私の思いと技術的覚え書き

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ユーザー質問に答える その2(ブレーキ整備後の異音とホイール過熱への疑問)

2021-09-10 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
ユーザー質問に答える その2(ブレーキ整備後の異音とホイール過熱への疑問)

 これは私が直接質問を受けた訳でなく、Fasebook の特定グループにおいて、たぶんクルマの修理にさほど詳しくない方が、整備後の不具合を問いかける内容を見て、私が回答した内容を記すもので、前回に続き2回目として
示す。

 おそらく、そこまで説明するのは過剰だと思う方が多いと思うが、そのことは私自身も自覚しつつも、私の回答に説得力を持たせる意味で、周辺状況も含め解説する文面としている。

 私は、現在は自営業を営んでいるが、過去の損害保険の調査員時代から、相手の質問によっては、場合によっては、この何倍も深く掘り下げた回答を行って来た。それは、接する板金業の方々だとか、事故の被害者の方を丸め込むという思想はなく、根源としての原理だとか何故そういう結論(見解)になるのかを知ってもらいたいとの信念からからだった。

 現代の、損害調査員(アジャスターと呼ばれる)達にも、その様な意識で活動してもらいたいと思うところであるが、なかなか難しさがあると思って、正直嘆いている。

1.質問内容
 R50コンバーチブルに乗っています。先日の1年点検で後輪のディスクパッド交換が必要と言われて、左右交換しました。正規のディーラーです。
 そうしたら、制動時にキーキー音が発生。それだけではなく、走行中もディスクに触れているようで、ブレーキ掛けなくてもキーキー言います。
 昨日、長距離乗った際も音がしていて、後輪のホイールを触ったら、火傷するくらい熱くなっていました。ディーラーに連絡して対策をお願いしたところ。

 どなたか、同様の経験をされた方はいらっしゃいますか。このままでは、ディスクが壊れたり、状況によっては火災になるかもしれないと思ったら不安です。

2.私の回答文
 R50およびR56もそうですが、リヤディスクブレーキはパーキングブレーキ機構内蔵型のものです。この方式は、ディスクパットを交換したりして、キャリパーピストンの位置が大きく移動すると、ブレーキの引きずりが生じる様になるクルマが生じることがあり、R50でも同様であることが知見されています。

 何れにしましても、法律上の扱いにおいては、これらブレーキなどの分解整備はディーラーも含め分解整備認証工場で行うか、それ以外で行った場合は国の検査を受けなければならない立て付けになっています。

 当方は、クルマと触れあいだして40年なる者で、今回の様に整備となんらかのトラブルの原因と因果関係などを分析し、報告書として意見を表すことを業としています。その知見で、本不具合の報告を読むと、リヤディスクパット交換時に、必ず行わなければいけないブレーキの引きずりテストを行っていないことが疑われます。質問者様も、走行後にリヤホイールが触れ続けられない程に熱くなっているというのが、その引きずりを示しています。

 本件は乗用車ですから、あまり火災事例まではありませんが、中、大型車のトラック&バスのリヤブレーキなどでは、ブレーキの引きずり過熱→熱がホイールを伝わりタイヤから発火という経路で多くの車両火災発生事案が知見されています。

 貴方と場所が近いなら、分析し、今後の対策として対処の進めかたなどアドバイスもできるのですが・・・。


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