近年、コンプライアンス(法令遵守)とか公益通報者保護法等が整備されてきた割りには、あまりにも組織の不正が大過ぎると感じるのは私だけではないでしょう。それは、立て続けに生じる、不正、隠蔽、いじめ、パワハラなどが報じられていることから明かなのでしょう。
私の個人的体験からも、右肩上がりの経済成長が行き詰まり、年功序列賃金の廃止や能力や成果給の拡大とともに労働組合の形骸化を感じつつ、組織体における良い意味での仲間意識の希薄化などを感じ続けて来ました。
そんな中で最近読んだ本で「自衛隊の闇」のことにちょっと触れて見たいと思います。この本は、2004年に海自護衛艦「たちかぜ」でで乗員自衛艦の一等海士(21才)が上職の二等海士のいじめにより自殺した事件をまとめた内容です。(詳しくはwikiで内容を確認ください。)
この事件、訴訟となったのですが、一審ではいじめの実態を一定認めたが、国と二等海士に対する賠償命令は440万円というものであったといいます。この事件は後に判明するのですが、事件直後に自衛隊では、乗り組み員全員にアンケートを実施し、いじめの実態を把握していたにも関わらず、そのことは一切認めず、アンケートも行ったが破棄済みであると答弁していた。
一審に不満を持つ遺族は即日控訴を表明し、控訴審では一審を大幅に上回る7700万円の賠償を認めることになり、自衛隊側(防衛大臣)も重く受け止めるとして上告を断念し判決は確定した。
この訴訟において、肝となった人物は、一審において自衛隊側の弁護に立つ三佐がいたという。三佐については個人情報もあり、本名、経歴、年齢など公表されていないが司法試験にも合格し資格を取得している方だという。これは想像ですが、防衛大学(たぶん法科)を卒業し、40代程の年齢の方でしょう。この三佐は、自らの調査において、廃棄されたというアンケート結果が残っており、そのことを控訴審においてコピーを明示しつつ公表し、控訴審の判決に至ったことが示されています。
ここまで読み、この三佐の行為はなかなかできることではないと思います。そして、この本でも触れていますが、この三佐は事件後の配置変更の希望を問われ「できれば防大で法務の畑を希望したい」と伝えたといいますが、隊の答えは、「なかなか先の希望もあってね・・・」と言葉を濁されたと云います。三佐は現在でも自衛隊に所属するのか判りませんが、15年を経て所属し続けていたとしても、現在将官になっていることはないでしょう。もし、そもまま所属していたら、三佐のまま、現場部隊の各地を転勤させ続けられているのではないでしょうか。こうなることは、極めて頭の良い三佐には判っていながら、告発せざるを得ないという気持ちになったのだろうと思います。
この様な自己犠牲を認識しつつ、公益のための声を上げる人々を尊敬せざるを得ません。以下は、私が知る極一部のその様な方々と主な内容です。
・仙波敏郎氏 元警察菅の方ですが、裏金作りの領収書作りを一切拒否したまま、定年まで巡査部長のまま各地を転勤させられ定年を迎えた方。
・黒木昭雄氏 元警察官で退職後、様々な警察の調査不足を指摘する独自の調査活動を続けた。ある時、自殺とされる不審死で死亡。
・小出裕章氏 元京都大学原子炉実験所の助教であったが、30年以上に渡り原子力の危険や問題点を訴え続けた。教授に昇進することなく助教で定年を迎える。
・石井紘基氏 元社会党の国会議員で様々な公共事業の不正を訴え続け、「日本はソ連と同じ構造だ」との言葉を残している。ある時、右翼団体とされる男に自宅前で刺殺される。
追記
パレーシアというワードがあります。以下はwikiよりの抜粋です。
パレーシア 古典修辞学で、包み隠さず話すこと、あるいは、そう話す許しを得ること。言論の自由だけでなく、危険を冒してでも公益のために真理を話す義務をも意味する。
フーコーは、古代ギリシアのパレーシアの概念を次のように要約している(1983年)。「より正確に言うと、パレーシアは、話者が自己の真理への個人的な関係を表現し、自らの生命を危険にさらす言葉の活動である。なぜなら、彼は(自分自身同様に)他人を改善させる、あるいは助けるための義務として真理を語ることを承知しているからである。パレーシアの中で、話者は、大胆に話し、説得の代わりに率直さを、嘘や沈黙の代わりに真理を、身の安全の代わりに死の危険を、おべっかの代わりに批評を、利己心と道徳的な無関心の代わりに道徳的な義務を選ぶ」。
