私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

不良ユーザーへの対応

2018-03-22 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 不良ユーザーとは不穏当な表現だが、現実にあり得ることなので、記しておきたい。
 賢明な特に自営業の方なら、当初から横柄な態度で接して来るユーザーなど、相手にしないことであろう。どころが、新車販売したディーラーとか一般工場でも大口のユーザーだと、多少横柄だったり無理難題を押し付けられも、渋々受けざるを得ない事例が現実としてはあるのだろうと想像する。

 私は、通算10年以上に渡りブログでクルマのトラブルなどのことを書き続けているが、こんな記事を見た読者の方から、意見書を書いてくれないかと相談を受けることが時々ある。具体例としては、修理工場などが、あるユーザーから整備を受託し、納車後こんなになったがどうしてくれると苦情を持ち込まれたという案件である。そして、弱り果て、弁護士に相談した結果として、それなりの第三者たる専門家の意見書が求められたということであろう。つまり、弁護士は法律の専門家ではあるが、クルマの専門家ではなく、それなりに問い質す、もしくは訴訟を前提とすれば、第三者たる専門家の意見が欠かせないということだろうと思っている。

 こういう不当な訴えを行う不良ユーザーは、受け付け時に見極め排除することが一番なのであるが、確信犯的な者は、最初はさも善良そうに振る舞うのである。そして、事後に「どうしてくれる!」と一変するのだ。それと、冒頭で記したお得意さんとか大口ユーザーだと、多少の無理は聞かざるを得ないだろう。但し、事故の危険がある問題とか、何時壊れても不思議ではない状態となると、口約束だけで車検を完了して引き渡すことはできかねるだろう。そんな場合に得てして、ユーザーは後2ケ月も乗ったら代替するからとか言っても、それが真実か保証はないのである。当然作業途上で、異状を発見したら問い
合わせ、それでもそのままで良いからと言われても、そうは行かないと言わざるを得ない場合もあるだろう。この場合、ケースバイケースであろうが、最悪は当社ではこれは作業継続出来ませんと突っぱね、作業前の状態に戻し、ここまでの作業料金は請求しますからと突き返す覚悟も考えなくてはならないだろう。また、中には妥協案として作業をするが、現状はこうであり説明をしたがユーザーの要求がありこの様な処理をするが、例え何があっても当社は責任は持ちませんという内容での念書を取り付けるぐらいのことをしておいた方が良い場合もあると思える。

 過去に知る悪質な確信犯事例を1つ記して見たい。輸入車(米車)なのだが、エンジンオイルとATオイルの交換を依頼され、特段の問題意識も持たず実施し引き渡した。ところが、翌日になって、「ATが滑るようになった、どうしてくれると!」とクレームを受けた案件である。そもそも、ATにおいて、長期間オイル交換をしていない場合のオイル交換だけを行うリスクは、賢明な方なら知るところだろう。つまり、正常であっても、新オイルの清浄分散作用で洗い流された多板クラッチのフェーシング粉はオイルパンに大量に流れ落ち、バルブボデー下部に装着のオイルストレーナ(フィルター)を詰まらせ、油圧不足で滑るという症状が起こり得るのだ。だから、オイルパンを外して、内部の清掃とストレーナの清掃(欧州車などは交換)を行うことが必要なのだ。

 なお、この案件は、入庫前から滑っていたものを持ち込んだ確信犯だろう。これについては、以下のATの基本点検2点を行うことで、すべてではないが、相当な範囲で抑止できると思う。
①タイムラグテスト
 油温が十分暖機されている状態で、N→D、N→Rと時間をある程度あけて、変速からショックを感じるまでの時間を見る。このタイムラグは通常1秒以内だが、これがやけに長いとかショックがないというのは滑りの兆候だ。

②ストールテスト
 DおよびRレンジにおいて、ブレーキを目一杯踏んでアクセル全開時の回転数を見る。正確にはメーカー基準値を参考にしなければならないが、一般的に2千から3千rpm前後であろう。これが、4千とかそれ以上に高いのは滑りが出てるしか考えられない。ちなみに、低いのは何らかの原因によるエンジン出力不足だ。

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