ちょっと前の出来事ですが、改めて最近のクルマの板金は難易度を増していると感じたことから記してみます。話しは、知り合いの女性から、マイカーの助手席側ドアを隣のクルマのドアでぶつけられたという損傷です。ぶつけられたのは、立体式の駐車場で非常に大風の日のことだったそうです。しかも、相手は逃げ去ったといい、くやしがっていましたが当然でしょう。
そんなことで、修理の見積を行き付けのディーラーに見せて聞いたら、12万~15万ほど掛かると云われたが・・・という相談です。早速現車を見ると、左フロントドアに、相手のドアがぶつかって変形したと見る縦方向の凹損が20cm間隔ほどで3本並んでいます。凹損の深さとして、せいぜい数ミリといったもので、たいして大きな変形とは見えません。しかし、正面(パネルに正対した視点)では目立ちませんが、透かし(パネルを斜めからの視点)では、結構目立つ損傷です。
ディーラーの12万からという見積は、ドアパネル交換+その前後パネル塗装というものでしょう。そこで、この地域で知る限り、板金技能がトップクラスと承知している知り合い板金工場へ行って見てもらう様に促した訳です。というのも、これしきの変形を板金できない訳はない(むしろチョロイもんだ)という思いを持ったからでもあります。
ところが、その板金施工者曰わく、アレは難しいという訳です。不可能ではないけど、総パテ近くになってしまい、仕上げに手間掛かり過ぎるから中古のドア見つけた方が良いと、当方の見立てと違う訳です。その理由は、元々パネルの張りが弱すぎて、ヘタに叩くとパネルが暴れてしまって難しいという説明なのです。
一番安く上げるには、同型、同色(キューブ・Z12、ブラックP・B20)の手付かず中古ドアがあれば良いのですが、なかなかこれはという出物が見つからずに経過しています。
追記
該当車はキューブZ12ですが、パネルは緩く変化するクラウン(外側への緩いアール形状のこと)で、ドアウインドの廻りを囲む明確なプレスライン以外はのっぺりした形状で、指で押して見れば張りが弱いことが判ります。たぶんパネル鋼板はSPCC(冷間圧延鋼板)のジャンルなんでしょうが、高張力鋼板(内板材みたいに高強度でないもの)で、しかも通称BH鋼板と云われる部類の鋼板だろうと想像します。BHはベークハードのことで、生鋼板は低降伏点でスプリングバックが小さく成形性に優れ、塗装の乾燥での加温で硬化して本来の引っ張り強度を出すというものです。ちなみに、BH鋼板は、鮮度としての加工前ライフが数ヶ月までと聞きます。つまり、長時間放置により硬化してしまい成形性に優れる特性は失われてしまうそうです。
また、掲載した写真からは変形が判り難いと思いますが、背景が均一の無地な場所にでも置き写せば、より判り易く写るとは思います。ところで、メーカープラントでは、塗装後の最終点検を4枚目の写真の様な多数の直管蛍光灯が並んだ明るい環境で行ってることが知られています。これにより、パネル面に映り込む蛍光灯の状態を含めパネル自体や塗装表面の欠陥を一定の範囲に収めているのでしょう。なお、一定の範囲は、いわゆる車格により高低があり、乗用車でも軽、大衆車、高級車の順で高い品質レベルになって来るのでしょう。商用車では、乗用に比べると格段にレベルが下がり、ハイエースとかコースターなどの新車を眺めると、サイドウインドの廻りなどパネルの歪みが目立ちます。塗装も、トヨタで云えば202(純黒)は、コンフォートにもセンチュリーにも同塗料メーカーの同一塗料で塗っている訳でしょうが、まるで質感から受ける高級感が異なります。
そんなことで、修理の見積を行き付けのディーラーに見せて聞いたら、12万~15万ほど掛かると云われたが・・・という相談です。早速現車を見ると、左フロントドアに、相手のドアがぶつかって変形したと見る縦方向の凹損が20cm間隔ほどで3本並んでいます。凹損の深さとして、せいぜい数ミリといったもので、たいして大きな変形とは見えません。しかし、正面(パネルに正対した視点)では目立ちませんが、透かし(パネルを斜めからの視点)では、結構目立つ損傷です。
ディーラーの12万からという見積は、ドアパネル交換+その前後パネル塗装というものでしょう。そこで、この地域で知る限り、板金技能がトップクラスと承知している知り合い板金工場へ行って見てもらう様に促した訳です。というのも、これしきの変形を板金できない訳はない(むしろチョロイもんだ)という思いを持ったからでもあります。
ところが、その板金施工者曰わく、アレは難しいという訳です。不可能ではないけど、総パテ近くになってしまい、仕上げに手間掛かり過ぎるから中古のドア見つけた方が良いと、当方の見立てと違う訳です。その理由は、元々パネルの張りが弱すぎて、ヘタに叩くとパネルが暴れてしまって難しいという説明なのです。
一番安く上げるには、同型、同色(キューブ・Z12、ブラックP・B20)の手付かず中古ドアがあれば良いのですが、なかなかこれはという出物が見つからずに経過しています。
追記
該当車はキューブZ12ですが、パネルは緩く変化するクラウン(外側への緩いアール形状のこと)で、ドアウインドの廻りを囲む明確なプレスライン以外はのっぺりした形状で、指で押して見れば張りが弱いことが判ります。たぶんパネル鋼板はSPCC(冷間圧延鋼板)のジャンルなんでしょうが、高張力鋼板(内板材みたいに高強度でないもの)で、しかも通称BH鋼板と云われる部類の鋼板だろうと想像します。BHはベークハードのことで、生鋼板は低降伏点でスプリングバックが小さく成形性に優れ、塗装の乾燥での加温で硬化して本来の引っ張り強度を出すというものです。ちなみに、BH鋼板は、鮮度としての加工前ライフが数ヶ月までと聞きます。つまり、長時間放置により硬化してしまい成形性に優れる特性は失われてしまうそうです。
また、掲載した写真からは変形が判り難いと思いますが、背景が均一の無地な場所にでも置き写せば、より判り易く写るとは思います。ところで、メーカープラントでは、塗装後の最終点検を4枚目の写真の様な多数の直管蛍光灯が並んだ明るい環境で行ってることが知られています。これにより、パネル面に映り込む蛍光灯の状態を含めパネル自体や塗装表面の欠陥を一定の範囲に収めているのでしょう。なお、一定の範囲は、いわゆる車格により高低があり、乗用車でも軽、大衆車、高級車の順で高い品質レベルになって来るのでしょう。商用車では、乗用に比べると格段にレベルが下がり、ハイエースとかコースターなどの新車を眺めると、サイドウインドの廻りなどパネルの歪みが目立ちます。塗装も、トヨタで云えば202(純黒)は、コンフォートにもセンチュリーにも同塗料メーカーの同一塗料で塗っている訳でしょうが、まるで質感から受ける高級感が異なります。