私の個人的体験からも、右肩上がりの経済成長が行き詰まり、年功序列賃金の廃止や能力や成果給の拡大とともに労働組合の形骸化を感じつつ、組織体における良い意味での仲間意識の希薄化などを感じ続けて来ました。
そんな中で最近読んだ本で「自衛隊の闇」のことにちょっと触れて見たいと思います。この本は、2004年に海自護衛艦「たちかぜ」でで乗員自衛艦の一等海士(21才)が上職の二等海士のいじめにより自殺した事件をまとめた内容です。(詳しくはwikiで内容を確認ください。)
この事件、訴訟となったのですが、一審ではいじめの実態を一定認めたが、国と二等海士に対する賠償命令は440万円というものであったといいます。この事件は後に判明するのですが、事件直後に自衛隊では、乗り組み員全員にアンケートを実施し、いじめの実態を把握していたにも関わらず、そのことは一切認めず、アンケートも行ったが破棄済みであると答弁していた。
一審に不満を持つ遺族は即日控訴を表明し、控訴審では一審を大幅に上回る7700万円の賠償を認めることになり、自衛隊側(防衛大臣)も重く受け止めるとして上告を断念し判決は確定した。
この訴訟において、肝となった人物は、一審において自衛隊側の弁護に立つ三佐がいたという。三佐については個人情報もあり、本名、経歴、年齢など公表されていないが司法試験にも合格し資格を取得している方だという。これは想像ですが、防衛大学(たぶん法科)を卒業し、40代程の年齢の方でしょう。この三佐は、自らの調査において、廃棄されたというアンケート結果が残っており、そのことを控訴審においてコピーを明示しつつ公表し、控訴審の判決に至ったことが示されています。
ここまで読み、この三佐の行為はなかなかできることではないと思います。そして、この本でも触れていますが、この三佐は事件後の配置変更の希望を問われ「できれば防大で法務の畑を希望したい」と伝えたといいますが、隊の答えは、「なかなか先の希望もあってね・・・」と言葉を濁されたと云います。三佐は現在でも自衛隊に所属するのか判りませんが、15年を経て所属し続けていたとしても、現在将官になっていることはないでしょう。もし、そもまま所属していたら、三佐のまま、現場部隊の各地を転勤させ続けられているのではないでしょうか。こうなることは、極めて頭の良い三佐には判っていながら、告発せざるを得ないという気持ちになったのだろうと思います。
この様な自己犠牲を認識しつつ、公益のための声を上げる人々を尊敬せざるを得ません。以下は、私が知る極一部のその様な方々と主な内容です。
・仙波敏郎氏 元警察菅の方ですが、裏金作りの領収書作りを一切拒否したまま、定年まで巡査部長のまま各地を転勤させられ定年を迎えた方。
・黒木昭雄氏 元警察官で退職後、様々な警察の調査不足を指摘する独自の調査活動を続けた。ある時、自殺とされる不審死で死亡。
・小出裕章氏 元京都大学原子炉実験所の助教であったが、30年以上に渡り原子力の危険や問題点を訴え続けた。教授に昇進することなく助教で定年を迎える。
・石井紘基氏 元社会党の国会議員で様々な公共事業の不正を訴え続け、「日本はソ連と同じ構造だ」との言葉を残している。ある時、右翼団体とされる男に自宅前で刺殺される。
追記
パレーシアというワードがあります。以下はwikiよりの抜粋です。
パレーシア 古典修辞学で、包み隠さず話すこと、あるいは、そう話す許しを得ること。言論の自由だけでなく、危険を冒してでも公益のために真理を話す義務をも意味する。
フーコーは、古代ギリシアのパレーシアの概念を次のように要約している(1983年)。「より正確に言うと、パレーシアは、話者が自己の真理への個人的な関係を表現し、自らの生命を危険にさらす言葉の活動である。なぜなら、彼は(自分自身同様に)他人を改善させる、あるいは助けるための義務として真理を語ることを承知しているからである。パレーシアの中で、話者は、大胆に話し、説得の代わりに率直さを、嘘や沈黙の代わりに真理を、身の安全の代わりに死の危険を、おべっかの代わりに批評を、利己心と道徳的な無関心の代わりに道徳的な義務を選ぶ」。