンプレッサーには使用はできないという具合となる。